イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

花野井くんと恋の病:第6話『初めてのバレンタイン』感想ツイートまとめ

 St,V Dayにて恋愛お試し期間正式終了ッ!
 恋を自覚して上がる体温を乗りこなし、ついにヒロイン愛の告白ッ!!
 な、花野井くんと恋の病 第6話を見る。

 まずはおめでとう…本当に良かった。
 視聴者には”真実”バレバレな感情と関係が、収まるべきところに収まっていく気持ちの良さもありつつ、二人共とてもいい子達なので、もっと幸せになれそうな間柄へと力強く踏み込んでくれて、見ているこっちも幸せな気持ちになれた。
 恋心を自覚した絶妙なタイミングで、花野井くんの闇を引っ張り出すサバサバ男子を過去からサルベージして投入し、ほたるちゃんがトラウマと正面向き合って突破という、話の流れが良かったね。

 

 ここまでは顔の見えない影としてしか描かれなかった思い出に、今回過去を共有する青年が舞台に上がったことで具体的な目鼻がつき、花野井くんに自分の傷を打ち明けられるところまで対峙していたのは、ほたるちゃんがどういう心の旅路をたどり、そこに花野井くんへの恋がどう作用しているか、分かりやすい表現だったと思う。
 人を天使にも鬼にも変えてしまう恋の魔力に、怯えてばかりいたほたるちゃんだけども、自身その当事者になって向き合う中で、過去の事件を相対化し、客観視することで克服…の、少なくとも一歩目は踏めた。
 花野井くんの言う通り、恋が生み出す変化には善いことが沢山あるわけだ。

 恋心初心者として、他の誰もが茹で上がっていた気恥ずかしさを今更受け止め、もじもじ足踏みしていたほたるちゃんだが、八尾くんが過去から蘇ってきたことで花野井くんのヤバい部分が刺激され、好きピの持つ狭くて危うい加害性をどうにかせなあかんと、グイッと前へ踏み出す。
 八尾くんは恋のお邪魔虫というよりは、周辺視野が広いサバサバ系男子で、花野井くんのヤバさを認識しつつ上手く付き合おうと、頑張ってくれる人で良かった。
 花野井くん、自分の身内以外を棍棒で殴ることで愛を証明する、石器時代の勇者みてーな心根持っちゃってるので、他人に危機感抱かせがちなんだよな…過剰警戒が過剰警戒を呼ぶ、地獄絵図生産装置…。

 

 

 

 

画像は”花野井くんと恋の病”第5話より引用

 『今までの恋愛も、この調子でぶっ壊してきたんだろうなぁ…』とため息一つであるが、八尾くんの度量とほたるちゃんの純情のあわせ技、グイと踏み込み良い距離感を確保できていた。
 つまりは恋に嘘をつかず、背伸びしてでも追いすがる愛のゼロ距離戦闘ということだが…。

 クリスマスデートにおいては、釣り合わない靴でなんとか並び立っていた、ほたるちゃんと花野井くんの現状スケッチ。
 チャーミングな身長差はそのまま、人に恋をし、独占欲を燃やしたり愛されるからこその寂しさに悶えたり、人を狂わせかねない危うさとの距離でもある。
 花野井くんは近く、ほたるちゃんは遠い。

 今までずっと花野井くんが上から恋を降らせてきたわけだが、恋心を自覚したことでほたるちゃんは花野井くんがいる暗くて危ない場所(そこはかつて恋の狂気に無理解なまま、傷つけ傷つけられて以来立ち入らないようにしていた過去でもある)へと背伸びをする。
 フェアであること、対等になろうとする努力はこの作品においてとても大事なものとして扱われているが、花野井くんを危うくしている欠乏を満たすように、自分の中の恋心とトラウマにしっかり向き合い、追いすがって抱きしめ温もりを与えようとするほたるちゃんは、大変健気で偉い。
 恋した人相手だからできる必死の跳躍が、自分自身の傷を乗り越える助けになってるのも良い。

 愛した人だけに過剰に与え、世界を狭く危ういものにしてしまう花野井くんの奥に、欠けてる部分を満たして欲しい願望が強くあることを、ほたるちゃんは知ってしまう。
 そういう魂の飢餓は嘘偽りのない本当を、間近に手渡すことでしか満たされないわけで、気恥ずかしさをぶっ飛ばし自分が何を感じているのか、花野井くんとどうなりたいのか、ド真ん中真っ直ぐ伝えたの、大変良かった。
 トキメキテイストで隠されているが、食事を気にかけないセルフ・ネグレクト気質も含めて花野井くん、そうとうヤバい感じであり、こうして親身にケアしてくれる人がこのタイミングで現れたの、『間に合ってくれた…』って感じがかなりある。

 

 花野井くんの満たされない遠さと冷たさは、完璧さの鎧で他人を遠ざけてしまう部分にも原因があって。
 完璧じゃなきゃ愛されないと、メガネかけた自分を誰にも見せずに人知れず努力していた、花野井くんの柔らかな場所。
 そこへもほたるちゃんは踏み込む特権を手に入れ、下から手を伸ばして繋ぎ、椅子を使って対等な距離でプレゼントを手渡す。
 失われた愛を得るために、花野井くんが必死に隠そうとしている足りてない部分、完璧じゃない部分をこそ、ほたるちゃんは愛しく思って抱きしめてくれる。
 花野井くんが失敗も間違いもする当たり前の人間であることを肯定し、完璧さより不完全をこそ”好き”だと告げるのだ。

 こらー幼年期の愛情形成に見事に失敗した(勝手な推測)青年には超絶クリティカル、もう耐えらんねぇだろ…って感じだが、告白への反応は次回に続くッ! となった。
 ずーっと満たされなかった人生だからこそ、本当に欲しかったものが自分を抱きしめてくれるとどうしていいのか分かんなくなっちゃう…てのは想像がつくが、こうしてオメーの長いタッパに背伸びして追いつき、肩を並べて向き合ってくれる人はまー滅多にいないわけ。
 花野井くんが傷ついた己をケアする意味でも、ほたるちゃんがついに自覚した恋心を叶える意味でも、この告白…絶対上手く行って欲しい。
 でも一旦弾きそうなんだよなぁ花野井くん…心が赤ちゃんだから…。

 頑張って維持しなきゃいけない完璧の鎧、外せたほうが花野井くんに善いとは思うのだが、それをまとわなきゃ立っていられない弱さを、花野井くん自身が認められるかどうかは別問題で。
 今回花野井くんへの恋心と八尾くんの再登場で、ほたるちゃんは自分を揺るがしている危うい過去としっかり向き合い、自分の心の外側に出して大事な人と共有できた。
 この成長に導かれる形で、花野井くんももうちょいバランスの良い自分へと踏み出せると、ハラハラしながらツラと身長だけ育った傷だらけ赤ちゃんを見ているオッサンとしては、大変ありがたいです。
 ご飯を美味しく食べれるようなった自分を、肯定的に捉えているのは良かったね…。

 

 つーか花野井くんのヤバさは高校生がケアする重さではなく、『保護者は何やってんだ保護者は!』という気持ちがまた強くなった。
 手作りケーキ作ってる時も、一人でガチャガチャやってたしよーマジよーッ!!(仮想の被虐待(疑惑)児童の境遇に、画面越しマジギレするアニオタ)
 ここら辺は今回投下された告白爆弾が、幼く健気な二人の関係を新たに作り直した後、彫り込まれる要素かなぁ…って感じですが、さてはてどうなるか。
 次週も大変楽しみです。

 光人間が生来理解できない闇を、解るところまで引っ張っていく補助具として”恋”を使ってくるの、あんま見たことなくて面白い筆先だな…相互理解とメンタルケアのラブコメ