みんなの個性を一つに合わせ、今手作りのステージが花開く!
シアター完成前の原っぱを舞台に、綺羅星のごとく眩しいアイドルたちの第一歩を描く、ミリアニ第5話である。
前回第4話がちと薄暗い気配を漂わせ、困難にぶち当たる展開だったのに対し、潮目が変わって皆で力を合わせ、一つのステージを作り上げていく今回はとにかくキラキラ夢いっぱい、皆が可愛く眩しかった。
開場してからお客さんに子どもらがめっちゃ多いのも併せて、こっから前向きで実りある”なにか”が始まっていくんだという希望が随所に満ちていて、自分たちで全部作り上げる手作り感と併せて、とても良かった。
俺はたくさんの子どもたちに、いっぱいの夢を手渡せる人たちが好き。
尊敬できるからね。
第2話での静香の奮起もそうだが、このアニメの良いところはベタな感動を物怖じせずしっかりやり切るところだと思う。
代表七人しか立てないステージを取り囲み、アコースティックの暖かな手触りの”Thank you”を合唱する場面は、人数が多い意味を最大限に生かした、腰がしっかり落ちたいいシーンだった。
いかにも気弱そうな可憐さんが感極まってこらえきれず、ちょいヘタクソに弾けさせた声を仲間たちが一切笑わず、両の手で抱きしめて円陣が出来てく展開、ベタ足だからこその強さがあって良かった。
今後大きなシアターが出来て仕事も増えて、”アイドル”になっていくミリオンスターズが、今このタイミングでしか描けない手作りの原点を、ちゃんと書いたことは今後にこそ生きる感じもある。
おめめキラキラで初イベントに感動しきりな未来ちゃん(可愛い)を先頭に立てて、このアニメがどういう場所にどういう姿勢で向かっていくのか、しっかり見せてくれて良かったです。
つーわけでみんなで手を携え、初イベントにむけて突き進んでいく今回。
前回失敗担当だったロコちゃんと桃子ちゃんが、めっちゃ報われた展開だったのがとても良かった。
思いつきだけのカオスから軽めの衝突があって、Pちゃんがバッチリ仕事して方向づけが上手くいった今回、ロコちゃんはそのクリエイティビティを爆発させ、色んなアイデアを出し色んなものを作る。
この手応えあるクラフト感が”アイドル”としての彼女の強みなのだろうし、寝袋イモムシが七色のパピヨンとなって羽ばたくロゴは、ミリオンスターズの明るい未来を形にしている感じがあって、とても良かった。
今回に限らないんだけども、ハチャメチャな個性が優しい誰かに受け止められて上手く働いて、結果みんなにとって良いことになっていく描写が多めなのは、ホッコリ出来る要素で好きだ。
あきらか家庭環境に難アリと、背伸びした足元と寂しい瞳に書いてある桃子ちゃんが、同じく迷子になった子どもに優しく出来た様子、それを周りの仲間達が喜んでいる様子も、また良かった。
何しろ人数が多いので今後切り込むかわからんけども、明らかに桃子ちゃんはすぐさまケアしなきゃいけないタイプの張り詰め方をしており、そこに踏み込むとかなり美味しい”汁”が絞れそうな気配漂っているので、ググッと入って行ってほしい。
でも家庭問題は今回ラストにヌッと顔出した静香パパが背負いそうな感じもあるので、この人数だと触らない感じかなぁ……。
つーかお父さん、わざわざお台場まで足を運んで娘がどんな夢に向き合っているのか、自分の目で確かめた上で文句言いに来たんスね……娘LOVEッスね。
プレオープンイベントを何でもありのお祭りにすることで、みんなが手を携えないと乗り越えられない課題が生まれ、それぞれの個性を輝かせながら仲良く元気に前に進んでいく、ミリオンスターズの基本形が元気に弾けてもいた。
暗めの前回も含め、準備段階を長く映すことで『頑張っているなぁ……』と見ているものに思わせ、デビュー前からの後方古参腕組み勢に視聴者をしていってしまう、アイドルドキュメンタリーに巻き込まれていく感じの作りが、なかなか楽しい。
この構造を上手く回す狂言回しとして、とにかくやかましく活発で可愛い茜ちゃんはベストチョイスで、きっちりギャフンとやり込められること含めて、大人数の楽しさを手際良く魅せる仕事を頑張ってくれていた。
新しい要素を照らすだけでなく、既に描かれた関係性をテンポよく膨らませるのも上手くて、名前呼びが嬉しい百合子と未来ちゃんの信頼関係とか、やっぱり頼れるまつり姫のステージ組リーダー感とか、少ない手数で良い味出していたと思う。
やっぱ短い尺をどう活かしてどう刺すか、考えながら作っているのが大人数を効果的に使う足場に、しっかりなってる印象。
屋台ありイベントあり、子どもら大はしゃぎのハッピーイベントの真ん中に、歌と踊りをしっかりもってきて、”アイドル”のど真ん中をちゃんとやっていたのも偉かった。
まだ個別の衣装もないけども、精一杯自分たちに出来る表現を必死に頑張って、目の前にいる観客に夢を届けられるようステージを成り立たせている七人が、ここからどんな風に大きくなっていくのか。
そこに期待を持てるステージだったと思う。
オールスターズ先輩から借り受けた、いかにもアイドル紹介ソングっぽい元気な一曲めでバッチリ掴んで、アコースティックの手作り感と素朴な必死さが少女たちの現状を活写する”Thank you”でエモくまとめていくの、良いセットリストだった。
ぶっきらぼうでちょっと怖そうなジュリアお姉さんが、伊達や酔狂で声帯が愛美じゃない音楽強者っぷりを存分に発揮して、パフォーマンスの下支えをしていたのも良かったな。
こういう感じで『お、この子良いじゃん……』って場面がズバズバ襲いかかってくるのは、『このアイドル軍団の中から、あなたが好きになれる子を見つけてくださいッ!』って本気で殴りつけてくる感じがあって、大変いい。
そういう眼の血走らせ方をしてねぇ束モノコンテンツを、俺は信用しないことにしとるのだ……。(偏屈オタクの寝言)
第1話においては春香さんに魔法をかけられる側だった未来ちゃんが、ニューカマー二人に”アイドル”のなんたるかを理解させる綺羅星になっていたのも、主役の器をしっかり描いていて良い。
未来ちゃんがあのとき出会い受け取ったものは、手作りのステージ、練習着のドレスでも圧倒的なトキメキを見ているものに与え、輝かせていく。
そういう手渡しの継承が、既に物語の主役を終えたオールスターズを追いかけ今、自分たちの物語をアニメにしているミリオンスターズの中心に瞬いていることを、主役である未来ちゃんが体現する。
このアニメが”アイドル”のアニメである以上、それはとっても大事なことだろう。
ようやくであった自分だけの夢に浮かれているからこそ、色んなアイデアが湧き出して止まらないやる気以外にも、ひたむきな頑張りが観客の心を打つメッセージ性、力強く仲間を引っ張り舞台を成り立たせる牽引力が”アイドル”春日未来にはあるのだと、彼女が何が強いのか、ちゃんと自己紹介してくれるエピソードなのが良かったです。
やっぱニチアサアイドルコンテンツの主役たるもの、理屈を超えたメッセージをパフォーマンスで飛ばすくらいのことはしないとなッ!
前回ドン曇りにへこんだところを見ているので、ずーっと楽しそうにみんなで笑って、瞳を輝かせてステージに挑んでいる姿が見れたのも、報われた感じがあって良かった。
ここらへんは下準備をちゃんと書いて、頑張ってる子達への共感をしっかり練り上げていく構成が、しっかり効いた結果かな。
というわけで、大変楽しいお祭りでした。
みんな可愛かったなぁ……あんなに女の子たちがいっぱい出てきて、あらゆる瞬間可愛いのほんと凄くない!!?(今更な発見)
夢を入れる箱を誰かが作ってくれるのを待つのではなく、その隣の荒野で自分たちだけの輝きを、自分たちの手で作っていく。
そうせざるを得ないワクワクと、それを形にできる絆と強さが素朴なキャンバスに眩しくて、ミリオンスターズの”今”をしっかり受け取ることが出来ました。
そんな最高イベントに水ぶっかける、スーツ姿の朴念仁。
次回は静香パパンと対峙していく感じになりそうですが、今回シアターには最高の仲間がいること、静香が心の底から楽しいと思える場所なのだと書いてくれたおかげで、あんま不安はありません。
どう考えても娘を溺愛しているしな、あのオッサン……。
次回も楽しみです!!