イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アイドルマスター ミリオンライブ!:第6話『動き出す夢 ライブシアタープロジェクト!』感想

 手作りライブは大成功!
 夢のシアターも無事完成し、新たなステージへと駆け上がっていく輝きの少女たちを追う、ミリアニ第6話である。

 ここまでのお話は未来・静香・翼の三人を軸に取り回してきたわけだが、ニューカマーである紬と歌織、ファーストデビュー組から志保をピックアップして、バラして混ぜて新しい化学反応を生む回だった。
 前回衝撃のヒキを見せつけた最上父は結構素直に引き下がったが、その『まぁ今は他にやることもあるし奥に引っ込めておいて……』感が、後々静香がデカい火種になる予感を強めてもいた。
 このゾクゾク落ち着かない感じをどっかで抱えた状態で、透明感高いお嬢様な外装に可愛いどポンコツ詰め込んだ白石紬が暖かく保護された、からあげ山盛り春日家を描かれちまうと、なんだか凄く切ない気持ちになった。
 静香はアイドルを誰よりも強く目指す真っ直ぐな気持ちと、それがなかなか素直に形になってくれない難しさとの板挟みで、一生眉間をしかめているのがとても可愛そうで、いつかなんの陰りもなくステージで顔を上げている姿を見たいと、強く思わせる。
 静香に漂う蒼い陰のオーラは、いっつもお口まん丸にしてる(かわいい)未来ちゃんのピンクな明るさ、肩の力を抜いてふんわり世間を泳いでいるように見えて人間を良く見てる翼のライトイエローと、常時対比し混ざり合いながら描かれている。
 ここら辺はゲームとしてのアイマス伝統、3つの属性色を主役ユニットで分割し、それぞれのキャラとドラマに反映しながら積み上げていく描き方か。
 六者三様の混ざり合いを豊かに描きつつ、『あなたはなぜ”アイドル”するのか』という作品のセントラルクエスチョンにしっかり切り込んでいったのも、新章開幕にあたり足元固めている感じで良かったです。

 

 というわけで各々見ていくと、未来ちゃんは誰とでもすぐ友達になれる素直さを全力でブン回し、慣れない都会に警戒しきりな水色少女の懐にグイグイ入っていった。
 第1話ではフィジカルが強調されていたけど、彼女の万能性って実は人間とのてらいのない向き合い方、踏み出した一歩が人間が歩むべき道を間違えない直感性にこそあるのだろう。
 明るく真っ直ぐ、ザ・主人公。
 ともすれば薄っぺらい造形になりそうなもんだが、彼女が放つ光がどんだけ色んな人を助けているかいっぱい描いてくれているのと、その影に中学生らしい夢と危うさがあると第4話で描いてくれたおかげで、結構良い陰影をもってる印象だ。

 そんな子にグイグイ来られちゃあ……金沢から来たベイビフェイスも一発陥落よッ!
 手作りライブを終え、未来ちゃんが持つ”アイドル”としての天性をしっかり描写した後なので、年下の先輩として頼もしく迷える子猫を引き取り、腹いっぱい食わせて幸せ家族の一員にしちまう頼もしさが、大変良かった。
 ここまではシアターの先輩に馴染み学びって側面が大きかったけど、紬という後輩を引っ張るポジションになることで、また新しい魅力に光が当たった感じだった。
 紬もちょっと早とちりでツンツンした部分は見せつつ、純朴でチャーミングな表情を幾つも見せてくれて、凄く可愛かった。
 事務所で喋ってる時のブラインドから漏れる光、レッスン終えて駅に帰る場面の夕焼けと、今回はすごくライティングが良い演出されていて、紬の良い所を沢山照らしてくる回だったと思う。

 二人が触れ合うことでお互いどんな存在なのか良く見えてくるし、それを照らすメインライトとして『なぜ”アイドル”なのか?』っていう、作品のど真ん中に食い込むネタをしっかりぶっ込んでくるのは良い。
 未来ちゃんがあんなに眩しく輝けているのは、第1話で”アイドル”に出会ってしまったからこそで、そういう瞬く星にちゃんとなりつつあるのだと、紬の初期衝動を聞き出す中で解ってくるのも良かった。
 シアターにミッシリ詰まった大所帯を描き切るには1クールはあまりに短すぎ、やるべきことは山積みな作品だと思うが、新入りから先輩へ、素人から微かだが確かな光を放つ”アイドル”へ、凄いスピードで未来ちゃんが羽化している様子を逃さず描いてくれているのは、どこ柱に鑑賞すればいいのか迷わずにすんでありがたい。

 

 んで、光があれば影もある。
 時限付きのアイドル活動に思い悩む静香に、ツン全開で強めに当たる北沢志保
 すげーバチバチトゲトゲしそうなマッチアップだったけど、ぶっきらぼうな厳しさの奥に”アイドル”目指す仲間への共感、仲間でライバルな静香を引っ張り上げようとするストイックな優しさがちゃんとあって、めちゃくちゃ良かった。
 ムビマスであんだけ余裕なかった子が、悩める新入りにアドバイスして突破口を作ってあげる、わかりにくい態度で『仲間で友達だよ……ッ!』と告げている仕草を見ると、かなりグッと来るね。

 『時間がないんです!』とバチ切れしてた志保が、同じく時間がないことに焦りすぎて”アイドル”に向き合えてない静香に対して、矢吹可奈を救った天海春香大菩薩の『やりたいことは何?』で切り込んでいくの、アニメでしかアイマス追いかけてない俺の中にも、ギラリと文脈が光った感じだったな……。
 『一生辛そうな顔している中学生に、みんな優しくして!』って思いながらミリマス見ているので、静香に優しくしてくれる人はあっという間に評価が上がる。(チョロい)
 なので、保護者として〆るところ〆つつ静香が今一番欲しい言葉をちゃんとかけて、不安な陰りを払ってあげたプロデューサーさんへの好感度も上がった。
 辛い生き方をしている子どもたちに、優しくしてくれる人たちが好き。

 未来ちゃんはあったけぇ家庭に紬を包み込んで、パジャマ貸して一緒に寝て家族の付き合いをすることで距離を詰めていたけども、静香と志保は(多分)家庭に爆弾抱えるどうしのクールな連帯で繋がっていく。
 彼女たちの魂舞台となるロッカールームが、冷酷さと冷静さを象徴する青系でカラーリングされているのが上手く印象を引っ張って、ベタつかないシャープな簡勁が構築されている現場に、大変マッチしていた。
 未来ちゃんは特に悩まず考えず、人間が為すべき最適解を選べてしまう。
 しかし人間みんなそんな風に出来るわけでもなく、不器用につっかえたり冷たくぶつかり合ったり、その中で自分を支えてくれる何かを掴んだりする道も、当然ある。
 未来ちゃんと紬のほんわか交流に、静香と志保のバチった触れ合いを並走させることで、色んな人がいて色んな繋がりがある面白さが、上手く形になっていた。
 ここら辺、人数多いからこそ出来る多様性の描き方で、ただ細かくキャラを弄り文脈にウィンクするだけではない、骨の太さを感じるね。

 

 ほいでこの二組とはちょっと違った温度感で、ナイトデートを堪能しつつスルスル懐に入っていく小悪魔少女・伊吹翼。
 歌織さんの大人な包容力に甘えるようでいて、すげー繊細かつクレバーに人間関係の距離感を測っている感じがよく出ていて、これもまた面白い描き方だった。
 翼は第4話で未来ちゃん演説をシアターに大公開した功労者なんだが、偶然と天然を装って『やるべき』と思ったことへ最短距離に切り込んでいくの、未来ちゃんとはまた違った直感力と知性を感じる。
 未来ちゃんがなんも考えず突っ走ってる(からこそ、突破力が高い)ところを、あはは~と笑いながら静かに見据えて、最短距離で走ってる感じ。
 ここら辺の戯けた外装とクールな知性の同居……徳川まつりと同じ匂いがするね。

 プロデューサーさん相手だと恋に恋してる酩酊感が結構ある翼だが、年上の同性で”アイドル”としては後輩な歌織さん相手だと、凄く冷静に相手に必要な玉を投げ、自分も知りたい新入りの事情を受け取って、いい関係を作ってる印象を受けた。
 歌織さんもクレバーな人なので、目の前の少女がかなり考えてコミュニケーションしてくれていること、そこに打算がなく善意があることをしっかり受け取って、礼儀正しくも暖かで真摯なやり取りをしていた。
 非常に何気ない日常の一コマに見えるのだが、あそこで構築されている関係性は得難いものであり、今後”アイドル”やってたら襲いかかってくるピンチを、乗り越える武器になるだろう。
 伊吹翼はこういう距離感と立ち回りで、自分が生きていくための……そして大事な仲間になった人たちを活かすための武器を集めて、図抜けた才能が善い使われ方をするよう頑張ってるんだな、と思える回だった。
 ちょっと寂しい画作りと距離感でデートを終えて、歌織さんが背中を向けた瞬間にピロンと写真つきで好意の証拠が飛んでくるの、マジでタイミングと刺し方巧すぎてビビった。
 これをやらしい計算ではなく、本心から自然にお出しできるところが伊吹翼の強さであり、優しさなんだろうなーって感じ。
 いやー……モテると思うよぉ……。

 紬ほど表にゃ出ないけど、歌織さんも新しい環境に飛び込むにあたり不安があったはずで、今回の幸せデートはそれをしっかりほぐしてくれたはずだ。
 未来ちゃんがガッチリ至近距離にホールドして理解らせていた部分を、翼は凄く軽やかに彼女らしく踊っていて、しかし根っこにある優しさや頼もしさは同じだ。
 ここら辺、新キャラ二人追加したタイミングだからこそ描ける善さなので、頃合いを見逃さず良い話作ったなーと思った。
 『中学生に気遣われて恥ずかしくないんか!』って展開でもあるんだが、年も家庭環境も性格も強みもバラバラな、だからこそ支え合いより強くなって行けるシアター家族にとって、重ねた年月より強いものが確かにあるんじゃいッ!
 そんなフラットな関係性だけでなく、つんつん桃子を優しく見守り抱きしめてあげている年長者たちとか、同い年といいつつアイドル歴の分厚さで静香を引っ張る志保のありがたみとか、年齢差があればこその関係性も大事にしてくれているのが好きよ。

 

 というわけで、六者三様の強さと優しさが描かれる回でした。
 はらっぱライブという一大イベントを終えて、一息ついたこのタイミング、主役三人のそれぞれの関係性を、バラバラにほぐして別の相手と繋ぎ合わす形で描いたのは、大変良かったです。
 静香とマッチアップしてくれた志保がデビューステージに立つことで、頼れる先輩の晴れ舞台という意味合いが”Star Impression”に、しっかり宿っていました。
 ゼロ年代ロボアニメの主題歌みてーな鮮烈なキャッチーさ、白組の実力を思い知らせる破綻のないカメラワークと描線……要所要所のライブ力でしっかり殴ってくるの、”アイドル”のアニメって感じで良い。

 そして次回は水着回ッ!
 勇者パースもバッチリ決めて、完全に”アイカツ!”後継者のオーラ出してきてますけども、メンバー総出の海遊びはなかなか賑やかになりそうです。
 俺は無印アニマス第5話が大好きなので、『ひゃっほー肌色面積が多いぜありがとー!』で終わらない、海回やられるとドラマのうねりも欲しくなっちまうね。
 次回も楽しみです!