大資本とのせめぎ合いに悩む波止工業に、舞い降りた救いの神は……コテコテ関西弁のハゲ親父!?
明瞭なヴィジョンと的確なプランでもって、ポンコツ零細企業に今必要な全てを手渡すビジネスパートナーを隣に従え、塩田との最終決戦に向けて一気に状況が動く、ブルバスター第11話である。
つーわけで、準備不足で巨獣の巣から一時退却したら、ハゲ頭の天使が空から降ってきて暗黒メガコーポと戦い切るだけの地固めが、一気に整っていく展開となった。
人材も経営もガッタガタな波止から、一気にテーブルをひっくり返す妙案が出てくるのも難しいとはいえ、全ての解決策を商売の都から舞い降りた天才経営者が手渡してくれる展開は、ちいと強引さもある。
んだが、宝田社長の脂っこいキャラ性、ゴリゴリにハゲネタで押し切るパワー勝負がいい仕事して、『笑っちゃったんでソレでいいです』とはなった。
このまんまリアルさだけ勘案して、地道なゲリラ戦を塩田とやり続ける展開もカタルシスないしね……デウス・エクス・マキナを飲ませたければ、面白いやつにしちゃうのは正着なんだなぁ。
宝田社長が波止を見つけたのは、社員たちが打てる手が少ない中でライブ配信に挑んで声を上げた結果なわけで、そういう意味でも自分にはまぁ飲める話運びであった。
塩田の隠蔽独占体質がヤダ味濃いので、地元も自分も波止も全員に利益があり、サンゴ研究してハゲ治す社会的ミッションまで見据えた宝田社長の真っ当さは、濁りがなくて飲みやすい。
塩田が婉曲的に『お前らのためだろッ!』と弱い人を丸め込むのに対し、欲も欲の先にあるものも包み隠さず放言して、対等な関係を波止や島民と作ろうとしてくれてるところも、地面に足ついてていい感じだ。
ここら辺の善良さが、ハゲ散らかしたコテコテ大阪商人キャラと合わせてお出しされるのがこのアニメらしい味だし、真っ直ぐなことするにしてもトホホテイストが付きまとう”抜き”の作り方もらしくて良かった。
波止が上手く地元に提示できず、それ故塩田が付け入る隙を産んでた継続可能な産業ヴィジョンを、あっという間にスケールデカくおっ立てて青写真仕上げるあたり、作中随一の優秀さではある。
一方塩田も大企業らしい剛腕丸め込みを発揮し、自治会を飛ばして一気に地方行政に食い込んで、巨獣量産体制へと突き進む。
淡水化プラント事業を飛び越して、バイオコンピューティグで一歩先んじるべく地元を怪物の巣にするの、悪の大企業仕草として完成されていて良かったな……沖野くんのやらかしをもみ消した情報操作が、今度は大企業の長い手として牙剥いてくる展開も好き。
このまんま権益と制度を悪用して島を制圧し、被災者無視でゴリゴリ突き進む……と思いきや、造反のコンピューター人間がいい楔となり、ギリギリのタイミングで独走にブレーキが掛かった。
言外の意味をたっぷりと含んだ、鹿内さんのジャパニーズ・ビジネス言説をカケラも飲み込めず、全てをカッチリ切り分ける鉛くんらしさで『あ、こりゃダメだな……』とすぐ理解るやりとり、大変良かったです。
真っ直ぐにしか進めない正義のロボットに、適切な指示を下せなかった結果、一回背中向けた島民が説得されるほどの材料持ち出されて、反撃体制整えられてるのホント気の毒で、ザマァって感じ。
ここまでフリとして強調してきた鉛くんの真っ直ぐさが、ようやく回収されての最終決戦合流であるけども、ドタバタ凸凹噛み合わないまま、自分たちなりの正しさを探して仕事してた波止のやり方が、鉛くんに届いていた結果だとも思う。
一般社会からはみ出すほどのスジ重視、真っ直ぐにしか進めないロボット人間が地元民を説得し得たのは……まぁ具体的な描写飛ばされたんで推測でしかないんだけども、上手く自分の願いを他人に伝えられなかった鉛くんが、誰かを動かすためのコミュニケーションにようやく成功した感じがあって良かった。
ここで地元との軋轢引っ張ってもモタれるので、鉛くんが先回りして自治会長説得してくれている展開はアリだと思うが、俺は鉛くん推しなのでどんくらい実直に熱く、不器用な彼の言葉が人の心を動かしたのかは見届けたかった……。
合理を絶対としつつ、回り道に思えるような利益度外視の立ち回りとか、激ヤバな情報漏洩にも全力でブッ込むところとか、鉛くんのプログラム間違えたロボット人間っぷりはやっぱり好きだ。
つーわけで塩田と一線交える体制が整ったが、さー主人公どこで燃えるのか。
主役メカの活躍と合わせて、現場班の見せ場が龍眼島奪還作戦に映えそうで、なかなか楽しみである。
最後に1発、ブルバスターがどんな力を持っていて何を守りうるのか、アクションの中でしっかり見せてくれると収まりいいと思うので、巨獣との決戦をどう描き切るかには期待が高まる。
零細企業のスケール感に合わせて、ブルバスターが暴れまわる場面そんなに多くなかったしな……でもそこで、あんま派手な絵作らない方針守ったことで、企業モノとしての手触りを保てたとも思うが。
とまれ大団円にたどり着くためには、塩田科学という経済の巨獣に食らいついて、最後のあがきを見せなければいけない局面。
禿頭の守護天使の力を借りて、地元との関係も構築できた波止工業は、どんな”仕事”に勤しむのか。
次回も楽しみです!