イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

わんだふるぷりきゅあ!:第4話『猫屋敷の猫とまゆ』感想

 友達一人いないこの街は、怖いものだらけの荒野なんかじゃない!
 貴方と私の素敵なファーストコンタクト、猫屋敷姉妹攻略本格始動ッ! な、わんぷり第4話である。

 悟くんを仲間に引き入れて一応の陣営が整い、とは言うものの犬飼姉妹の毎日は楽しい事だらけ。
 楽土ニコガーデン再生にばっか全力注がず、新しく出来た素敵なお店に一番乗りもしたい! つうわけで、わんぷり世界のプリティホリックお目見え回となった。
 想定してたより遥かにグイグイガンガン突っ走るいろはちゃんを先頭に、楽しいこと何でも口に出しちゃうこむぎちゃんをお供に連れて、新しいお友達との出会いが幸せに描かれていた。
 ユキにウザがられつつも、気に入ったからとにかく前のめりに一生喋り続けてるこむぎちゃんの全力児童っぷり、今までのプリキュアであんまなかった手触りで凄く良かった。
 『犬が人間になる』っつう設定を、ペット禁止なお店に入りたい程度の気軽さでガンガンぶん回し、一般的な子どもならもうちょい大人びて書かれるだろう個性を背負わせて活かしているの、面白いなぁと思う。
 秘密は守れねーしブレーキは効かない、全く困った子だけども、湧き上がるLOVEに一切ブレーキ踏むことなく走れる、こむぎちゃんの純粋さはとにかく眩しい。
 今後もいろはお姉ちゃんと楽しく過ごしつつ、色んなことを学んでどんどん賢く変わり、素直な善さは真っすぐ伸ばしていって欲しいね……。

 

 いきなりプリキュアに変身! つう焦った話運びをせず、知らない街に引っ越して友達できるかマジ心配、猫吸いで不安を紛らわすまゆちゃんの思いに、どっしり腰を下ろして話は展開していく。
 結構気さくに変身する所とか、楽土再生の使命よりプリホリ一番乗りな所とか、いい感じに肩の力が抜けて自然体な所は、わんぷりのとても良いところだと思う。
 これがノー暴力な追いかけっこアクションをあえて選んだ、ガルガルな非日常を包んでいる空気とも面白く響き合って、独自の味わいが既に生まれているのは好きだ。
 結構大事なこと言ってるメエメエを置き去りに、興味に向かってひたすら突っ走るいろはちゃんの元気さは、今回新たな街に怯えるまゆちゃんに優しい贈り物を届けた。
 長所は短所ともなりうるわけで、全力で走りまくる犬飼姉妹の個性が、どっかで厄介事を引き起こすことにもなるだろうけど、その時は怯えつつも慎重で、コスメにも真剣に身を入れていたまゆちゃんの良い所が、今回の恩を返すんだと思う。
 周り見ずに暴走しているようでいて、まゆちゃんの怯えをしっかり視界に入れてるいろはちゃんとか、なかなか前に出れないけど一心不乱になにかに打ち込めるまゆちゃんの善さとか、元気で楽しい展開の中でキャラが上手く削り出されていたのは、大変良かった。

 少女たちの繋がりと並走する形で、犬猫運命の邂逅も書かれていたし、猫屋敷の二人がどういう生活を送り繋がっているのかも、いい感じに見えてきた。
 可愛い駄々を路上に撒き散らすこむぎが、加減無視した全力前のめりでユキの懐に入ろうとするのを、クールに受け流し時に不機嫌猫パンチ、なかなか面白くなりそうな邂逅だったなぁ。
 こむぎ→いろはが姉を見上げる妹という感じの距離感なのに対し、ユキ様は何かと道に怯えがちなまゆちゃんを鷹揚に見守り、まゆちゃんはその存在に安らぎを覚えるという、逆転した繋がり方をしているのは面白い。
 アクティブないろはちゃんと内気なまゆちゃんの対比もそうだけど、色んな場所に真逆な面白さを仕込んで、多彩な人たちが出会い分かり合って生まれる化学反応を、今後しっかり書いていく姿勢を感じられた。
 やっぱ真逆にも思えるような個性や環境で育った子たちが、お互いをよく知り楽しく暮らす中で自分の在り方も探っていくお話が好きなので、そのタネがいい感じに咲きそうなのは嬉しい。

 

 いろはちゃんからまゆちゃんへの歩み寄りを、ガルガル救済のミッションと上手く重ねて話を運んでいたのも、今回とても良かった。
 ガルガルは罪もねぇ禽獣が邪悪な力に侵され、ワケの分からねぇまま苦しんでいるガチ被害者なわけで、その怯えや苦しみを理解し、彼らと同じ視線に立ってコミュニケーションをするのがわんぷりでは大事だ。
 その慈愛と共感が非日常の戦いだけでなく、新しいお友達とワクワクな新生活を送っていくという、大変ありふれて大切な出来事にも伸びていくのが、日常と非日常をシームレスに繋ぐ架け橋になっていて、わんぷりらしい語り口だなと思った。
 生真面目なメエメエを置き去りにひた走るいろはちゃんが、肝心なところでは動物知識を思い出して適切な行動が取れるの、いいバランスの書き方だと思う。
 プリキュアとしての使命一本槍で視界が狭まるんじゃなくて、むしろ救済の重責も楽しみながら何でも全力でやりきってしまうタフさがあるの、力強くて良いと思う。
 メエメエはまぁ……しばらくは悟くんと絆を深めてもらおう! 悟メエキテる!!

 ともすればユキとの閉じた関係に落ち着いてしまいがちな、まゆちゃんの心をいろはちゃんが力強く、優しく叩いたことが、どんな変化をもたらして行くのか。
 これはこっから一年続いていく物語の中で、じっくり描いていくべき大きなテーマだと思う。
 いろは-こむぎ、まゆ-ユキそれぞれの関係性は、共に過ごした時間の積み重ねもあって結構既に仕上がっている中、『人間の姿を得る』っていう変化がどう影響していくかを追ってく感じで、人同士犬猫同士の繋がりは、はじめましてからスタートする白紙の関係なの、なかなか良いメリハリだなと感じます。
 まゆちゃんがユキをどんだけ頼りに愛していて、そのすがりつく手をはねのけることなく、しかし気高さを保っていい距離で向き合ってるユキとの距離感とか、やっぱ猫屋敷家にクローズアップすればこそ描けたもんなので、今後も色んな要素にフォーカスして、多彩な面白さを作っていって欲しい。

 

 つうわけで、新キュアお披露目……というか新しいお友達を懐に向かいいれる、最初の一歩という感じのお話でした。
 激しいバトル要素をあえて遠ざけて、穏やかで柔らかい(バリアもぷにぷにだ!)お話を編んでいる事が、少女たちの出会いと変化を追いかけていく筆にもいい影響を及ぼしそうで、大変期待の持てる第4話でした。
 次回販促アイテムをぶっ込んで、また一つわんぷりなりの”お約束”との向き合い方も見えてくるのでしょうが、現状いい感じに弾んでいるわんぷりらしさを生かして、楽しいお話を作っていってくれたら良いなと思います。
 次回も楽しみッ!