イマワノキワ

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終末トレインどこへいく?:第4話『なんでおしり隠すの?』感想ツイートまとめ

 武蔵横手から稲荷山に至る、幻想と狂気に満ちた長くて短い旅路。
 終末トレインどこへいく? 第4話を見る。

 第2話に引き続き運命共同体の過去と現在をゆるやかに見せる回であるが、ヤギ人間からミニチュア軍隊まで、多種多様な狂気が見ている側を飽きさせず、奇妙な詩情と落ち着きをもって旅を見守れた。
 一面の高麗人参、物言う地蔵の群れ、空を埋め尽くす臓物。
 多種多様なヴィジュアルでもって、終わってしまった世界の奇妙な面白さを伝えてくれるのは、作品で摂取したい味わいをちゃんと手渡してくれる感じで良い。
 やっぱこの奇妙奇天烈、しっかり飲み干したい旨味がちゃんとあるな…異界旅行で大事な所だ。

 

 絵面は大変に狂っているが、そこを征く少女と犬は全体的に穏やかというか、シリアスなヤバさを遠ざけるようにきらら気配を維持。
 世界は大変にヤバいのに、温まったい青春をバリアのように張り巡らして、ドタバタしみじみお互いを大事にしながら進んでいく様子が、独自のテンポを生み出してもいる。
 狂って終わってしまった自分の外側に、侵食されずペースを保ち、ギリギリ笑える範疇で物語を展開するためには、大人と子供の中間地点に立っている思春期の少女達と、彼女たちのとても小さな触れ合いが必要なのだろう。
 ジュブナイルのキャンバスに塗ることで、狂気と破滅の原液がギリギリ、チャーミングな色合いを引き出されている印象。

 東吾野でのキノコ・クライシスを経て、観光気分もいい塩梅に抜け、少女たちは少しタフになった。
 第2話で境界線がはっきり引かれていた、静留の運転席と撫子たちの客席は境が薄くなり、玲実もマスコンを握り静留もモールス信号をやる。
 誰かに押し付け任せるのではなく、旅に必要なよしなし事をそれぞれ引き受け、おパンツ洗濯したり食料取ったり、狂気の旅は異界観光からJKサバイバルへ、少し手触りを変えつつある。
 ここら辺の生活感の強化が、終末旅行を通じてちょっとずつ女の子たちが変わっていく手触りをしっかり補強し、独特の味わいも生み出してて善い。
 カオスな狂気を表に立てつつ、青春と旅情を大事にしてくれてる印象だ。

 

 前回孤軍奮闘で仲間を菌糸から守った晶は、ビビリとプライドが入り混じった素直になれなさでお尻のキノコを見せられず、大分やばい感じに追い詰められていく。
 すっかりダメになってしまった彼女を救うべく、仲間たちが色々駆けずり回るのは、頑張ってくれた晶への恩返し…トンチキながら確かな絆を感じさせて、なんか良かった。

 ビビりだったり無遠慮だったり、それぞれ個性や適正は違えども、終末トレインに乗ってしまっている以上皆は仲間で、生きるも死ぬも一緒だ。
 どんだけコミカルでクレイジーでも、人間と人間が繋がる根っこは、(一応)正気(に見える)な僕らの世界と変わりがないわけで、そこ大事にしてくれると見やすい。

 ここまで静留重点で転がしてきたお話が、奮戦の代償として晶が凹むことで、彼女に一番縁が深い玲実をクローズアップする形になっていくのも、また面白い。
 世間が狭い片田舎で、泣くも笑うもずっと一緒だった幼馴染は、ギャーギャーいがみ合いながらもお互いをよく分かっていて、消えてしまえばとても淋しい。
 トンチキながら本物な、二人の耐えない絆が描かれることで、転校生と地元っ子、仲違いしたまま運命に引き裂かれた静留と葉香の関係性も、別の角度から照らされていく。
 後々問題山積とはいえ、おしりのキノコをダイレクトに引っこ抜ける玲実に対し、静留は葉香に会えすらしない。
 だからこそ、終末トレインは池袋を目指す。

 時折挟まる回想シーンが、電車内に詰め込まれた過去の記憶、感情の苗床をこちらに見せてくれて、今彼女たちが立っている場所と、これから征く未来への納得を深めてもくれる。
 玲実と晶が想像(あるいは期待)通りに、ケンカするほど仲が良い最高幼馴染だと教えてくれたことで、勢いよく滑り出した終末トレインに何が積まれていて、どんだけ世界が狂っていても守りたいのか、こっち側に届いた感じだ。
 やっぱこういう手触りがないと、お話にもキャラにも体重を預けられないし、狂った世界の魅力も上滑りしてしまって、ゲラゲラ笑いつつ心底楽しむとは行かなくなるだろう。
 湿った人情とシニカルな笑い、両者のバランスが良いお話。

 狂った危険が山盛りの世界で、撫子ちゃんはひとり静かに弦を張り、”いつか”に備える。
 彼女が極めて冷静に周囲を睥睨し、何かと危なっかしい友達がイカれた世界で生き延びられるよう、穏やかに靭やかに立ち回っている彼女が、ユルい雰囲気に似合わぬ”暴”を構えている様子は、お話全体をピリッと引き締めていた。
 彼女の人徳でノリ任せの旅もなんとか回ってる感じが強いが、静留-葉香/玲実-晶でラインが繋がって、撫子一人浮きな状況で宙ぶらりんなのは、なかなか気になる。
 この浮遊感がそのうち、感情の出口を求めて誰かに襲いかかってくると、良い感じの温度上がりそうだがさて、どうなるか…アツいの頼むマジ!

 

 期間限定の賢者の助言を受けて、稲荷山に救済を求めたら、1/6サイズの軍隊に襲われ次回に続く。
 令和時代のリリパットヒッチャーが何を暴き出すか、なかなか良い感じで引いたけども、東吾野の体たらくを見るだに、なかなかロクでもないんだろうなぁ…(ワクワク)

 今回7駅駆け抜けたことで良い感じにスピード感も出たし、終末紀行に対応してちょっとタフになった一行も見れたし、新たな危機をどう切り抜け、マタンゴ退治頑張ってくれた晶に報いるのか、楽しみに来週を待ちます。
 奇想が暴れる消化難易度高い話ながら、ペーソスに満ちた雰囲気と確かな青春絵巻っぷりで、結構食べやすいのは流石の味付けだ…。