無人の年末学生寮、女と女が接近(ちかづ)いて…ようやっと物語のギア上がってきたど!!
先生どころか生徒も不在、舞台からキャラ下ろすたびに物語進行がスムーズになる、まほなれ第6話である。
ミナミ先生、次回予告でチョケてる場合じゃないってマジッ!(挨拶)
というわけで、強歩大会でリーダーシップを発揮したユズちゃんが、主人公あんま関係ない所で抱えてたモヤモヤを解消し、すごい勢いの自己開示と心理的接近をぶっ込んできた。
話に手応えが出るのでこういうのは大歓迎なのだが、勝手に立ち直った感が分厚くありなかなか凄い。
つなぎ方はさておき、前回辺りから話しに必要なムーヴやってくれてるのは有難いか。
全てを知るメンターっ面しておいて、極音速の超放置を現在進行系でぶっ決めてるミナミ先生に対し、普通科のぼんくら共が反発するのは、まぁ当然のことだと思う。
別れ際の言葉がユズちゃん再起のキッカケになったとて、それはユズちゃん(とご両親)が自力で立ち上がれるタフな自分を鍛えてきただけの事であり、あの人マジなんで学校にいないの…。
いかにも重要人物っぽい立ち位置な上に、主役たちに夢のカケラを与えちまった大人が、果たすべき責任を果たせる場所にいないという一大事、匂わせ程度でも事情を教えてくれたら、こんなにモヤッとはしないと思う。
大人に頼らず、子ども達だけのパワーでやり切るぞ! つう話…なのか?
ほっさん声でも免責されないヤバすぎ自由人(フリーマン)は横に置いて、子どもらは期末テストを終えて年末休暇。
話の本筋に絡む連中だけが残って、純度の濃い物語が展開された。
普通科のぼんくら共が、魔法エリートの価値観では落ちこぼれ扱いだが、フツーの目線だと早いタイミングで夢見定め、そこに向かって全力疾走ぶっ込んでる輩なのは、俺結構好きなんだよな。
能力も意欲もちゃんとあって、しかしそれを評価する社会のほうがなんかネジレているという…。
ここら辺、マ組からの脱落者であるアニクくんの追加で、より鮮明になっていく感じかなぁ…。
ラブコメ加速要因っぽい感じもあるが、さて…。
つーかポッとでのポッと出野郎より、ユズちゃんの超音速吹き上がりだよッ!!
教師不在の最悪状況で、当然魔法行使に失敗したクルミちゃんは、夢のなさにガン凹み。
置いていかれる恐怖をコミカルに演出などしていたら、「魔法使いになる」という呪いから(自力で)開放されたユズちゃんが猛追キメてきて、すごい勢いで距離が詰まった。
多分、このフレンドリーな可愛げが”素”だから、柑橘系女子に愛でられてたんだろうな…。
それにしたって、地金が顕になるのが急すぎなので受け取り方には困る。
可愛いし、クルミちゃんと仲いいの嬉しいから良いけどさ。
父母を愛すればこそ、後押ししてくれた夢が叶わない後ろめたさが重たく、長く夢見ていたからこそ、それが喪われた痛みは強い。
ユズちゃんは結構複雑な社会的・心理的状況にいたキャラクターだと思うけども、そのコンプレックスを解きほぐす速度、似た環境で困ってるクルミちゃんに開示する率直さが、僕の想定より数段激しかった。
ぶっちゃけ自力では解きほぐせないこういう悩みを、素朴なクルミちゃんが解体する(少なくとも、その手伝いをする)ことで関係が深まるかと思ってたら、ユズちゃんは鍛え上げられた人格エリートだったので、小さなヒントで苦境を突破し、自力で背筋を伸ばしてきた。
つ、つええ…強すぎる。
この前向きなタフさ、エリートにふさわしい独立独歩っぷりは、ユニークな魅力を放っていて結構嫌いじゃない。
ただ…対話なり衝突なり、物語のありきたりな展開をしっかり二人に経由させることで、この子たちが何を望みどんな強みがあるのか、どこが真逆でだからこそ響き合ったら凄いのかを、よりわかりやすく可視化出来たとは感じる。
今回ユズちゃんがすごい勢いで上向きに…またクルミちゃんと物理的に近い距離に滑り込んできたのは、ぶっちゃけスゲー停滞してる物語の進行上必要、かつ大事なことではあろう。
しかしそこを優先することで、煮込んだら美味しいダシが出そうな要素を、一気に使っちゃったなという感じもあるね。
このユズちゃん急加速がどういう意味を持つかは、彼女が背筋を伸ばしたことで支えられるクルミちゃんの、未来次第だとは思う。
まぁクルミちゃんの「魔法使いになりたい」も大概ふわ~っとはしてて、そこを削り出すためにミナミ先生との対話が…って、あの女今表舞台にいねぇ!
何考えてんだマジッ!!
いや本当ねぇ、順当に破天荒教師との魔法授業で生徒との絆を深め、個別の課題や強みを浮き彫りにしていくスタンダードなルートを全力で蹴り飛ばして、主役の担任が学校から離れている理由、相当ドンピシャなの持ってこないと色々キツいと思いますよ…。
後半デカい話回す仕込みだとは思うんだが、ジュブナイルな話の組み方からして、子ども達の成長、そこで育まれていくミクロコスモスの在り方を丁寧に描く方が、世界の危機より大事だと感じるわけでね。
ドタバタな学校生活で育んだ自我が、世界全体と接合されて大きな社会的責務を果たす…マクロコスモスとミクロコスモスが繋がる決着のために、ジュブナイルにおけるデカい事件ってのはあると思うし、一個人の中にある小さな小宇宙を丁寧に掘り下げることなしに、デケー事件の仕込みしたってしょうがないでしょ!
…いやまぁ、めっちゃしょうもない理由で生育責務放棄してんのかもしれねぇけども。
それはそれで、このアニメっぽいといえばぽいか…。
さておき、ユズちゃんが自分の中にあった心のもつれを素直に吐露し、それを鏡にクルミちゃんが自己投影出来るようになったことで、急速に二人の間合いは縮まっていく。
というか、ユズちゃんが爆速で詰めていく。
スイッチ入ってからのユズちゃん、エリート意識ありまくりクルミちゃんのこと好きすぎの、全身エネルギー人間過ぎて面白いんだよな…。
この牽引力でもって、グダグダウジウジ夢なき虚無に悩んでるクルミちゃんを引っ張り上げて、話全体を上向きにしてくれると、想定していたトーンに近づくのでありがたい。
そう出来るだけのポテンシャルは、スーパー百合マシーンと化した今のユズちゃんに、確かにあるッ!
主役二人にクルマル兄弟、アニクくんとマジ研を加えて、無人の学校で魔素探検に漕ぎ出したら、地下の激ヤバ施設に遭遇した所で次回に続くッ!
普通科だとファッションバカなアスカが、兄貴といっしょにいるとめっちゃしっとり知性派なの死ぬほど面白くて、「そのギャップは何処から来てんだテメー!」ってなってる。
暗いの怖い地下通路大作として、”光るパジャマ”出してきたときのニチアサ感、ホント凄まじかったな…。
子どもらの情緒がかなり学童期レベルなの、俺は素朴で好きだよ。
色々凸凹はしてるが、安易にイヤなヤツがいないってのはこのお話の良い所だと思ってる。
先生不在の極限環境で、クルミちゃん以外に魔法使えない中での魔素災害。
爆速で女が女を支える距離に入ってきたユズちゃんの助けを借りて、何にも出来ない自分から脱皮する大チャンス! …ではある。
ここでスコンク一発、いい感じに主役がカッコよく決めるシーンが来てくれないと、クルミちゃんずーっと冴えないまんまだしな…。
主役が主役に選ばれるだけの特別感が、キャラの性格描写としても実際の行動としても、かなり薄いのはもったいないなぁ、と思う。
どっかでなんか、特別な一発を主役がしっかりキメてくれると、話の軸がガチッと定まって、一気に見やすくなるからな…。
頼んますよ、魔素災害さん…物語における試練ってのは、成長のための壁として機能するからこそ存在を許されてるわけでね…。
色々茶化してはいるものの、素朴で真っ直ぐな世界観とキャラ配置に期待するものは結構大きくて、そのポテンシャルを素直に発揮して欲しいなと、ずっと願っている。
ヘンテコな方向に素直で、妙な方向に捻くれてるこのお話が何処に行くのか、見届けたいと思う可愛げやトンチキも、しっかりあると思うしね。
もっとこのアニメを好きになるために、せっかくユズちゃんが自力でぶち破った殻を足場に活かして、来週ドドンと爽快に、物語を引っ張り上げてほしいなと思います。
そうするだけのポテンシャルは、クルミちゃんちゃんと持ってると思うんだよなぁ…。
次回も楽しみ!