イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アフター・リベラリズム

イマニュエル・ウォーラーステインの社会思想学の本。藤原書店発行。いや重厚な本でした。リベラリズム社会学の対立軸をメインに、この本の書かれた1995という時代からリベラリズムの将来を考える、という趣旨の本。1995といえば湾岸戦争とロシア崩壊の時代であり、みんながなんとなく「一つの平和な世界」がおとづれるのではないか、という期待に心が躍っていた時代だと思います。しかし10年たってみてやってきたのはアメリカ米帝の大暴れとそれに反動するイスラム原理主義テロという大惨事。
そこらへんをよく見切って「リベラリズムは死んだ。楽園は来ない」という感じに95年の時点で述べているこの本はいい。この本を読んで何より心に思ったのは、「歴史というのは繋がっているものだ」という感覚だった。今僕が感じている「現在」はいつだって「過去」から「未来」に繋がる一転でしかないので、その過去と未来のことをしっかり見据えること、つまり「歴史」への理解はとても重要だなと思った。リベラリズム分析としては「冷戦終結と一緒に自由主義陣営も死んだ」という視点一本で既に慧眼であり、やや細かすぎる嫌いのある叙述がちょっとだけ冗長だったが重工さと差し引きでオッケー。良い本でした。