イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

マジック・キングダムで落ちぶれて

コリィ・ドクトロワ、早川書房ローカス賞受賞作の日本初お目見え。老いも貧困も、死すら超越した遠未来世界。古典SFのユートピアのような世界で、主人公はディズニーワールドでホーンテッドマンションの管理人をし、権力闘争に敗れ、友人に妻を寝取られ、ともかくクソッタレな人間模様を繰り広げる。
そう、重要なのはその皮肉だ。理想世界でのせせこましくも醜い争い。アリスのように幼く美しかったはずの妻の裏切りと造反。既存のあらゆるパラダイスをロストさせるのではなく、デストロイするそのパンクな精神がたまらなく心地いい。ひどく尻のすわりの悪い小説で、ああいいSFを読んだ、という気分になる。パンクな物はとても好きだが、それがSFともなればなおさらである。グッド!