イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

外交官の仕事

河東哲夫、草思社ウズベキスタン大使などを歴任した元外務省エリートが、外交と外交官について述べた本。とにかく、判りやすい本である。頭の切れる人の文章の特長である、無駄なことは書かず、論旨が明確で、必ず結論と対案がある、という理想的な論述がまず目を引く。
その上で、現実に経験してきたことと外交の理論理想の部分のバランスが理想的で、泥臭い告発録でも、中身のない理論書でもない、外交の現場で仕事をしてきた積み重ねだけが生み出す説得力がある。さらに言えば、すでに引退した過去を美化するわけでも、日本という時刻を卑下するでも賞賛するでもない公平な視線は、なかなか稀有なものだ。このバランス感覚は、官僚制度が大きな変貌を遂げようとしている現在において、非常に有益なものを伝えてくれると思う。名著。