イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ポピュリズムに蝕まれるフランス

国末憲人、草思社。2002年の極右躍進に関するドキュメント。ポピュリズム、つまり政治的方針ではなく、徹底した大衆迎合・印象操作により票を集めるデマゴーグたちの政治。民主主義政治における、ギリシア時代からの最大弱点を、現在フランスの2002年大統領選挙における極右勢力の躍進、という側面から追いかけている。
事実の整理と分析は丁寧で適格だし、結論部に至るまでのしっかりとした視点は好感が持てる。ただ、インタビューや実際の人物・関係者を当たるというドキュメンタリーの手法が少々少なすぎ、机の上で捏ね上げた印象がぬぐえないのが弱点だろうか。もうすこし、現場を走り回る靴の足音が聞こえなければ、この状況に対する筆者の危機感というのは伝わってこないように思える。