イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

伊勢神宮

千田稔、中公新書伊勢神宮天照大神についての本。サブタイトルは「東アジアのアマテラス」 なかなかに力作である。古神道時代、いまだ神格が混沌としていた時代、アマテラスのルーツがいかなるものだったかを精密に読み解きつつ、渡来人の道教信仰、日本人意識の神国論など、なかなかに鋭い視座で記述されている。
大東亜期の国家神道に関する分析もあるが、これは正直あまり切れ味がよろしくない。まあ筆者の本業が地理歴史学(飛鳥期)なのだからそこは気にならなかった。1世紀から3世紀ぐらいの古神道期は、とにかく資料が混沌としているので、色々と迷う問題である。実際、ちょっと強引な資料読解もある。しかしそれでもあえて自説を強く押し出し、ぐいぐいと読ませる力の在る本になっている。良著。