イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

白いメリーさん

中島らも講談社文庫。ちょっと朝早く起きてしまったので読んだ。短編集である。ざらっとした感触のユーモアと、切れ味のいいエスプリ。ない交ぜにして、きっちり小説の形に纏めてある。
らもの破天荒な部分がクローズされるのはまぁ、そこにクローズしたほうが受けがいいので当然だとは思うけれども。結局らもの根っこは小説家で、その部分は文体の繊細さ、題材選びの妙、短編の構成の巧さ。つまりは小説の巧さが支えている。この短編集に外れはなくて、しかもバラエティ豊かだ。ユーモアも、叙情も、ホラーも、スリラーも、いろんな色の感情が中島らもという筆を通してすとん、と纏まっている。いい小説だ。つくづく、そう思う。