森薫、エンターブレイン。フェローズの主力艦、メイド神略してメ神こと森先生の新作、一巻目。カスピ海周辺っぽい地方を舞台に、１２歳の夫と２０歳の嫁さんを中心にしたお話。一言で言うと雰囲気マンガであり、あとがきで述べてる森先生の暴走するコーカサスとか民族衣装とか書きたい気持ちが結晶化したマンガ。つまりは（ある意味）今までといっしょ。
ビームが出たり死人が出たり、勇者が空から女の子が、ということは特に無く、姉さん女房がひたすら可愛く、中央アジア生活がひたすら丁寧に描かれるだけであります。そこらへんの穏やかな波に乗れるか、というのがこの漫画の評価に直結するのでしょうが、僕個人としてはノリノリです。露骨にキ入ってる描き込みが説得力とテンポを生み、ユーモラスな人物描写が冴え渡る。素晴らしい。
遊牧民出身の嫁さんと、定住民出身の旦那のズレとか、嫁さんの実家との軋轢とか、今後回りそうなネタもちらほら。しかしなにより、コーカサスの生活ドキュメンタリーとして、適切にエキゾチックで適切にドラマチックなこの漫画は、やはり面白い。メ神の指が心配になる衣装ですが、楽しそうでもあるので問題ないでしょう。今後に非常に期待であります。
