イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 14/08/08

 

・ ハナヤマタ
タミーの加入という一大イベントを経て、面倒くさい女子中学生イベントも一段落。
よさこいの魅力を再確認し、「友達の友達」という間合いの遠いたみややを接近させ、主人公が恥ずかしいセリフを乱発するという、結構盛りだくさんな回でした。
久々に画面発光しまくってて、このやり過ぎ感嫌いじゃないなと再確認する。

地ならし回に見えて、ややちゃん周辺は書類が整い現場に足を運び、あっという間に外堀が埋められた感。
タミーとも仲良くなってこのまま順当に……とは絶対にならんな、ややちゃんだし。
バンドとのスケジュール関係で地雷が埋まっているので、そのうち爆発するのでしょう。

一方主人公は、釣った魚には餌をやらず、発光しつつバリバリポエミィだった。
なるが吠えた夢っぽいことを、思春期のめんどくささという波を被りつつ、よさこい部する過程で叶えていくという基本構図を、もう一度やり直してる回なのね、今回。
世界のほうがあまり補正をかけてくれない話なので、地ならしした後は波が来るわけですけども。
ややちゃんとメガネ、どっちからかなぁ……。

 

・ ろこどる
前回均した土台を足場に、魚心くん(+おまけで流川ガールズ)全国に飛翔! という回。
開幕二秒でクソレズに挟み撃ちにされたなにゃこには笑ったが、メインはゆい先輩。
流川ガールズが主役だと出せない、ギトギトしたコメディ感満載でなかなか面白かったです。

ろこどるは非常に「手の届く範囲でも困難設定」と「それを克服する過程」「結果得られたもの」の描写が上手く、主人公たちの成長と発達に説得力があるアニメになっていると思います。
今回で言うなら、ゆい先輩の疲労描写をフェティッシュに丁寧にやってるところとかね。
画面に写すものをしっかり考えて作っているので、ただのゆるふわ系ではなく、「地域振興」という目的を持って「ろこどる(もしくはゆるキャラ」するという軸がしっかりあるように受け止められ、毎回満足度が高い仕上がりになっている。

同時に可愛い女の子のゆるふわガールズストーリー(二秒で考えたきらら系キャッチコピー。原作ぱれっとだけど)でもあるので、抜くところはきっちり抜いて、可愛く楽しいムードで全体を覆うのも忘れない。
やっぱり、凄くバランスの良いアニメだと思います。
尖らせる部分は尖らせてるしね、クソレズのクソレズ加減とか……やっぱそろそろ、縁先輩の活動を市条例で制限するべき。

今回はそれに加え、何処かいびつな面白さのある「ゆるキャラ」を前面に押し出して、シニカルな笑いを盛り込んでいたのもグッド。
普段が天使たちの住む街流川って感じの、毒の少ないイイハナシで回している分、今回の斜めの視線はよく刺さった。
ムッキムキになってるタマホッシーくんとか、異常に強調されるタマホッシーくんの股間とか、普段抑えてる毒が溢れてて良かったです。
いろんな武器を持っていて、必要なタイミングで必要なだけ出せるアニメというのは、やっぱり面白いアニメだなぁと思いました。

 

・ 残響のテロル
「ハイハイ謎々、ハイハイ無傷で解決解決」と思い始めたタイミングで横合いからドーン! と来ました。
「とっととガクソに帰れ!」と言いたくなる怪しげな新キャラ、警察・テロル両サイドに伸びる魔の手、流れる血。
非常に良いタイミングで舵を切った、第五回でありました。

主人公の無双フェイズが長かったこのアニメですが、今回登場したハイヴさんが横合いから思い切り殴りつけたせいでパターンが崩れ、色々見えてきたモノありけり。
それは例えば奇っ怪なテロルの目的であったり、過剰に柴崎を信頼するナインへの疑問であったり、最後の最後で爆弾ではなく人間に手を伸ばしてしまうナインくんの内面であったり、スカシた面で厨二病してたら浮かび上がらなかった部分。
パターン化するまで表面を繰り返し描写したことが、切断面が見える瞬間のインパクトにも繋がっていて、なかなか面白い作りだなと関心しました。
しかしアレだな、主人公からの信頼度といい、事件への関わり方といい、ホントこのアニメ柴崎さんがナイン用ヒロインだな。

一方ツエルブ用ヒロインであるリサちゃんは、スピンクスとの楽しい生活を結構満喫してた。
青年三人の奇妙な同居生活の描写は、定番ながらもフレッシュであり、それ故ぶっ壊れる時の衝撃を予期して身構えてしまうねいい意味で。
ツエルブが延々理由をつけて「リサちゃん隣においておこうぜ、いい匂いするし」と言い続けている純情に、おじさんホッコリ。

キャラ描写以外にも、スピンクスとハイヴが育成されていた組織と、テロ対象との繋がりを感じさせる描写が出て、話にも進展があった感じ。
何より主人公サイド・警察サイド両方に喧嘩をふっかけた第三者、ハイヴさんの仕事が非常に良くて、颯爽登場とはこんなふうにやるんだなぁと感心してしまった。
主人公サイドのモチベーションが見えてきたタイミングで、新たな謎を抱えた登場人物を出すのは、物語の燃料が切れないいい手だと思います。

ハイヴはなぜ物語に登場し、何を狙っているのか。
ナインと柴崎の繋がりと合わせて、この2つが今後の導線になってくのかなぁ。
中盤の切り返し回として、凄く鮮烈でいい出来だったと思います。
面白くなってきたじゃないの、残響のテロル。


・ 少年ハリウッド
下積み時代をとりあえず終えて、二代目少年ハリウッド初お披露目は一話丸々劇中劇。
Cパートに舞台裏を入れさえしない、ガッチンガッチンにストイックな構成に挑んだその気概に、まずは拍手。
そして気概だけではなく、舞台特有の間合いや空気感を丁寧に出し、メタファーを多用するという少ハリの得意技を活かしてテーマを作り、前回のキラの話を拾いと、中身にもしっかり気を配ったいい仕上がりだった。
何度も急カーブを曲がる脚本も、その迷走を飲み込ませる生の舞台という魔力を際立たせていて、個人的にはグッドでした。

少年ハリウッドの子たちがアイドルである以上、「観客の前での彼らは全て作られた存在であり、虚像こそが観客を楽しませる」というテーマは第一話からずっと、このアニメで語られてきました。
"素"の彼らが次回予告以外出ない回、24分間ずっと演技し続ける回を、"アイドル"少年ハリウッドが一応完成したタイミングで持ってきたのは、第一回の恥ずかしい自己紹介を演じきれなかった彼らの成長を見せる意味でも、とても良かったと思います。
舞台一本を成立させるくらいには、彼らは「客の見たい自分」を演じきれるくらいに、アイドルを本気でやっている、ということを圧倒的な質量・質感で押し込んでくれたわけで。

マッキーが台詞飛ばして、それを前回主役回をもらって成長したキラがフォローすることでギリギリ舞台をつないだ所も、チームとしての絆が生まれている感じが出て、とても良かった。
あのシーン、現在のキラが持ってる役者としてのアドバンテージを一発で見せる仕事や、トチリを見せることで舞台の空気を色濃く出す仕事など、1シーンで何重にも仕事をさせている少ハリらしいシーンだなとつくづく思いました。

少ハリらしいといえば、メタファーの力を使いこなしている所も少ハリイズムバリバリな見どころ。
最後のシーンが一番わかり易いですけど、飛行機=東京ハリウッド、操縦桿=メジャーアイドル、CA=地下アイドル、空=夢、客室=客の前の自分、客室乗務員控室=素の自分という隠喩で読める感じかと思います。
普段客が見る部分は影絵で、客に見せる部分が内面吐露というのは、これまた少ハリらしい捻れ方で自分は大好きです。
今までの四話で見てきた少年たちの揺れる内面を、舞台という「他人が見るもの」に託して、しかし"素"の内面とはまた別の形に変化させて見せ続けるという意味でも、今回の『丸々一本劇中劇』という挑戦的な構成と、こだわった仕上がりには重要な意味があったと思います。

少ハリの強いところは"アイドル"という特殊な職業に甘えず、普遍的な青春群像劇をしっかりやっているところだと思うので、「フィクションの存在が演じるフィクション」という二段階遠いネタをやったことで、作品のテーマはよりクッキリと出たと思います。
やっぱりこのアニメは「夢」に関する話で、それは叶ったり叶わなかったり、叶わなくても幸せだったり、叶うと思い込んでも叶わないとかも不安と絶望が滑りこんできたり、色んな顔を持っている存在です。
その多様性のある「夢」の一つの切断面として、今回見せた"空"と"客室乗務員"は、"素"の少年ハリウッドがいないからこそ、純粋なテーマ性をガツンと伝えてきたと思いました。


正直な話をすると、個別会も終わりきっていないこのタイミングでやるには、挑戦的な話すぎるかもしれません。
ただでさえキャラデザ濃すぎで一見さん入りにくいのに、こんなにインパクトの有る手札を切ってダイジョブかよ、というシニカルな自分が、いないわけではないです。

しかし既に自分は、少年ハリウッドのことが好きになってしまっている。
アニメというよりもドラマな脚本作法、無駄のない構成、スリムでタイトなレイアウト、明確なテーマ性、的確なキャラ配置、引き込まれるダイアログとそれによって生まれる作品への親近感。
ハリウッドの少年たちだけではなく、この作品の作り方と、それで仕上がったアニメーションそれ自体に、僕はかなり入れ込んでしまっている。
なので、多分この作品の熱に持って行かれていない人にはそこまで評価の対象にならないのかもしれないけど、今回もまた圧倒的に面白く、凄く、尊敬に値する仕上がりでした。
信者脳から言わせてもらうとな、よく判んない人はもっと少年ハリウッドの事考えて!(少ハリよつば爆誕)
今からでも遅くねーからみんな見ろ! 少年ハリウッド!!
ほんと凄いんだってこのアニメ!!(と大声で叫べば叫ぶほど、未見の人はドン引いてしまうのが分かっていても叫ばざるを得ない、面倒くさいファン心理をさらけ出して終了)