イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ミリオンドール:第8話『ゆりのの本音』感想

気付いたら知らない人が監督と入れ替わっている4分アニメ、八回目のエピソードはメジャーデビューを巡る葛藤。
イトリオサイドとマリ子サイド、両方にそれなりの描写があり、バランスが良かった。
お風呂シーンがファンサービスになっているのかどうかは、もう俺にはさっぱり分からんけどな。

イトリオの方は元ヤンゆりの弱気な悩みがメインで、彼女がイトリオにどういう情熱を持っているのか、ようやく見えた。
かなり角度をズラしているとはいえ、このアニメアイドルフィクションの基本であるガッツストーリーの要素は多分に含んでおり、定番とも言える反骨描写はやはりしっくり来る。
欲を言えば、もう二・三話早くこの描写が欲しかったところだが……まだ遅くはない。

ローカルな立場で自分の夢を満足させているゆりのだが、これはマリ子が起爆剤になって発奮する誘い水。
バラバラだった登場人物たちが相互に影響しあうのは群像劇の醍醐味でもあり、複数陣営・複数主人公にした意味が生きてきた感じがある。
欲を言えば(中略)だが、残り4・5話という尺を考えると、二つのグループがぶつかり合い片方デビューして二組のアイドル坂は続く! という感じかなぁ、今後の展開。


一方マリ子はクソ事務所に縛られ夢を諦めかけた所を、リューサンが吹き上がって発奮させてた。
太客のサイフがやせ衰えていくのを人のいい女の子が見かねて止め、『お前のためじゃねぇ、俺の欲望のためにやってるんだ』と獅子吼する姿は、控え目に見て『ギラギラ』とか『嬢王』とかの熱血風俗モノの世界。
生臭い絵面に妙な熱血力を混ぜるのが、このお話の独自性ということなのかもしれない。

あの絵面から製作者の悪意を感じにくいのは、ある種の作品的人徳だと思う。
『バンッバン私財燃やして、お前をメジャーに上げるから!』と宣言するリューサンはどう見てもアタマオカシイが、キチガイキチガイなりにロジックと情熱を持って動いているのだ、という方向性で描きたいと感じさせるのは、そう悪いことではない。
実際にその無茶苦茶なロジックで押し切るには、地道なエピソードの積み重ねと、ぶっ飛んだ画面の圧力が足んないと思うけど、正直。

『リアルすぎるアイドルアニメ』故に、料理漫画における『ミスター味っ子』のような『理屈で見れば無茶苦茶なんだけど、絵面がオモシロすぎてツッコムより前のめりになりたくなる』ような荒唐無稽さを切り捨てたのは、いろいろ惜しかった気がする。
原作からして存外地味だからな、この漫画。
その地味さは色々味付けしつつ作者の中の『アイドルが好き』という気持ちに等身大に向かい合った結果なので、そここそがいいんだけど、尺を取れないアニメ版では味付けの濃い演出が必要だったかもね、くらいの。

これまで交差しそうですれ違っていた二つのアイドルが、ようやく接触しそうなところで次回に続きました。
来週あるであろうイトリオがマリ子の顔を見る瞬間が、いい感じにインパクトの有るシーンになってると面白いと思います。
今回出番のなかったイトリオサイドのサポーター主人公、すぅ子にも見せ場がほしいけど……さてはて、どうなんだろうね。