イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

GANGSTA:第12話『ODDS AND ENDS』感想

人生どん詰まりバラエティ、ついに最終回だよー。
群像劇らしくたたみ方に困るほど広がった風呂敷が、折りたたまれることなく更に広がって空に飛んでいったよ。
平たく言うと、最終回なのに終わってないまま終わりました。
いやー、先週の時点でもしやとは思ってたけど、本当に『続きは漫画でね!』だとはな……。

お話としては櫻井と敵さんの因縁、敵さんの強さの理由を説明し、ニックとお嬢が戦争に参加し、ウォリックが死にかけたというものなんだが、解決するべく積み上げた要素は何も崩せなかった。
桜井の恋人は拉致られたまんまだし、トワイライツとエルガストルムの危機は去っていないし、アレックスと弟はあってすらいないし、ウォリックトニックが生きるか死ぬかもわからない。
全てが積み上がり、前回までと同じように期待が高まるいいヒキで、そのまま終わりでした。
正直、どう受け取っていいのか当惑します。

アニメーションはあくまで原作の販促要素だって言うのであれば、アニメーション単品である程度のまとめがなくても、それはアリなんでしょう。
しかし始まってしまった物語は(たとえそれが『俺たちの戦いはこれからだ!』的な一時しのぎだろうと)終わりを求めるもので、葛藤も欠損も成長もやはり、根本的には結論に至るための燃料だと僕は思うわけです。
このアニメが見せてくれた物語は魅力的だったし、ムードもセンスもあったとは思うけども、今回のように何も決着しないために終わるために積み上げられたとは、僕には思えない。
漫画を原作に使っている以上、そっちでは完結するんでしょうがこれはアニメです。
アニメでこの作品に出会った身としては、アニメの内部でアニメ独自の終わりを、しっかり用意して欲しかった。
素直な気持ちを言えば、いきなり放り出された気分でいっぱいです。


その上で、僕はこのアニメ好きです。
エルガストルムという世界の果てのどうしょうもない空気の描き方。
どこにもいけない男二人と、どこかに行けるかもしれない女との出会いと接触と別れの気配。
紙のように軽い人命と、べっとりと過去にしがみつく男たちの対比。
異形と差別と麻薬。
雰囲気があり、落ち着いていて、題材の料理の仕方も良かった。

ハードボイルドというものは根本的に女々しいと僕は思っていますが、そこに恥の意識が薄く、というか『女々しくてなんぼのもんじゃい!』と開き直る気持ちよさが、ウォリックとニックの関係にはあった気がします。
過去と現在、愛と憎悪がぐるぐると渦を巻いて己たちを縛り、傷つけ、しかしそうとしか生きられない不器用で馬鹿で愛すべき男たち。
それを雨とゴミ溜めで柔らかく包み込み、銃弾と血潮で塗りつぶす狂った街。
過去に取り憑かれた女を間に挟むことで、閉鎖的なブロマンスの空気をうまく対流させて、絶望の中の一筋の光を感じさせていたのも、とっても好きだった。
だから、彼らの破滅の行き着く先は、できればアニメで見たかったなぁ。

何がどうなって、このような終わり方になったのは一アニメ視聴者の僕にはわからないし、関与も出来ない。
事実として最終エピソード真ん中のようなお話が出てきて、それが最終話だったということを受け止めるしかないのでしょう。
そのことはもしかしたら不誠実だと怒ってもいいことなのかもしれないけど、不思議とそういう気持ちに僕はなれない。
今まで見せてもらったこのお話が僕の好みにピシっと合っていたのもあるし、昨今のアニメ放送につきまとうアレコレを見ていると、そういうこともある季節なのかなという一種の諦めが僕の中にあるからかもしれません。

ただ言えるのは、僕個人の感じ方として、この終わり方が全てを台無しにするほど、悪いアニメじゃなかったということです。
良いアニメで、好きなアニメでもあった。
もし可能ならば、ウォリックとニックとアレックスのエンドマークがどんなものであったのか。
僕がこの作品に出会えたアニメーションという形態で、見てみたいなぁなどと思います。