イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

デュラララ!!×2結:第35話『水の流れと人の行末』感想

大大災害! 大大混乱!!
待ってても救命戦隊はやって来ないので、傷だらけになりながら自分で因縁に決着付ける、池袋異形絵巻ラスト一個前です。
泉井さんの乱入とか青葉の秘策とかで更に混乱しつつも、ようやく邂逅した男二人がボロカスになりながら本音トークするのがメインのお話でした。
いやー、マジ帝人面倒くせぇな知ってたけど!!

帝人は『何の能力も持たないが故に、非日常に憧れる』という視聴者の代理人として物語に参加しつつ、そのエゴを暴走させて主人公の座から滑り落ちた男です。
イザヤのクソ煽りとか、青葉の燃料継ぎ足しとか、友達二人の何もしないっぷりとか色々あったけども、今回ここまでこじれたのは帝人本人の歪みが根本原因。
これを早いタイミングで言えればもう少し別の道もあったんだろうが、言えるほど特別な相手は紀田くんと杏里しかいないし、その二人は逃げるし、同じポジションにいた青葉には二人ほど信頼置いてないしで、腐るところまで腐り切るしか道はなかったな、これ。

今までサイコながらも奇妙な凄みというか、自分のやりたいようにコントロールしている感じがあった帝人でしたが、木田くんを前にした今回は非常に脆い印象を受けます。
ここら辺富永さんの熱演が生きているところですが、青葉の前ではここまで崩れることが出来ず、紀田くんがようやく追いついてくれたからこその崩れ方だと思うと、『お前じゃ駄目』『お前じゃなきゃ駄目』という人間心理の残酷さを痛切に感じる。
紀田くんを撃って初めて自分の気持に気づく帝人も、『自殺したらそこまで追い込んだイザヤ殺す、ゼッテー殺す!!』と吠える紀田くんも、お互い好き過ぎね。
ホント青葉なぁ……紀田くんも相当グズグズしてたけど、手が出せる位置でボーッとしてたという意味では、お前もあんま変わらんなぁ……救われた帝人なんて見たくないから、意図して腐らせていったんだろうけどさ。

ハタから見てても『おめーいったい何がしてぇんだ』と聞きたくなる帝人のサイコっぷりですが、帝人自身も解ってないからこそ事態を致命的な方向に進め、紀田くんと実際対峙して初めて『あ、俺死ぬしかないわ……』という結論に至る辺り、ホント面倒くせぇなと思います。
タフでイケてる池袋の先輩みたくなろうとしたけど、共通しているのはカルマの量だけで、人格も能力も追いついていなかった故の悲劇ではあるし、物語全部が帝人を追い詰める方向に進んでいたのも事実なのだが、それにしたって面倒くせぇ。
そんな面倒くせぇ帝人にようやく追いついて、なんとか受け止めようとするがあまりのサイコっぷりに押し流される無様な紀田くんを、宮野が熱演してました。
感情溢れすぎてもうどうにもならない感じが良く出ていて、『やっぱマモはすげぇな……』って感じでしたね。
しかしろっちー先輩の強引なトス上げがなかったら、ずっとグダグダ言ってここまで進んでいなかっただろうことを考えると、ホント紀田くんダメだな。

杏里は横において男二人でどんどん煮込まれる関係は、ついに自死寸前まで加熱してますが、帝人はまぁ助かるだろう……ここで死んだら、お話の全部の要素台無しだし。
ヤクザにぶっ殺されそうな気配もあるけど、そっちは赤林のおいたんが頑張ってくれてるしね。
人数多すぎカルマ濃すぎで大暴走なこのアニメを、どうにかキリ良く収めるために奔走してくれる赤林のおいたんとろっちー先輩は、ホント功労者だな


そんな濃厚な人間模様が屋上で展開される中、下界では色んな要素がまとまったり交じり合ったり混乱してたりした。
イザシズ追いかけっこと池袋・オブ・ザ・デッドが合流してラスボスが小物っぽく焦り、狩澤をワゴン組が回収したと思ったら、泉井さんがヒャッハーしてきました。
再登場してからの泉井さんはチンピラと策士をうまく使い分け、見せ場がほしい相手に殴られ役として良いタイミングで登場してくれる、面白いキャラに育ったなぁ。
ここでドタチン組と杏里&女の子ーズを分離しておかないと、クライマックスに杏里が間に合わないわけで、元気よく障害役を買って出てくれる泉井さんは良いキャラだ……女の足折るドクズだけどさ。
ワゴン襲撃の辺りは掛け合いがややモッサリしていて、ちょっと緊張感がなかったのが惜しいと思います。

んで、愛の戦士新羅は鯨木さんの恋心を処理しつつ、セルティの元を愚直に目指すのであった。
鯨木さんはラスボス候補として出てきたけど、情と可愛げがたっぷり出たおかげで座から滑り落ちちゃった、良いキャラだと思う。
彼女の寂しさが話しに加わることで、セルティしか見ない新羅のラブロードがよりはっきり輝くって作用は、確実にあるだろうしね。
よりにもよって絶対落ちない相手に恋しちゃったのは残念だが、まぁ池袋変わり者多いから、恋人もすぐ出来るよ多分。

あと新羅、どの口で『平凡な僕』とか言うんだテメー……お前の異常性に当てられたおかげで、クソイザヤが拗らせて色々起きてるというのに。
自己認識としては『平凡』でありながら、周囲を取り巻く異常事態に流されず、キッチリ乗りこなして自分の欲しいものを手に入れてる新羅は、『成功した帝人』ってことなんだろうな。
成功した方の『異常な平凡者』は恋人を求めてのろのろ歩き、失敗した方の『異常な平凡者』は友達撃って自殺寸前。
面白い対比が一話に収まる回だったな。

と言うわけで、男と男の因縁がクッソ面倒くさい方向に渦を巻き、高まった感情が爆発する回でした。
いやー、帝人はホントマジ面倒くせぇな!!(本日何度目かの発言)
この面倒くささがとびきり好きな僕としては、非常にありがたいクライマックスでした。
残り一話、この混乱した状況がどう収まるのか(はたまた収まらないのか)。
楽しみであります。