有頂天家族を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月7日
将棋部屋を抜けると、四畳半の銀河であった。矢一郎と玉蘭の仲人を務め、ボッコボコにされた弟子を無言で背負う。風狂老人・赤玉先生のカッコいいところが見れる回。
将棋部屋と次男の井戸、毛玉の喧嘩と天狗の喧嘩。相変わらず照応の作り方が上手いアニメである。
四角く高く切り取られた空は、横方向の拡大につながっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月7日
将棋部屋は赤玉先生の部屋に繋がっていて、乱雑とした場所にたどり着いた結果、矢一郎と玉蘭は無事結び付けられ交際を始める。
次男は井戸から出てきて叡山電車に化け、外の世界に出る。久々に家族全員との団欒を腹の中で楽しむ。
飛び散ったちらし寿司と吸い物、乱雑とした先生の部屋。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月7日
世間は混乱と争鳴に満ちているが、既に散らばってる寿司は拾い集めて食べ直すことが出来る。タフな母親の知恵を使えば、覆水は盆に返るのだ。
こんがらがった天狗の関係、引きこもってしまった次男。未だ解決せざる問題も、いつかは。
時間軸的にも今回の話は接合を大事にしていて、親世代と同じく、下鴨一家の仲人は赤玉先生が務めることになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月7日
新しい血を喜ばしく向かい入れて、玉蘭は家族になるだろう。阿呆の長男との間にまたデコボコあるのだろうが、親世代と同じように、また彼ららしく、睦まじい夫婦になるのだろう。
そういう呑気な善性に浸っていられないのが天狗というもので、恋も親子関係も捻れに捻れ、暴力の発露もシリアスで短い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月7日
狸が花火と胴体着陸でもって、ドンチャカドンチャカ楽しく喧嘩するのとは間逆である。長ったらしい金角の向上も、遊戯/友誼としての喧嘩の一部といえるのか。
天狗は屈辱と悲しみの河に浸る。腰を落とし、同じ感情を共有できるのは同種族の特権だ。矢三郎は足首まで濡れることは出来ても、弁天の隣に座り込むことは出来ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月7日
狸同士・家族同士の阿呆で呑気な世界が強調されるほどに、天狗との差異もまた鮮明になる。相似は常に、差異に接続されている。
絵としてみると、まずちらし寿司が美味そうだった。透明度が高く人造物的な色彩をベースにしているのに、メシがちゃんと美味そうなのは凄いなぁと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月7日
あれは下鴨家勢揃いの温かみを背負うフェティッシュであり、天狗決戦の冷たい色合いを際立たせる差し色でもある。良い対比だった。
他にも重たいソファを細腕一本でひょいひょい運ぶ弁天の怪力とか、毛玉の喧嘩をよそ目に弁天のところに這い上がっていく赤玉先生とか、画面の端っこの描写が相変わらず繊細だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月7日
こういう目立たないところで土台を作ることで、多彩なお話が無理なく走っているのだろう。細やかな配慮だ。
四角い窓から落っこちて、広い世界に飛び上がる。浮かれ調子で明け暮れて、負けて地面に這いつくばる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月7日
飛翔と落下。上下の運動を巧く活かして、狸と天狗の違いを、それでも繋がる部分を強調するお話でした。上下運動が矢二郎の外出、濡れる天狗と濡れない狸という、左右の振幅と連関しているのが巧い
縦横上下、自在に動き回ることで扱うテーマの多彩さ、担当するキャラクターのバラエティ、舞台の広さと風通しの良さがよく感じられ、『有頂天家族らしいなぁ』と思えました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月7日
惨敗を喫した弁天の今後は。それに矢三郎はどう関わっていくのか。スッと画面が冷えた後の来週、非常に楽しみです。