風が強く吹いている を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月9日
ド素人と夢の残骸をかき集めて、箱根を走る。
ハイジがブチ上げたあまりにも無茶な計画に、九人は背中を向ける。
無理だ、出来るわけがない。
当然の弱音を捻り潰し、ネゴシエーションの鬼が角を出す。懐柔、威迫、煽りに情熱。
夢のためなら使えるもの、何でも使え!
そんな感じの、ドタバタ駅伝物語・事前準備編である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月9日
主人公・カケルの当惑をトレースするようにグイグイと進んだ第一話に対し、今回はややペースを落とし、作品世界の生活感をいい作画でジワジワに出してきた。画面に漂う、男子寮の粗雑で汗臭い匂いがマジでたまらねぇ。オトコノコの匂いがするー!
強い作画力が的確に使われているのが最高で、衣・食・住、バイトに休みにプライベートに、彼らが生きている世界のいろんな局面が、凄くクリアにみえてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月9日
こういう息遣いがあると、作品世界のリアリティはアガるし、群像劇が踊る足場も出来る。
© 三浦しをん・新潮社/寛政大学陸上競技部後援会 pic.twitter.com/n1ACgyncVY
それぞれ学年も、大学生活との向き合い方も、目指すべき未来も違う十人。てんでバラバラの生活を送りながら、生活拠点を同じくし、同じ飯を食い、同じ風呂に入る同志…っていうと、ちと恥ずかしすぎる寮仲間。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月9日
バカな夢に付き合うには距離が遠くて、でもそれを無下にするには抵抗がある。
そんな距離感が、青竹寮の生活臭、学生街のレトロな景色を丁寧に追う中で、じっくり体に馴染んでくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月9日
現代という時代、駅伝という題材を扱う時大事な身近さが、クオリティの高い作画でグイグイ迫ってくるのは、なかなか楽しいものだった。”匂い”のするアニメが好き。
主軸はハイジとカケルなんだろうけども、10人それぞれの意志と尊厳、キャラクターを綺羅星のように配置し、ビッと立ててくる筆が良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月9日
ムサがトイレ掃除を申し出るシーンとか最高で、奴らがクソをして、それを自分で始末付けれる連中だというのが、ダイレクトに分かる。それに感謝できる奴らだとも。
バイトシーンのホッコリした雰囲気も、”ガイジン”という異物をあの街、寮の仲間が自然体で受け入れてる優しさがみえたし、それを逆手に取って追い込んでいくハイジのエグさも強調できていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月9日
魂と生活を背負って作品を走る、一個人としてのキャラクター。その顔を、しっかり作り込んでいるのが良い。
とにかくハイジのタフネゴシエーターっぷりが良い感じで、個人情報を片っ端から悪用し、手を変え品を変え外堀を埋め、口八丁手八丁で共犯者を作っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月9日
それはつまり、ハイジが一人ひとりの顔をちゃんと見れる男だ、ということだ。今回は切り崩しのための武器として、最大限悪用されてたけども。
今後タスキを繋いでいく中で、チームのリーダーでありエンジンでもあるハイジの人間力が高いのは、凄く生きてくると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月9日
何しろド素人と、夢が屈折した傷追い人ばかりが集まった凸凹集団。ドラマの波風を乗りこなし、前向きな方向に舵を取るためには、全体が見えていないといけない。
泥臭く荒い息継ぎをして、『コイツラも惨めさと夢を抱えた、俺らと同じ存在なんだな』という共感を呼ぶのは、9人に任せる。ソイツらが少しは走れるように、悪辣な手段に訴えても道を整え、手を引く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月9日
そんなハイジのポジションが、ゲラゲラ楽しい脅迫コメディとともによく見えた。ホント鬼やな…。
崩されるための防壁を作る役が、司法試験現役合格の秀才・ユキなのも面白い。知能レベルも基礎体力もバラッバラな中で、形だけでも抵抗体制作れそうなのはユキだけだもんなぁ…あっという間に切り崩されるわけだけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月9日
そんな彼を無様にではなく、メロウに書きに行くニコちゃんとの絡みも良い。
ニコちゃんおじさんマジあざとくて、デカいガタイで夢を諦めた所とか、自分を痛めつけるために吸ってるタバコに火を付けない所とか、お風呂場で披露したデカ目のガタイとか、マジ最高だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月9日
『もうニコチンはいらない…夢の残骸に、火がついちまったからな!』って感じか。いいね俺そういうの好き。
最年長のおじさん力を生かして、ニコちゃん先輩はカケルの青臭さを引き受けたり、ユキがフリ上げた拳の受け皿になったり、いい仕事をたくさんしていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月9日
いちいち出てくるシーン出てくるシーン、レイアウトと色彩がエモいんだよなぁ…。
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な~んも考えず振り回される下級生と、自分なりの抵抗はありつつハイジの夢、自分の胸の高鳴りと向き合う上級生。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月9日
圧縮力が高く説得力がある画面を助けにして、そういう人間模様が静かに、しかし言葉豊かに伝わってくるんはとても良かった。語らず語る演出技法が鋭い!
今回のお話は基本ホームコメディなので、シリアスな味を強く付けすぎると、風味がブレる。賑やかで、ドタバタで、楽しく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月9日
しかしそこに、語りすぎない人間風味が巧く刺されることで、ドタバタはゆるくなりすぎず、人情味のコクもいい具合に醸し出されてくる。
そのバランス感覚が絶妙だった。
来年の話、見果てぬ夢を語ると”鬼が笑う”と人は言う。交渉の鬼・ハイジは無理無理喚くひな鳥共を、強引に夢への道に連れ出した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月9日
目指すは正月、吐く息も白いフユの箱根路。
サブタイトル”鬼が来りて”のダブルミーニングも、クレバーでなかなか楽しい。鬼が角を出すのは、熱い夢のためなのだ。
というわけで、未来にタスキを繋ぐことになるポンコツ十人、鬼にグイグイハメられてどうやら走ることになりそうです、というお話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月9日
地道な生活感をどっしり取り回し、世界と人間の匂いをしっかり掻き立ててくる仕上がり。地味な題材とテーマを、地味なまま楽しくしようという意志が嬉しい。
ハイジとカケルの根比べ、ユキとニコちゃん先輩の賭けは引き分けとなりましたが、ともかく走り出す形はできた。しかし実際肺を酷使し、足を痛めつけて練習する中で、また新しい問題も出てくるでしょう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月9日
それをどう地道に、面白く描いてくれるか。男たちの魂はどんな色を見せるか。来週も楽しみです。
追記 楽しさと生真面目さのバランス感覚、スポ根やってる時のIGはほんと凄いな……。
風が強く吹いている追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月9日
肌色サービスなお風呂シーンで、目ざとく全員の裸身を描いて、それぞれのフィジカルを”絵”で見せてくるの、頭良すぎてビビる。
駅伝やる以上、ガタイに恵まれているかどうかは大事な要素。今後そこで引っかかったり、強みを見つけたりしていく展開は、必ずあるだろう。
楽しげな雰囲気を壊さない…というか、裸の付き合いを見せて『なんだかんだ、コイツラ仲良しだなぁ…』と強く印象づけた上で、”競技”に必要な描写をしっかり書き分け、すっと潜り込ませてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月9日
スポーツフィクションに必要な手際の良さが、スマートな展開にしっかり乗っていて良いなぁ、と思います。