ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月12日
ドッピオ(Doppio)。英語ならDouble、ドイツ語ならDoppel。
自己像幻視(Doppelgänger)もスタンド世界なら、個別の魂と肉体を持つ。
カエルを携帯電話代わりに、ボスの指令を待つ永遠の少年。悪魔が己の顔を隠すための仮面が、サルディニアで踊る。
というわけでブチャチームからは少し離れて、ボスの過去と現在を追いかけるお話。仲間を皆殺しにされたリゾットもいるよ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月12日
多重人格すら超え『魂の同居』のような、奇っ怪な状況を活きるドッピオ。その不気味さはアニメになってみると、更にいい感じに加速していた。斉藤壮馬さんの演技がベネ。
冒頭描写されるボスの出生は『あれ一体何だったの?』という感じだが、洋の東西を問わず英雄、あるいは虐殺者の生まれは奇怪なものである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月12日
生まれたときから目が開いていた、妊娠期間が合わない、父親が不明である・死んでいる。
それらはボスの異常性を強調するべく、後出しで生まれるストーリーだ。
かくしてこの世に生まれ落ちたボスは、キラキラ綺麗な風景を爽やかに生きつつ、どす黒い悪意を床下に隠している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月12日
何でもかんでも隠しちゃう性質は、青年時代から健在というか。三つ子の魂百までだねぇ。
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トリッシュの母親と光の中で生きる道を、自分で床下に埋葬したボスは自分の青年期を閉じ込め、”ドッピオ”を作り出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月12日
自分の父親を知らぬまま、己の体から発する光で乗り越えているジョルノ。
どす黒い父の欲望に振り回され、しかし決意を込めて拳を握ったトリッシュ。
”血””父”への叛逆は五部の特長だと思うが、子供時代の姿のまま歪んだ認識に閉じ込められ、ボスの正体を隠す掩蔽体として使われるドッピオは、彼らに続く『3人目の子供』なのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月12日
肉体を共有し、”父”の手元で飼われ続ける、永遠の子供。ボスは子供時代の時分を、永遠に虐待し続ける。
ドッピオがどういう存在なのかは、人によって分かれるところだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月12日
ただの多重人格なのか、別の魂を持った異常な存在なのか。スタンドという異常を現実に変える物語装置もあって、そこら辺はなかなか曖昧である。
とまれドッピオは歪んだボスの歪んだ影として、イカれた行動をいい塩梅に撒き散らす
『ボスは別の場所にいて、自分とは違う存在である』というドッピオの存在理由を維持するべく、彼の認識は歪んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月12日
様々なものが”携帯電話”になって、自分の内側から届く指令を、外部から飛来したものだと錯覚させる。
大事なのはなりふり構わず真実を隠すことであって、どう見られるかは二の次だ。
その歪み方に、ボスの『見つかりたくない』という根源がよく見える気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月12日
『過程や方法などどうでもよいのだァーッ!』とばかりに、自分の情報を隠させるボス。ジョジョ世界の巨大な”悪”は、そのパワーに反して存外みみっちく、小市民的で格好悪い。
だからこそ悍ましい。悪はありふれているのだ。
ここら辺の認識の歪みは命の軽重にも直結してて、虫やカエルは大事に出来るのに、占い師はソッコーぶっ殺し、自分の妻(に対外的には当たる人)の写真は踏みつけにする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月12日
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そういう人間だからこそ、実の娘を自分の手で確実に殺すべくブチャラティを使って、裏切られたりもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月12日
世間では認められない、床下に閉じ込めた薄暗い価値観。それを一切疑わず、絶対に裏切らず遂行してくれる”もう一人の自分(ダブル)”が、ボスにとってのドッピオなんだろうなぁ…。
そんなボスと、全てを失ったリゾットとの邂逅。いきなりカミソリとか釘とかが体内から噴出する、ホラーな能力が最高に良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月12日
リゾットは”覚悟”をもっているから、失った仲間のことは思い出さない。全てを賭けて目指した夢へ、暗黒の歩みを着実に進める。そこには”信念”があり…”正義”がない。
ドッピオの特殊性を顕にした、”エアロ・スミス”の哨戒。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月12日
それは直接組織のボスと暗殺チームのリーダーを見つけはしないが、2つの”悪”が衝突する下地を整える。
輝かしい光を背負った主役とは、また違う色彩のギャングスタ。野良犬と野良犬が噛み合うような、血生臭く後ろめたい命の取り合い。
この戦いは主役がいないからこそ描ける薄暗さ、出口のなさみたいのが色濃く出て、五部でも結構好きなバトルだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月12日
ボスから勝利の秘策を授けられたドッピオを、明るい光が祝福する。逆転ムードに満ちた良いシチュエーションだ。
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でも鼻血ブーで、手にはカエルで、額にはキンクリが鎮座ましましてる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月12日
何もかもがシュールで可笑しく、しかしこれから展開するのはコントではなく殺し合いだ。
そんなアンバランスな戦いが、ギュッと濃縮された良いラストカットだと思う。いやコントなんだけどさぁ、ドッピオの携帯電話漫才…。
ぶっ殺された占い師さんの妙なキャラ立ちとか”ジョジョ”だなぁと思うが、どんなに優れた占い師も自分の未来は読みきれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月12日
”ヘヴンズドアー”があっても無理だったことを、スタンド能力者じゃないただのオジサンに望むのは酷だよね…。
あとアイキャッチの写真、フーゴに”Addio”なのはなかなか刺さるなぁ、と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月12日
再開が望める時に日常的に使う”arrivederci”に比べ、”Addio”は永遠の別れに用いる強い言葉。それがフーゴに使われてるのはまぁ、なかなかメッセージが強い。
さらば、パンナコッタ・フーゴ…”恥パ”で会おう…。
つーわけで、一旦主役を横にのけて巨悪の過去、悪VS悪のダークネスバトルを、笑っちゃいけないんだけど笑っちゃう多重人格漫才に乗せてお送りするエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月12日
死や狂気が満ち溢れてるからこそ、そこから意図しない笑いが生まれてしまう。ジョジョの味わいがよく出た話だと思います。
魂を切り分けたもうひとりの自分を盾に、己の真実を隠すボス。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月12日
その実態を一切気にしないまま、野望のために一人走るリゾット。
巨悪二人に挟まれる形になったドッピオは、どんな歪みを顕に、闘争を駆け抜けていくか。
どっちが勝ってもロクでなし、来週も楽しみですね。