波よ聞いてくれ を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月6日
必殺の一撃で、クズ男との恋を葬ったかに見えたミナレ。
しかし未練はゾンビのように、ハンパ女の魂を焼く。諦めきれぬ生煮えな思いが、周囲を巻き込みグダグダ蠢く。
ならば!
電波に乗せてネタにしちゃえ! お前はもう、木戸銭貰えるパーソナリティなのだッ!!
そんな感じの、恋愛ゾンビ再殺譚である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月6日
先週どっしりと過去への決別を描いた…では終わらず、ぐでんぐでんに寝返り打ちまくるミナレのハンパさと、それに振り回される周囲の現状、彼女を玩具になにか新しいものを探る麻藤さんと、色々描かれる回だった。
プライベートのグズグズを否定するのではなく、それを材料に笑えるフィクションを作り上げる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月6日
麻藤さんの人生ネクロマンシーが、謎の音響職人の生真面目な仕事っぷりと重なって、洒落なんだが洒落ですまない不思議な味わいを生み出していた。
本気で戯けるからこそ、芸は面白い。そういう感じ。
リアルの墓から這い出した光雄ゾンビが、どのように暴れまわりどのように葬られるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月6日
ミナレのハンパさが中原くんとマキエに及ぼした、生臭い波がどう変わっていくか。
上手いこと先週のお話を引っ張って、次週へのヒキを作る
エピソードであった。いやー…生臭いね人生ッ!!
色恋のネトネトはミナレの専売特許ではなく、出だしは天使の割り切れない恋心から始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月6日
光と闇の間で、交錯する男女三人の瞳。ラストチャンスに踏み出す久連木さんに、追いすがる足も止まる緊張の三角。
そのポジショニングはこえーから甲本クン…。
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こっちの面倒くささがどう転がるかも楽しみだが、それはあくまでサブルート。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月6日
メインはミナレ周辺のプライベートとお仕事である。
そっちだと清純な空気窓担当の瑞穂が、こっちだとちょっと重たい生臭さを発揮できている所が、公平で好き。
”いい子”を都合よく、天使の檻に閉じ込めるのは好きじゃねー
んで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月6日
渾身の投げ技で、カッコよく過去を振りちぎったかに見えたミナレであるが、蓋を開けてみりゃ未練タラタラ、やっぱり全然煮え切らないハンパ人間である。
光雄との因縁と怨念を塗り込めたような、可愛らしいマスコット。
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それを時代遅れのガラケーに結びつけてしまう所に、ミナレの半煮え加減がよく見える。ガンッガン自分に呪いをかけていくなお前は…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月6日
それを断ち切り、自分が望む芸人に生まれ直すべく、麻藤さんは録音機という凶器を使う。
これが生そのまま流すのではなく、手の込んだフィクションの材料なのは面白い
洒落にならないリアルの重さを、取り込みつつも整形して、虚実定かならぬ笑いを生み出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月6日
飲み屋の妄言大暴露からずっと、麻藤さんは現実につながった虚構を求めている。その素材…並びに虚構がもっと面白くなる触媒として、ミナレを見初め、磨き上げている感じがある。
シセル光明を奪った”現実”に復習するかのように、麻藤さんは色々骨を折って、笑える虚構を作っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月6日
しかしそれは完全な絵空事ではなく、笑えない(けど、思わず笑ってしまう)リアルに密接につながった嘘だ。
ミナレの厄介な人格しかり、彼女が遭遇する厄介事しかり。それはあくまで素材でしかない
手の込んだ仕掛けを積み上げ、色々苦労と工夫を重ねてミナレを巻き込み、彼女だけが作れる嘘と笑いを、電波に乗せて世界に挑む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月6日
笑いとシリアス、嘘と現実。
そのあわいを反復横とびしながら、麻藤さんが作りたいものはなにか。ミナレに求めるものはなにか。
仕事というにはふざけ過ぎ、趣味というには本気過ぎる”遊び”がどういう怪物を生み出すかも、見ていて面白いポイントであろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月6日
麻藤さんにはある種のゲーム感覚があるのだが、彼がやってるのは心中覚悟のデスゲームであり、実はミナレ以上に色々やってんのよね…変なおじさんだ。
そんな”遊び”の主役でありコマでもあるミナレは、ブレッブレな態度でVOYAGERを揺るがしていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月6日
中原くんの料理人としてのブレを責める前に、お前の人間としての体幹の弱さをどうにかしろッ!
顔色変えずにビシビシするマキエが、妙に可愛い…ヤバ女なのに。
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中原くんが動揺する、他の職場、昔の男との通話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月6日
ミナレはVOYAGERで働きつつも厨房には入らず、中原くんとマキエが作りつつある、妙に湿度の濃い職場空間に踏み込みきれない。
所詮腰掛け、店長が戻ってきてクビ言い渡されるまでの仮仕事。
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そう器用に踊り切るには、ミナレの存在はデカすぎるし、生き方は無器用過ぎる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月6日
深く関わらず巧くやっていくほど器用でもなく、しっかり他人の思いを受け止め、配慮に満ちた立ち回りが出来るわけでもない。
瑞穂ちゃん…やっぱ人間独特で面白いより、”ちゃんとしてる”方が良いみたいだよ…。
中原くんが踏み込みたくても踏み込めないネタを、至近距離で撒き散らすミナレの無遠慮。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月6日
マキエが色々言いたくなるのも納得ではあるが、そのマキエもまた重い。
一緒に住んではいるが、暮らしてはいない。あんだけ善く扱われていても、中原くんの”身内”に踏み込むには、未だ足りない。面倒くさッ!!
昔の男、今の職場、不鮮明な未来。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月6日
何もかもがハンパなミナレを、自分の”遊び”に巻き込んだ麻藤さん。結局、ミナレを導いていくのは彼である。
その先で待っていたのは、サル顔ブタ顔のおもしろ音響おじさんと、現実を加工した元カレゾンビ殺人事件である。
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ラジオというメディアが持っているノスタルジーと爽やかさを、このネトネトした話は巧く生かしていると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月6日
今回アナログな音響効果が顔を出して、その汗まみれな懐旧はより色を増していく。
人が手で作り、本気で嘘を付くためのアート。現実よりも面白い、苦労と工夫で成り立つフィクション。
それは麻藤さんが、ミナレと”波よ聞いてくれ”で作ろうとしている笑いと、どこか繋がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月6日
深夜の仕事場で展開される、収録ブースと物語空間の重なった空間。遊んでいるようにも、ひどく真剣にも見える不思議な空気。
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一般的にキレイに切り分けられると思われがちなものが、実はかなり隣接してお互い食い込んでいて、だからこそ面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月6日
この作品が例えば成熟と未熟とか、仕事と遊びとか、笑いと現実とか、多彩なネタを扱う時に共通している視線は、今回も元気だ。Boundaryな話よね、結構。
ラジオの向こうにいるリスナーは、”波よ聞いてくれ”が本気なのか遊びなのか、リアルなのかフィクションなのか判らない。その判らなさが、番組の独自性として人をひきつけもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月6日
曖昧で、あやふやで、境界を侵犯しかき回すもの。カーニバル的な悪ふざけを、本気で世界に叩きつける遊び。
その主役が対峙するのが、生/死の境目を行ったり来たりするゾンビなのはまぁ、納得である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月6日
ブースでは嘘っぱちの濃厚ラブシーンに頬を赤らめもするが、”役”としては蓮っ葉で淫奔な悪女。
ぶっつけ本番でそれを演じきれる、”才”に溢れたハンパな素人。
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ミナレもまた、境界線の上でフラフラしている存在としてずっと描かれてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月6日
そんな彼女が人として女として芸人として、死んで生まれ変わるための通過儀礼を、麻藤さんはしかけていく。
音響効果の描写が丁寧なのが、アホみたいな状況でも背筋が伸びる生真面目さを生んで、なかなか面白い。
どんだけ馬鹿げた大芝居だろうと、その裏で音を作り、芝居を組み立てる人達は結構真面目だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月6日
まさかと笑い飛ばし、もしやと面白がる大嘘を作るためには、嘘やハンパだけでは軟弱に過ぎる。
でも舞台裏の汗っかきを表に出しちゃ、洒落が洒落で済まなくなってしまう。笑いは何時でもナイーブなのだ。
そういう領分で仕事をしていく存在として、ミナレは現実を素材にしたこの奇妙なドラマを、演じきることが出来るのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月6日
まーたロクでもねぇ方向にぶっ飛んでいきそうな予感がビンビンして、ドラマの結末がシンプルに楽しみでもある。次回予告の段階で、既にヒドいからな…。
スタジオから波に乗って、深夜の巷に放たれる愛憎ゾンビ劇。みんなが本気で作る大嘘が、ミナレと彼女を取り巻く世界を、どう変えていくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月6日
ずっとそういう話だったなぁ、と。今更気付かされるエピソードでした。さまざまな境界にまつわる物語なんだな、このアニメ。クレバーじゃないと務まらんわな