Fairy蘭丸~あなたの心お助けします~を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月25日
邪魂と化した女王を救うべく、蘭丸達は決戦に挑む。
シリウスの狂奔が、荒れ狂うエゴが世界を傷つける中、焔とうるうは互いを認め、赦し合う。
そうして開いた扉と触れ合う唇が、新たな可能性へとたどり着く。
愛ゆえに、人は苦しむ。されど、それでも…
そんな感じのエロティックサイコダイブ因業仕事人物語、遂に最終回! である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月25日
怒涛の勢いで誤魔化された感じもあるし、テーマをしっかり語りきった感じもするし、なかなか複雑な味わいの作品であった。
現代的でありながら古くて、狂っているようで理性的。菱田作品らしい…といえばそうか。
お話は正面衝突真っ向クライマックスって感じで、邪魂化した女王様とシリウス、両方の心の鍵をアンロックし、執着を浄化して未来へ漕ぎ出していく展開。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月25日
『あーんだけいらねぇ引っ掻き回しブッ込み、人間社会乱しておいて…綺麗になって終わりか!』という気が、しないでもない。
しかし思い返せばこの話、善因善果で何もかも報われるルールで動いていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月25日
スッキリしないまま決着が付いたり、報われるべきものが裏切られたり、生きるべきだと思った人が死んだり。
あるいはその逆に、裁かれるべき存在が幸福になったり、いろんな決着があった。
良い意図が良い結果をもたらすプラスの引力だけでなく、全てが裏目に落ちるマイナスの重力にも引かれすぎず、ままならない世の中をずっと描いている話であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月25日
女王様とシリウスの決着は、比較的良い目が出た。そういう決着であったと、個人的には思う。
まー話が終わるってのに、バチバチにいがみ合って救いもねぇ結末だとスッキリしねぇしなッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月25日
女王は改心し、シリウスの誤解は解け、王国は蘇り桜は咲く。
夭聖達の人間界修行は、まだまだ続く…が、もうただの愛著集めではない。収まりの良い決着ではないかと思います。
というわけで、女児アニお約束の”浄化技早出し→キャンセルされてピンチ”など経由しつつ、物語はうるうくんと焔くんの因縁決着へ転がる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月25日
衝撃の真実を告げられ、『殺してくれ…』と涙を流す焔くん。
(画像は"Fairy蘭丸~あなたの心お助けします~"第12話より引用) pic.twitter.com/pgaNUTEWH0
彼は物語開始時から、現実に擦れながらも父を信じる子供、堂々正義を吠える熱血漢と自分を変えてきて、ここでうるうくんの初期状態を共有する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月25日
罪の重さに耐えかねて、許すことが出来ず死を望む。
瞳から流れる”水”は、うるうが追い込まれざるを得なかった場所に焔くんがたどり着いた証明だろう。
うるうくんも物語の開始時点とは違う場所にたどり着いていて、母が最期に浮かべた笑顔を思い出しているし、愛がままならない苦しさも判っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月25日
誰かを赦し、涙を受け止める強さも、焔くんに肩を抱かれて学んだ。
熱い口づけは、焔くんの要素をうるうくんが取り込んだ証明…なのかな?
親世代の因縁を上手く絡めて、成熟と無垢、抑圧と解放、冷淡と情愛…様々に相反するものをぶつけ合いながら、お互いを変えてきた二人。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月25日
何よりも雄弁に愛を語る口づけを果たして、ふたりが追い込まれた場所に出口が出来る。
赦しこそが、扉を開けて広い場所に出る鍵なのだろう。
ここで二人が扉の向こうに閉じ込められたということは、夭聖もやはり心を救われるべきクライアントなのであり、ここに至るまでの歩みが傷ついた子供二人を、しっかり癒やしてきた、ということだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月25日
裁くものと裁かれるもの、救うものと救われるもの間に、明瞭な線がない不思議な闘い。
断罪モノにしては主役たちに、毅然とした正義の基準がなく、また裁きの結果もその判断と必ずしもリンクしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月25日
このハンパさが、作品独自の味にもなっていたと思う。
この世に絶対の正しさを体現できるものなどいなくて、誰もが救済を待っている迷い人…であり、救済者でもある。
そういう世界観で作られたお話だったかなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月25日
シリウスとベテルギウス、愛憎渦を巻く決戦もまた、口づけを鍵に全てが決着していく。
シリウスが憎悪に囚われ、瞳を曇らせたままでは死者の思いもまた、開放はされない。
(画像は"Fairy蘭丸~あなたの心お助けします~"第12話より引用) pic.twitter.com/nkYMTgHHMT
蘭丸が最初から最後まで、記憶をなくした正しさ機械であるのは、考えてみるとスゲェ奇手だと思うのだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月25日
複雑怪奇な業に縛られ、この世の全てを破壊し尽くす程に荒れ狂ったシリウスの絶望。
何もかも忘れ、無垢なる存在に戻りたいという祈りが、白紙の天使を生み出した。
ここで蘭丸がベテルギウスに”帰還”しないのが、この作品独自の視線かなー、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月25日
普通、記憶取り戻しそうなもんだし、女王様もシリウスも、我欲と業の権化として”大人”になってたものが、初心を取り戻して”子供”に…桜を咲かせる夭聖に戻ることで終わっていく。
しかし蘭丸は、ベテルギウスには戻らない。それほど強く己を砕いた、ということなのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月25日
でも、”アイシテル”の言葉だけは思い出せる。
闇に落ちたチルカが、暴力的に叩きつけてきた歪んだ言葉を、蘭丸は透明に浄化し、素直に伝えてくる。
自動的だった彼が最初に掴んだ、彼だけの言葉。
そこにたどり着けたのは、大変良かったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月25日
女王様の我欲と後悔で始まった”F”が、人間界の因業で揉まれて真実”Family”となり、ベテルギウスがぶっ壊したものを修復し、自分たちを利用する存在すら救済する。
こうして考えると、やっぱ子供が大人を越えていく物語なんよな。プリリズっぺぇ。
女王様の邪魂体が、女王蜂っぽいのは面白かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月25日
巣の中心で尽くされ、差し出されるものを奪うことに慣れきった存在が、
子供の姿に戻る。力を失って零落するのではなく、最初にあった無邪気な願いを取り戻すべく、意図して己の形を変える。そういう決着であった。
しかしプロキオン豹変、王国崩壊の根本原因が”激務”なあたり、最後まで生っぽい話だったなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月25日
夭聖界の設定、少年たちのお花畑っぷりと、マジで洒落になってないエグさは対比…というより対照だったと思う。
キラキラ綺麗なものも穢れを孕み、汚濁の極みに見えるものも輝きを秘めてる。
そういう場所に皆が生きていて、皆苛まれつつ救いを求めている。或いは、救いになることが出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月25日
そんな現状認識と、それを越えていく祈りの籠もった物語だと感じました。
やっぱりSM仏教説話じゃないかッ!
ボンデージ趣味を全面に押し出したのは、分の悪い勝負だったと思うが俺は好き。
終わってみるとヘンテコな話で、極めて真面目なアニメでもあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月25日
トンチキなぶっ飛び加減で走り続けると思いきや、話数が進むほどに生真面目な地金が顔を出して、都合のいい救済に溺れきれない部分、徹底的に業を掘り下げなければ気がすまない執念が、メラリと燃えていた。
ドス黒い現代の闇を扱いつつも、それをファンタジーで包んで届ける屈折と、だからといってヌルい結末を約束できない嘘のなさが、なんとも独自の質感だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月25日
すげーブレてるようで、徹頭徹尾ままならない世界を見据え、そこに微かな祈りを託すスタンスは揺らがない。
そんな姿勢がキャッチーさを遠ざけ、風を取り逃していた部分は正直否めないと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月25日
話のフレームが固定されてて、ある種の段取り感と窮屈さがどうしても滲んでしまい、どこか伸びやかさのない物語展開になっていたとも感じる。”型”に縛られてた部分が、正直あったかなー。
その硬さと変態性ひっくるめて、凄く菱田正和っぽい作品だと思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月25日
狂ってる要素も超大真面目にお出しして、色々ズレてるんだけどもそれこそが刺さるポイントで、ヘンテコなのに極めて真摯。大真面目すぎて不器用。
そういうアニメだったように感じる。
少年たちそれぞれのカルマと成長は、多彩に手応えある形で描けていたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月25日
焔くんとうるうくんのネトネト因縁とヒロイズム、寶さんの穢れた純情、樹果くんの颯爽たる成長。
それぞれ、各キャラしか描けないものがちゃんと画面に焼き付いていた。やっぱ焔くんが、分かりやすくて熱い炎属性で好き。
記憶なき蘭丸がいまいちツルンと手応えないまま、要所要所で必要な正しさを差し出しつつ、自分の物語を持ちえない構造だったのは、評価の分かれるところかと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月25日
自分的には、最後の最後でたった一言、自分の言葉を掴まえる決着は好き。手応えの薄い主人公ではあったと思う。
毎回展開される様式が、問答無用に作品を理解らせ惹きつける暴力性をあんま持ち得なかったのは、少々残念である。もうちょい、意味分かんないド迫力バトルでも良かったかな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月25日
あんだけ変態的な絵面押し出しても、根っこの生真面目が前に立つんだから、やっぱヘンテコなアニメだよなぁ。
色々過剰で不足していて、バランスの整った良作とはけして言えないが、しかし歪むだけの理由、そうして語りたいものは力強く、堂々伝えに来る物語であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月25日
この頑なな生真面目さが、やっぱり僕は好きなのだなと、思えるアニメでした。
面白かったです、ありがとう。お疲れさまでした!