白い砂のアクアトープを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
夏休み限定の館長代理とは言え、水族館存続のために出来ることは何でもやる!
眉間にしわ寄せ必死のくるるに、幼馴染が力添え。
うどんちゃんのスイーツ大作戦は、果たして功を奏するのか?
そして老紳士が水の向こうに、見つめるものとは!?
そんな感じのゆるふわじっとりお仕事絵巻、甘味と交わる戦争の記憶なアクアトープ第6話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
相わからずフワフワ浮いてる部分と、地面に足ついてる部分が不思議な共存を見せ、独特の味わいが心地よい作品である。
久々にアクアファンタジーも襲ってきたが…一番刺さる夢だったな、今回。
今回は気のいい外部協力者であるうどんちゃんを掘り下げつつ、くくる達の足掻きがどんな感じか、ゆっくり追いかけていくようなエピソード。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
新聞紙に映る戦況は敗色濃厚。館長代理も、思わず眉間に太いシワである。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第6話より引用) pic.twitter.com/fCRlVVLCuD
ここで飲食系のアイデア、SNS時代にウケそうなネタをまず出すのが風花なのが、曲りなりとも元アイドルの面目躍如というか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
明るく見えて泥臭く実直な(そこが魅力でもある)くくるに対し、軽妙洒脱…あるいは軽佻浮薄なことへのアンテナが高い。
さすがシティガール(死語)。
夢が折れたところから物語を始めた風花は、くくるの夢を応援する立場…その事で自分に欠けたものを摂取していく立場にいるけど、そんな彼女がくくるにないモノを補ってもいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
それぞれ過去の痛みとか、それで培われた人格とか能力とか、凸凹している個性を噛み合わせて進んでいく。
『何度目の一生のお願いなんだよ…』という冷たい視線が、非常にいい感じの作画で描かれるうどんちゃんも、自分なりの出来ることを差し出して、幼馴染を手伝っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
ラフテーを仕上げる手付きが凄い枚数かけて描かれてて、作画担当の気合を感じたね…。
くくるにとって水族館が未来と夢に繋がるように、うどんちゃんにとって見様見真似で身につけた料理は、出来ることでありやりたいことでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
家出した風花を二度も導いた…そこで描かれた視線の柔らかさを見た段階で、僕の中での照屋母の点数凄く高いんだけども。
今回細やかな努力を積み重ねて、母と同じ…でも自分だけの”食”を追ううどんちゃんが描かれることで、お母さんへの敬愛がどんだけ、彼女を突き動かしているかも良く見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
若い愛娘を放任し放言しているように見えて、勘所はビシッと抑えて導いてる塩梅も良い。
付かず離れず、でもわかり合ってるこの距離感は前回描かれた宮沢家の間合い、今回くくるが幻想の中で見せる家族の不在とは、当然異なっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
人も家もそれぞれの顔があって、唯一絶対の答えがあるわけではない。
そういう視線で、人間を取り巻くものを見据えているのは、この作品のいい所だ。
地に足がついてる地道さと、妙にフワッとした夢っぽさの同居。天と地が確かに繋がって、相互に影響しあっている不思議さ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
僕がこの作品の味だと感じている要素が、今回も元気に踊る。
ペンギンは勝手にクソをたれ、撫でられて目を細める。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第6話より引用) pic.twitter.com/Ukv8TBDPCS
入って日が浅い櫂くんにはケツ向けて、付き合いの長いくくるには自分から寄っていく勝手さが、彼らが”生物”であることを教えて大変良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
相手はしてほしいタイミングと場所でクソ垂れる、便利な道具ではない。
それが、くくる達の”仕事”の前提である。大変いい、クソの使い方だったな…。
そんなどっしりした実在感と並走して、女子三人のワクワクスイーツツアーが、ヘリウム風船並の軽さで浮かび上がりもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
『オメー企画出させるなら、一番最初に予算規模は伝えておけよ!』と、ノンキに『ごせんえんッ!』ほざくくくるにマジツッコミしちゃったけど。
意気込み十分ながらくくる館長代理、まだまだ高校生。こういう所の経験値は当然少なくツメも甘い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
そらー、空也さんも信頼しきらねーよなと、見てるこっちも納得の描写である。
生足も眩しい実地調査でも、マジ浮かれまくりはしゃぎまくりで、微笑ましいが危なっかしい。
そんな場所でのうどんちゃんは一人、口に入れたものをどう作ってるか解析して、自分の経験値に変えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
好きという気持ち、やりたいという意欲は、漠然とした体験を整理し、自分の糧に変えていく。
くくるにとっては海の生物、うどんちゃんには料理。じゃあ、風花には…?
そういう疑問も浮かんでくる、うどんちゃんの夢追い描写補強回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
案を出し、調理の工夫を分析し、メモを取って考える。
今回描かれるうどんちゃんの”食”への努力は、どれもハンディで手堅い。見てて信頼度が高まる、凄く良い描写だ。
これが風花の芯のなさと、上手く対照されてもいる。
スイーツで客を呼んだり、SNSで人を集めたり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
華やかな舞台に身を置いていた風花だけに思いつくことは結構あって、しかしそれは無意識に差し出される。
自分に出来ること、したいこと。
うどんちゃんが持ってる自認が、風花にはまだない。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第6話より引用) pic.twitter.com/3F04cSX8RX
宣材集めの名目で、かわいいかわいい動物さん達がたーくさん見られて、大変ありがたいが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
入り口と露出を増やして、とにかく人目に触れる。
オールドスクール職人気質な水族館運営とは、ちょっと異なる生存戦略を、風花は自覚しないままリードしていく。
むろんくくるも導かれるだけでなく、彼女だけに出来ることが沢山ある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
がまがま水族館の歴史を、共に歩んだ古馴染みを見落とさず、しっかり見据えて思いに寄り添うこと。
それは客人である風花には出来ない、土と人に根付いた振る舞いだ。
くくるのやりたいことであり、出来ることでもある。
同時に子供の身分、智慧と経験の不足は思わぬ壁を引き寄せもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
食品衛生行政の壁が、夢のオリジナルアイスをぶっ潰す。
やっちゃってからNG出る前に、ちゃんと忠言してくれる大人が隣りにいるの、ありがたい環境だよなーホント…。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第6話より引用) pic.twitter.com/vzilkm2pho
というか、マジヤバそうなら止めれる立ち位置をキープしてるからこそ、子供たちがやりたいことを自発的に、口出さずにやらせてる、とも言えるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
少し常温で放置してから削ると、フワッとした食感になって美味しい。
調査と研究に余念がないうどんちゃんの、小さな努力は無駄じゃない。
しかし”出来ること”が食品衛生法で狭められる中で、何をやればいいかには思い悩み続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
ここでお母さんが娘を挑発して、うどんちゃんの良いところを思い出させる流れ、大変良かった。
答えは言わない、わかりやすく優しくもしない。
でも扉を開ける鍵は、憎まれ口に混ぜてそっと差し出す。
これは凄く娘を尊重し、敬愛した立ち回りだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
自分の背中を見まね見よう、進んできた小さな女の子はもう、自分の足で立とうとしている。
そういう現状をちゃんと見据えているからこそ、マンゴーラフテーを生み出した月美らしさを取り戻すよう、それが良いものだと信じて示唆するのだ。
お母さんはアマサンなマンゴーラフテーを、良いものだとは思わない。好きじゃないから、スイーツの知識も貸せない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
でも自分とは違う娘の”やりたいこと”を、”デキること”に変える助けはする。
手を引いて導くのではなく、からかい混じりに後ろから、確かなエールを届ける。
この照屋親子の距離感を、僕は凄く良いものだと感じた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
こういう空気に包まれて育ったから、うどんちゃんは料理が好きだし、そのための地道な努力を惜しまない子供に育ったのだと納得した。
こういう親子の形、”好き”の形も、この世界にはある。豊かで、幸福なことだ。
積み重ねたメモ書きからうどんちゃんの…がまがま水族館の未来が開けそうな所で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
そこに救われてきた老紳士と、くくるの思いが混ざり合う。
事業の失敗。兄の死。
様々な終わりの時に、この場所が隣り合ってくれた。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第6話より引用) pic.twitter.com/AJbWoqyQSz
兄におぶわれた子供は戦争を生き延び、老人になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
出来たての水族館は老朽化し、新聞に死亡宣告が乗る。
時は流れて、人は過ぎ去っていくが、それは全ての終わりではない。
キジムナーの魔法は、くくると老紳士にそれぞれ、かけがえない夢を届ける。
一度も名言しないが衣装とSEで、76年前の事実を…確かにあったものと喪われたもの、そこから立ち上がり積み重なったものを示唆しつつ、老人はもう一度兄に出会う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
それは長い年月、世知辛さと悲しみを背負って歩いてきた存在への、一瞬の慰みかもしれない。
しかし間違いなくかけがえのないものであって、こういう幻影があるからこそ、人は長くて苦しいもの…全てを引き裂く傷の後でも、歩けるのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
くくるが父母と再開した時、現実では一度も見せていない号泣を水に溶かしていたのが、大変に重たかった。堪えてんだなー、館長代理…。
照屋親子の心地よい距離感を描いたからこそ、夢の中でしか会えない、現世で泣けないくくるの辛さが際立つ構成でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
その視線の先にある、もう一人の私。二つの母子手帳と合わせて考えると、バニシングツインかなぁ…。
双子の命を吸って生まれ、父母の死の上に立って活きる。
明るい笑顔、元気で前向きな姿勢の奥で、くくるは結構罪悪感に縛られつつ、生きているのかも知れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
そんな重荷を一瞬の幻は果たして、楽にするのか。
生活に直結しない、都市に切り取られた人造の海。水族館が生み出すのは、そういう生存のためのファンタジーかもしれない。
老兵が堪えきれず流した涙に、自分が守ろうとする場所の意義を再確認しながら、くくるは未来へ踏み出していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
色んな縛りを越えて生み出した、アイデア満点のお魚フラッペ。
SNS映えも十分な、今闘えるアイデアが客を呼び込む。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第6話より引用) pic.twitter.com/Zh2DZidb3S
照屋ママと同じく、後ろで子供たちの奮闘を見守ってたおじいが、その努力を大事な入り口と認めてスッキリ話を収めるのも良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
画面に映らず、終戦処理という重く生臭い大人の仕事に駆けずり回ってるおじいの言葉は重い。
『あ、アンタがそう言うなら…』感が、浮遊する努力を地面にしっかり繋ぎ止める
予定していたメニューだけでなく、突然のリクエストにもノリノリで答え、かわいいかわいいカエルアンコウを作り出すうどんちゃんの才気も、夏空に冴えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
実直に努力と経験を積むだけでなく、突飛な発想力を形にする力もあると、しっかり描くのがグッドだ。
今回はうどんちゃんがどんな子で、何に頑張り何に出来るかを凄くよく教えてくれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
そんな彼女が何に包まれ、育まれたかも。
SNS施策も手応えアリ、ゴミ箱に投げ捨てた死亡宣告もひっくり返るかも!
そんな気配が、ダダ甘マンゴーラフテーに漂う。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第6話より引用) pic.twitter.com/Yo8q1hcjvy
それは娘の個性の味、努力の味、尊厳の味なのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
自分なり工夫をして、母の背中を見つめながら追い越して進んでいく月見を、お母さんはとても好きなんだと思う。
だから、苦手でも噛みしめる。
美味しくはない。自分の味ではない。
でも、意味も価値もある。
家業を継ぎ、身近に触れ合っていたものを夢と引き受ける時生まれがちな、コピーの危うさとヤダ味。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
それをコミカルに料理して、異質性をこそ尊ぶ風通しで描いたのが、凄く良かったです。
お母さんは自分と同じ存在に、娘がなってほしいわけじゃない。
マンゴーラフテーを作る”照屋月美”になってほしい
あるがまま独り立ちしつつある、でも危なっかしい我が子を見据える視線の風通しは、前回の絵里さん、くくるを見守るおじいとも通じる部分があり、このお話が”親”…あるいは”大人”をどう捉えているか、上手くあぶり出している感じです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
彼らは敵ではなく、子供と同じ存在でもない。
見えている世界も、出来ることも、歩んできた道も違うけど、だからこそ尊び見守ることが出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月13日
この他者性への視線は、全く違うからこそ響き合う主役二人を描く上で、凄く大事だとも感じます。
一人のキャラを掘り下げつつ、作品全体に視線が延びる。
とても良いエピソードでした。次回も楽しみ。