白い砂のアクアトープを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
がまがま閉館から数ヶ月。
くくるは”アクアリウム・ティンガーラ”へと就職し、新たな一歩を踏み出していた。
かつての仲間との再開を喜ぶ間もなく、押しやられたのはまさかの営業部。
厳しい上司、馴染まぬ仕事。
窒息寸前の水槽でふと、上げた瞳に写ったのは…。
そんな感じの新章開幕、職場の空気が最悪ですッ! な、アクアトープ第13話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
がまがまが体現していたものを後ろに置いて、踏み込んだ新境地は当然居心地悪く、息苦しく…。
タメにタメる展開の突破口として、天から舞い降りた風花と、どんな未来を描いていくのか。
いいスタートとなりました。
このアニメ、とにかく美術が良い…だけで終わらず、かなり計画的に用いられている作風なわけですけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
今回新しい場所に踏み出すくくるの思いと見てる側をシンクロさせるように、凄く意識して美術で殴ってきました。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第13話より引用) pic.twitter.com/cgz9lszDRq
とにかく直線多めで人工的に、ここまで画面を満たしてきた家庭的な暖かさを意識して排除。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
ひんやりと遠く、狭く、居場所を何処に定めたら良いか迷う風景にくくると僕らを置いて、窒息させていく作り。
広くて人がいっぱい、ピカピカのティンガーラは確かに綺麗で、最新鋭の輝きに満ちてる。
でもそこは、12話がまがまの情景に慣らされてきたくくる(と僕ら)には馴染みのない場所で、何かに囲われた息苦しさが、ぎっしり画面を満たしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
そういう窒息性の空気で画面とドラマを満たして満たして、耐えきれず顔を出した空気穴として、開けた砂浜が最後に初めて、顔を出す。
そこに抱えてた涙をこぼしかけた所で、満を持して”姉”が登場し、くくるをグジャグジャに切り崩すという…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
海咲野くくるの解体が見たくて、このアニメ見てる感ありますからね……
かなり計画的に抑圧と解放のドラマが組み立てられてて、第2クールも強みである丁寧な周到さは元気だな、と思いました。
今までオープンエアな場所に、歴史的な意味を伴って配置された祠に捧げてた朝拝が、小さなワンルームに閉じ込められて物語は始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
伝統、地域、家族、開放、自由、甘え。
おじい達に見守られ、私服で自由に進めた時代から、大きく風景が変わっている。バイクも乗れないしなぁ…。
ファーストペンギンの約束を抱えて向かう職場は、とにかくデカくて綺麗でキッチリしてて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
アイス食ってても怒られなかった、ガバガバながまがまとは大きく違う。
ある意味”仕事”の当たり前、近代の規律が分業を加速させる、ビジネスとしての水族館。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第13話より引用) pic.twitter.com/604Ka0JkGF
がまがまにはなかった営業部に押し込められ、超絶意識高い副館長とつきっきり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
初手ストレス高い展開に、くくるならずとも表情が曇る。
諏訪さんはですねー…自分が見てる高いビジョンに、10代の部下が付いてくるのを待つのではなく、引っ張り上げるための方便をですねー…。
後にちまちま掘り下げられるが、陽気な態度の館長も嫌がらせでくくるを、営業部に送り込んだわけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
現代社会において水族館がどんな役割を求められ、産業構造の中でどうすればそれが果たせるのか。
金勘定、広報戦略も含めた、最新鋭の生存戦略。
それを学ぶことが、くくるがくくるらしく自分の夢を達成する、大事な糧になると期待して、この差配をした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
俯瞰でみれば結構納得の手筋なんだが、当人にしてみりゃ、お魚触りたいよね…。
マジで設備豪華で、今まで以上にスペクタクルな展示も出来そうだし。
諏訪さんも一切の加減無しで自分のやりたいことだけを新人に叩きつける、あんま宜しくねぇ立ち回りしてるけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
彼が見据えている”水族館”は、おじいが思い描いたそれと遜色なく、理想主義的でピカピカしてる気配はあんだよね。
それを実現するために、何を選ぶか。
そこでわざわざくくるの体験を否定し、過去をリセットして現代産業色に染め上げようと、強めに”圧”かけてくるのがまぁ、困ったところである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
『他人を見ない、受け入れない』っていう欠点は、第9話で知夢…そしてくくる自身も発露してたカルマだが、これをどう越えるかてのが、今後大事になりそうだ。
ティンガーラはまったくがまがま的なものがない、それが通用せず重視もされない、隔絶された場所として現状描写されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
そこを自分の場所にするためには、がまがま的なスタイル、そこでの経験値にしがみつくだけでなく、異質な環境下でそれをどう活かすか、考えなければいけない。
というか、どんなものでもお商売に組み込まれ、全てが会社組織として効率化され、明瞭な規律で動くティンガーラのスタイルこそが、現在のスタンダードであってね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
人情、地域、歴史に包まれてたレッドデータアニマルは、そのままじゃ生存できない。実際、がまがま潰れたわけで。
閉じた洞窟から顔を出して、大きな海に顔を出してしまった今、そこの塩の味、産業化されていればこその利点を自分に引き寄せて、がまがま的なモノと混ぜ合わせ武器に変えていく柔軟性が、くくるには求められている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
…自分で書いて思ったが、かなりヘヴィだな今後の道のり。
そのためにはまず、新たな居場所を知ること。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
ってんで、くくると一緒にティンガーラ・ツアーである。カワウソくん可愛いッ!!
最新鋭の施設を活かし、見るものが思わず目を輝かせるアクア・エンタテインメント。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第13話より引用) pic.twitter.com/gt6zNAXBND
ティンガーラに客が来て、商売として成り立つ説得力が、最高美術の腕力でビシバシ叩きつけられるのは最高である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
相変わらず動物たちも大変愛くるしく、元気に生きていて素晴らしい。
ペンギンを見てるくくる…をガラス越しに見てるペンギンの視線は、面白いひねり方ね。
動物が活きて、見られ楽しませる場所として、ティンガーラは太い説得力を持っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
ここには、揺るがない良さが確かにあるように思える。
でもそれを駆動させる人の営みに、くくるは上手く入っていけない。
部署は希望と違って、仕事のやり方は今までと大違い。
嫌味など存分にぶっ刺されつつ、カードキーの使い方がよく分からない日々である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
第1話では風花に『ネイル落とせボケッ!』と、水族館のスタンダードを吠えてたくくるが、1クールを経てこの立場というのは、なかなかおもしろい運びだ。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第13話より引用) pic.twitter.com/k3iPnamnvq
うどんちゃんの新たな戦場で、櫂くんが自分なり、くくるにアドバイスするシーンが良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
彼は幼馴染大事で、あまり興味のない水族館の仕事を体験し、それが未来を決める決め手になった。
フラフラ沖縄に流れてきた元アイドルも、知らないからこその発見に胸を躍らせて、大事なものを見つけた。
くくるにとって絶対に守りたいホーム、そこから出たくない子宮だったがまがまでは、流れ込んでこなかった新たな水。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
『その味を知ることで、見えてくる世界もあるのではないか』つう櫂くんのアプローチには、明晰な知性、経験を手渡す優しさがあった。
やっぱこの子好きやわぁ、僕…。
とはいうものの、くくる(とがまがま組)がティンガーラに馴染めない外来種であるのは、変わらぬ事実で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
今回、いまいち踏み込めない遠さを表現するべく、ガラス越しの描写が多用されていたのは印象的だ。
いまいち距離がつかめないのは、ガラスの向こうのくくるも、覗き込んでるスタッフも同じ。
身内にだけナシ通して、意思疎通なしに仕事が滞る現状は、比嘉くんの言う通り空気が悪い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
まぁ最悪の状態から改善していくカタルシスを生むためには、最悪を描かなきゃならんからね…必要なストレス描写だとは思う。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第13話より引用) pic.twitter.com/J58PWnSjY4
上手く一方的な悪役を作らないような描写にもなってて、知夢が知識を増やすために原書を読む努力とか、館長代理スタイルに狭く固執してるくくるの現状とか、どこが問題でどこが強みか、軽妙にスケッチされていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
こういうのが丁寧だと、後々の話も飲みやすくなるからありがたい。
『できらぁ!』しちゃったくくるだけが悪いわけではなく、辞令受け取りたてのド新人に、組織図把握して全部根回しさせようとした諏訪さんが、焦り過ぎな感じもあるしなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
飼育、営業、施設と分断された組織構造が、オープンしたての忙しなさ、コミュニケーション地盤の弱さもあって繋がってない。
お互い何を望んで何が出来るのか、相手の顔を見ないまま、自分がやりやすい方法を強要し、衝突してる状況。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
ここにどう、相手を鷹揚に受け入れるおばあスタイルを盛り込んでいくか。解ってもらうか。
がまがまで悪戦苦闘してたポイントとは、半歩進んだ問題が強く、頭をもたげている感じだ。
1クール目は学生として家族として、滅びを約束された施設最後のあがきとしてある意味気楽にやってたことが、ティンガーラでは現在進行系のビジネス戦争に変わっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
でも”仕事”の答えって、相手の顔見ず声も聞かず、苛立って閉じこもることだけか?
そこら辺の問いかけを、今後くくるの営業修行、社会人闘争に重ねながら彫り込んでいくのが、第2クールの重点かなー、と感じた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
風景も、立場も、人間関係も仕事のやり方も、何もかもが変わった場所で、でも変えてはいけないものをどう守り続けるか。
正しく、難題である。
膝を抱えた胎児の姿勢で、海に一人涙をこぼしかけたくくるに、高い場所から降り立つ天使。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
テザービジュアルからあえて弾き出された約束の女(ひと)が、苦境をぶっ飛ばす可能性を背負い、沖縄に降臨であります。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第13話より引用) pic.twitter.com/aM7U1rMqce
くくるの抱える違和感、気負い、至らなさとやるせなさをしっかり描く回だからこそ、それを全部預けて感情を剥き出しに出来る存在のありがたさは、眩しく海に輝く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
前回別れた時と同じく、くくるが”地”、風花が”天”に位置して、降り立って一つに抱擁する演出も良い。
風花の登場タイミング、運命的なその美しさが、新環境のストレスにグズグズになった社会人一年生の心を、メコメコにぶっ壊して依存させるべく最適化されていたの、最高に良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
BLEACH風に言うと『命を刈り取る形をしてる』んだよなぁ、風花の立ち回りが…。
不満、不安、苛立ち、反発。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
色んなものを溜め込んだ海が、東京から帰還した運命に溶け出し、流れていく。
そのカタルシスは果たして、くくるに新たな力を与えるのか。
離れていた時間が溜め込んだだろう想いの爆薬は、立ちふさがる困難を吹っ飛ばす起爆剤となるのか。
『まーこのヒキで状況改善されなきゃ”嘘”だね!』と思える、大変良い新章第一話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
初仕事の戸惑いと不安を、ストレスとディスコミュニケーション濃い目に活写して、タメてタメて風花降臨で『イケる!』
良い運びだよなぁ…気持ちよく、語り部の話運びに乗っけられた感じがある。
今回描いたティンガーラの、問題点と強み。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
あえて営業にくくるを回して、見つけて欲しい景色の描き方と合わせて、今後の物語に大変期待を持てるスタートだと思いました。
問題山積、ストレス爆発。
この状況からどう、新人スタッフは未来へ漕ぎ出すのか。
次回も、とても楽しみです。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
第1クールで不屈の館長代理として、折れない心で未来を目指すくくるの強さを描いたのは、新たに漕ぎ出すティンガーラがより良く変わっていくエンジンになる説得力を、事前に積んでいく意味合いもあったのだろう。
くくるは負けん気が強くて、行動的でがんばり屋。
そういう共通認識が出来てるから、ティンガーラが陥ってる窒息寸前な機能不全を突破していくアイデアと活力を、彼女が主役として背負っても納得…というか待望出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月1日
荒れた海でこそ、キャプテンシーは試される。
超近代施設で、がまがまの子が何をやるか、僕はとても楽しみです。