・前置き
(これから先々週放送の、サクガン第3話の感想を書きます。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月1日
感想が滞ったのは作品に問題があるわけではなく、自分がタイミングを図り損なっただけです。申し訳ない。
いい作品なので、このままズルズル感想書かないの最悪なので、遅ればせながら書きます。)
・本論
サクガン 第3話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月1日
コロニーを離れ、マーカーとしての一歩を踏み出したメメンプー一行。
広大なラビリンスには自由と危険、心躍る不思議と厳しい現実が同居していた。
冴え渡る知恵で新たな道を踏破せんとす愛娘に、ガガンバーの対応は冷たい。
未来を切り開くのは、頭脳か、経験か!
そんな感じの、凸凹コンビ初の珍道中、一話まるまるウィルダネスなサクガン第三話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月1日
他のキャラクターを絡めたドラマも今後転がっていくのだろうけど、それが始まる前に二人きりの旅路、雄大なラビリンスの風景をたっぷり食べさせてもらって、大変ありがたい。
序章ではその危うさがあまり描かれなかった、メメンプーの早熟な幼さ、頭が切れる故の経験軽視をしっかり掘り下げ、ガガンバーの慎重さ、娘を案じればこその頭ごなしとそれらが衝突し、生まれる危機。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月1日
お互いの定位置を交換して、死地を乗り越え強まる絆。
そういうお話だった。
これから物語が展開していく場所のヤバさもよく解ったし、相変わらずアクションを怠けず、その隙間に印象的な象徴を挟み込む手腕も冴える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月1日
勢い重視に見えて、やっぱ端っこの処理が丁寧であり、何を書いて何を見せるかよく考えてるアニメだと思った。
そういうアニメが、僕は好き。
というわけで今回はタイトルにあるように、心臓に宿る経験と、頭脳から生まれる知恵のお話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月1日
最初はお互いの立ち位置に固執していた二人が、いさかいと離別を経て座席の前後を変えて、両方大事なのだと受け止めるまでの物語だ。
(画像は"サクガン"第3話より引用) pic.twitter.com/SnHDMSOGN4
ビッグトニーの後部座席は情報処理のためにあって、前の操縦席を補佐し、そこでは見えないものを補うためにある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月1日
しかし初めての冒険に吹き上がったメメンプーの思い(おそらく、光るオデコではなく心臓にこそ宿るもの)は、そんな棲み分けをかき乱していく。
今回のエピソードは経験にすがる大人が賢い子供を蔑ろにした話でも、自分の頭脳を過信した子供が痛い目を見る話でもない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月1日
実はかなり感情的なメメンプーが、心臓に宿るものの使い方を学習し、思いの外冷静でもある父がそれを助けていくエピソードなのだろう。
そんな凸凹親子鷹の舞台となる、広大なるラビリンス。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月1日
美術が良いアニメなので、秘境の色んな顔がたっぷり見れたのは、大変嬉しい。
キャラが増えるほど写せなくなってくポイントだと思うので、主要人物が少ない内に書いてくれたのはありがたい。
(画像は"サクガン"第3話より引用) pic.twitter.com/p2EPt3Zwib
薔薇の形をした鉱石、赤い旗で存在を知らせるベースキャンプ、尽きない電力パイプライン。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月1日
メメンプーたちが旅する世界には独特の文化があり、歴史があり、面白さがある。
そこを豊かに切り取ってくれると、作品に漂う空気を胸いっぱい吸い込んで、確かにそこにある実在感を受け取ることが出来る。
あとまぁ、こういう冒険譚はやっぱり見たことのないものにワクワクしたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月1日
この気持ちはコロニーを出て初めてラビリンスを見るメメンプーとも同じだし、視聴者が情景に胸高鳴ることで、キャラクターが飛び込むドラマへのシンクロ率も上がっていく。
そこら辺、ちゃんとやってくれるのは嬉しい。
生活力皆無の親父を支えつつ、大学を飛び級主席で卒業したメメンプーのプライドは、大変に強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月1日
『私は出来る!』という根拠の”ある”自信は、過去に擦り切れ色んなものを諦めた(だろう)ガガンバーと、好対照を為している。
光るオデコと輝く夢が、物語を引っ張るエンジンだ。
しかしそれは、現実知らないガキの寝言でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月1日
なまじっか力関係が対等以上なので、ガガンバーが押し付ける正しい意見、過去の常識を、メメンプーが素直に受け止められない状況で、少女はどんどん頑なに、自分の頭だけを信じるようになっていく。
ダメ親父に見えるガガンバーはけして無能などではなく、マーカー時代に培った経験知は、慎重かつ的確な判断を連れてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月1日
しかしそれを娘に、膝突き合わせて説明しねぇもんだから、断絶は更に深まっていく。
予期せぬカイジュウの襲来に、慌てず向ける鋭い視線。
(画像は"サクガン"第3話より引用) pic.twitter.com/td1G2oRp22
それを娘と上手く共有できればいいが、やるのはオデコを抑え込んでの子供扱いである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月1日
そらー、天才少女も反発するわな…。
気づけばネジレてしまった親子関係を、ぶつかり合いながら解していくのも、この冒険が目指す到達点なのだろう。
なので現在は迷い、すれ違い、孤立していく。
メメンプーも自分の才気が見せてる世界を、父と共有できない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月1日
ダメダメな凡骨には何言っても無駄と、コロニーの生活で学習した結果か、あるいは素直になれないコンプレックスの賜物か。
どっちにしても、頭でっかちな天才は自分だけが導いた答えに従い、亀裂に落ちる。
怪物に追い立てられる中で、メメンプーは生存に必要なギアを一つ一つ置き去りにし、必死に逃げる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月1日
地図、ヘルメット、バックパック、ライト。
どれも秘境で生き抜くために大事なアイテムだが、恐怖(心臓を脅かすもの)に突き動かされた彼女は、これを保持できない
(画像は"サクガン"第3話より引用) pic.twitter.com/ipK8zwuMjX
デカい頭をパンパンに満たした思念が、追い込んだ窮地。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月1日
そこでマテリアルな質感を持った”モノ”を一個一個取り落していくことが、彼女が初めて直面する危機に、現実的な対応が出来ていないことをよく示す。
ハラハラする逃走の中に、こういう演出抜け目なく仕込んでくるの好きよ。
全てを置き去りにして、しかし唯一残る”モノ”。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月1日
自分を冒険に連れ出し、既存のルールを超えた道を示してくれる地図だけは、メメンプーに残る。
琥珀色の思い出が示す、微かな希望だけが彼女の武器であり、それはどんな危機にも消えはしない。
(画像は"サクガン"第3話より引用) pic.twitter.com/1QNsJkGMKU
危機の中の回想で、メメンプーがどんな時間を過ごし、父や世界とどんな関係だったかも見えてくるが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月1日
遠く夕焼けを背負って、一瞬ありふれた家族の情景を眺めるカットが入るのが、天才少女の寂しさを上手く照らしていた。
飛び級して入った大学で、何らか自分を満たすものを掴めれなかったから…
彼女は父との生活に戻り、ワーカーとして粉塵に塗れていたのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月1日
そこに母はいないし、思い出の景色も近づいては来ない。
メメンプーにとってラビリンスは、そうやって溜め込んだ鬱屈を、ようやく開放できる不思議の国でもあった。
浮かれるのも無理はない。
しかしまぁ、暗く寒く危ない地底は子供の遊び場ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月1日
狭い管制席に身体を押し込め、家出娘を出迎えるようにやってくるビッグトニーは、とても頼もしい。
一人前と胸を張っていても、やっぱ九歳の子供でしかなく、ガガンバーがどんだけダメでも”親父”の一線だけは必死に守るのが、大変安心する。
『ガガンバー、ソフト方面からっきしだからロック外せないんだな』とか『そういう部分を補って貰える相棒がいなかったから、複座のビッグトニーを封印してたんだろうな』とか『メメンプーとならやれると見込んで、後部座席を預けたんだな』とか、色々想像できる回でもあったな、今回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月1日
ガガンバーの過去は結構大きな伏せ札で、今後関わる人々が増え、試練が過酷さを増す中で暴かれていくとは思うのだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月1日
ダメ親父と切れ者の二面性、憎みきれないろくでなしっぷりでキャラを立てて、隠された秘密を知りたいと思えるよう導線引いているのは、大変いい感じだ。
かくして分かたれた親子はあるべき場所に戻り、しかし最初に座っていた位置と同じではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月1日
ロジックに収まりきらない、経験に裏打ちされた知の大事さを、己の身で思い知ったメメンプー。
彼女が父の衣装を着込み、父の定位置に座っているのは、何を学び何に助けられたか、鮮明に伝える良い演出だ。
ワクワクの秘境アクション満載で進みつつ、こういうイデアルな部分の記号操作が繊細で的確なの、好みの味でありがたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月1日
キャラクターの問題がどこにあり、それがどう克服されたかっつー話の根っこを、説明ではなく描写で伝える工夫が随所にあるのは、やっぱりありがたいわな。
かくして心臓に宿るもの、頭脳に満ちるもの両方の大切さを知った親子の前に、現れる怪しげな男。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月1日
二人きりでラビリンスの危険、お互いの個性と欠点、補い合う絆を描いたところで、どうやら話は別角度に回りだすようだ。
(画像は"サクガン"第3話より引用) pic.twitter.com/qp096tl6G9
対人のドラマが動き出すと、なかなか腰を据えて描けない部分にしっかり一話使って、見たいものを差し出してくれるエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月1日
シチュエーションを活かしてキャラを立て、ピンチの中で陰影を付けていく手腕も冴えていて、見ていてとても面白い。
冒険譚に必要な高い体温と、精妙にお話を編む冷静
”BRAINS & HEARTS”の両立が、心躍る冒険を支えているのは、このアニメ全体にも言えてる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月1日
そう感じられる、ホットでシャープな話数でした。
この物語でのスタンダードな危機と成長を、三話でしっかり書いての新キャラ登場。
どんな物語が続いていくか、次回も楽しみです。