月とライカと吸血姫を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月14日
吸血姫が切り拓いた道を駆け上がり、レフは”人類初の宇宙飛行士”となる。
瞳を焼く眩い闇の中で、聴こえてくる遠い栄光。
天から降り注ぐ言葉は、全て君だけのために。
真実を縛る鎖を、果たして英雄は振りちぎって、新世界へと人々を導くのか。
かくして狐は、革命を囁く
そんな感じの空しき偉業の果て、月とライカ第11話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月14日
打ち上げ自体のピークはイリナちゃんが乗った”最初”にあった感じで、彼女が届けてくれたデータを生かして、レフくんの”最初”は大きく問題なし。
世界がその真実を知らないままに、偽りの栄光に酔う中でさて、主人公は何を選ぶか。
カプセルが政治に塗れた地上に帰還した後にこそ、クライマックスを持ってくる話運びが、大変このアニメらしくて良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月14日
大団円が近づくにつれ、ハゲの政治屋と女狐の主役力がガンッガンに上がっていくの、異様な迫力で良い。怪作だ…。
まぁ話の初めから結構ヘンテコな作品で、それがずっと続いた結果のションベン和解とも言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月14日
あれは最高に良かった。
凄くレフくんらしく、彼を主役にするこの話らしく、等身大の人間らしさを大事にしていた。
ぶっちゃけミハイルさんは完璧ライバル以上のキャラ立てる場面が、なかなか無かったのが
アンモニア臭漂う納得を今回手渡したことで、グッと彫りが深くなった感じがする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月14日
宇宙英雄と祭り上げられようが人間はションベンするし、”実験動物”にも心と栄光がある。
そういうしみったれたヒューマニズムで、巨大な政治装置、虚栄に満ちた宇宙開発に殴り込みをかける歴史ファンタジー。
その味わいが、発射前のやり取りには満ちていた気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月14日
やっぱ”最初”ってのは大事で、世間的には(そして党的には)栄光に満ちた初フライトも、真実を知るレフくん自身にとっては二番煎じでしか無い。
今まで彼らを見守ってきた僕らにも、それは同じである。
アクシデント少なくのっぺりと、”人類初飛行”が成功する事自体が、通信障害起きたり着地でミスったり、色々あった実験飛行の賜物だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月14日
しかしそれは、けして顕にされない。
全てを抑圧し、不都合な事実を”なかったこと”にする国家体制に飲み込まれ、愛する人は処分されつつある。
ここでレフくんが、宇宙から愛を込めて詩を送るのが、大変ロシア的な風景で良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月14日
イリナちゃんは感受性の強い(からこそ、やけっぱちなフリで自分を守っていた)子なので、美しいものと出会った時に出てくる言葉が、素直で強いんよね。
あえてそれを借りて、人類初のアーススケープを語る。
それは数少ない同志にだけ届く暗号であり、それに急き立てられるようにイリナちゃんは、眩い闇の中に飛び出していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月14日
昼の世界に住めない吸血姫が、どんな世界に生きていたのか。
それをしっかり”絵”で見せる演出は、今回とても良かった。長く彼女に付き合ってきたからこそ、刺さる演出だと思う。
あの真っ白な視界は、レフにすら共有されない彼女の闇であり、それを飛び越えてでも降り注ぐ言葉の、自分が成し遂げた栄光の意味を知りたかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月14日
そんな彼女の思いが、上手く焼き付いたハレーションであった。
宇宙英雄を称える群衆の姿は、”実験動物”にはよく見えない。
アーニャとたった二人、シーツに包まって闇の中抱きしめ合うことだけが、栄光なき少女に許された慰みである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月14日
この屋上のカットは、少女たちを包囲する残酷が鮮烈に描かれていて、大変良い。
此処こそが、世界の果てである。
(画像は"月とライカと吸血姫"第11話より引用) pic.twitter.com/jNP2r6lMy5
レフくんが、栄光に向かって走る後半戦。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月14日
孤独に取り残されたイリナちゃんに、アーニャがずっと寄り添っていてくれたことは、自分の中でマジデカかったんだなと、思い知らされる場面であった。
あそこで暗号の意味を共に知り、眼を焼く栄光を遮り肩を抱いてくれる人が、隣りにいてくれるありがたさ。
勇敢なる先駆者が語った宇宙詩をひっそり告げることでしか、恋を語れないこの現状に、アーニャは怒る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月14日
叛逆と革命を静かに燃やす時、獣みてぇな眼をしてるのが最高に良い。
眼力の強さに、クライマックスへの期待が否応なく増していく。
(画像は"月とライカと吸血姫"第11話より引用) pic.twitter.com/QL9tXY5if5
革命女狐は国家作文監督するフリして、レフくん焚き付けてるしな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月14日
”処分”が迫る裏で、同志最高指導者がどんな大革命を企んでいるのか。
若き青春の暴走、世紀のロマンスをテコにして、祖国と冷戦構造をどんだけ転がすつもりなのか。
期せずして、恋と政治のダブルクライマックスである。
まぁ同志書記長が超改革派じゃないと、何でもかんでも”なかったこと”にする抑圧国家に飲み込まれて、英雄も実験動物もまとめて処分で終わりだもんな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月14日
記者会見の場でレフくんがぶっ放すだろう、個人的なロマンスの爆弾。
それを起爆剤に、国家…を越えて国際政治全体のパワーシフトをぶち上げる。
レフ-イリナがちっぽけな個人としてロマンを武器に、巨大な組織に立ち向かう物語と、それを背に受けて腐りかけの祖国を高い所までぶっ放す、たった二人の革命物語。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月14日
その二つが同時進行するクライマックス…つう形だよな。
宇宙開発アニメに相応しく、ラストも二段式ロケットだ。
共和国というシステムのろくでもなさ、それに踏みにじられる人々の惨めさは、地面に叩きつけられるアイスクリームとか、シーツに包まった二人の少女の涙とかで、かなり上手く描けていると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月14日
しかしそれは、たった二人の宇宙英雄が、地べたからひっくり返そうとしても覆らない。
巨大な機構を転覆させるには、上からの決定的な一撃が必要だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月14日
飄々と走り回ってたリュドミラは、抑圧国家の革命を望む天上と大地を繋ぐ、はしごの役割を担ってたわけだなぁ…。
国家最高権力…その私的諮問機関がこういう描かれ方するの、結構特殊で面白い。
人が宇宙に行き着くために、積み重なった努力と苦労、数多の理不尽。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月14日
それを超えていく浪漫は果たして、世界を変えるだけの力を持ちうるのか。
宇宙開発だけではブースター出力が足らないので、麗しく哀しいロマンスを追加で足してあるのは、やっぱ巧い構図だな。
一回レフくんとイリナちゃんを切り離して、悲壮感を高めてるのも、巧い燃料注入。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月14日
『この恋が成就しねーのは嘘だろ…』って心底思わせておいてからの、ちゃぶ台返しのお膳立て。
さてはて、一体どうなることか。
同志書紀改革の願いは、果たして叶うのか。
次回も楽しみです。
しかしスーパーリッチが私的に宇宙に飛び立ち、宇宙ベンチャーが多数立ち上がり、衛星破壊の脅しが実効を持って国際政治に突きつけられてるこの2021冬に、こういう話が来るのは面白いなぁ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月14日
大枚叩いて軌道上にモノとヒトを投下することには、どんな意味と価値があるのか。
アポロとソユーズの夢が既に古ぼけた過去に霞み、しかしあの時とはまた別の形で浪漫と産業、夢と政治がグツグツ煮立つ場所として宇宙が注目されている”今”。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月14日
それとこの冷戦宇宙開発ファンタジーを見比べてみると、個人的には結構色んなモノが見えて、面白い。
それは作品の外側、僕の個人的関心と情勢が擦れあって生まれる火花だけど、そういう思わぬ盤外戦があるから、アニメを見るのは面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月14日
”今”を見る望遠鏡としても、この御伽噺がどうまとまるかは、大変楽しみである。
恋と政治の革命は、果たして為るのか。
楽しみですね。