東京24区を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月13日
お好み焼き屋”いただき”の看板娘まりは、迫るグルメフェスに頭を悩ませていた。
幼馴染のRGBトリオに頼ろうとして、噛み合わない日々を過ごしながら、思い出されるセピア色の記憶。
この街のあらゆる場所に、年下のキミの名残が漂ってる。
そんな感じの異能ジュブナイル日常サスペンス、BPMをしっとり落した変則の第二話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月13日
死者からのメール無し、異能の発現なし。
主役三人からちょっとカメラをズラして、24区の穏やかな日常、そこに漂う微かな火種を追うエピソードとなった。
主役をまりに譲ることで主役たちの群像、今は亡きアスミの存在感、満ち足りていた過去が上手く客観視されて、なかなかいい第二球になったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月13日
第1話が二話分ぶち抜きでアクティブに力強く掴んでくる感じだったので、それとは真逆のスローペースが上手く、24区に宿る感情の機微を伝えてくる。
特別な力と運命に選ばれた少年を、側で見守るヒロインもまた、喪失の痛みから抜けきれずにいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月13日
セピア色に”二年後”と重なる思い出は、子供らしい万能感と喜びに満ち溢れていて、だからこそ痛い。
取り残されたものの成長痛…もう学生じゃないみんなが、笑顔の奥で抱え込んでいるもの。
まりのナイーブな一人称で進む物語は、アスミの死を認識しきれないシュウタだけがそれを共有していない歪さを、上手く浮き彫りにしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月13日
ヒーローごっこに夢中になれて、出来ないことなんて何もなかったあの頃。
燃える学校と友達の死体が、否応なく終わりを教えた黄金の幼年期。
今運命に選ばれて再び英雄となるシュウタ…彼を主役とする物語が、そういう未熟と成熟のアンバランスを主眼とすることを、この第2話は上手く告げてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月13日
生者たちは皆、特別だったあの子に今も囚われている。
それを恨めば良いのか、悼めば良いのか、まりにもよく分からない。
分からないなりに、否応なく伸びた背丈は患部を上手く覆い隠して、大人なフリも出来ている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月13日
商店街の未来を背負って、悪徳ショッピングモールにグルメフェスで勝つ!
そんな前向きで現在進行系のミッションに、夢中になっているフリも出来る。
24区をフラつきながら、思い出と現実を行ったり来たりするまりの現状は、しかしそんな器用さにまとまりきらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月13日
どこかフラフラと危うくて、ふとした拍子に思い出す。
自分を置き去りに、永遠になってしまった女の子。
本当の勇気があったからこそ、死んでしまった女の子。
最初、幼馴染の心を永遠に捉えているアスミに叶わぬ嫉妬を燃やしてんのかなー…とも思ってたが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月13日
まり自身アスミのことが凄く好きで、彼女と一緒なら無敵だと思えて、でも燃え盛る正念場でそんな夢が全部砕けて何も守れなかったことに、強い後悔と苦しさを抱いてると解ってきた。
メチャクチャデカくて複雑な思いを、まりが…登場人物の誰もがアスミに抱いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月13日
今回のエピソードは、そんな現状を看板娘の揺れる心を絵筆にスケッチしていく。
ゾンビめいて元気な高度成長期の幻影と、効率的な半グレ経済活動の間で揺れる、東京であって東京ではない場所。
その空気と、大人であって大人になりきれない、過去に囚われつつ今を生きようとしている青年たちの肖像は、なかなかうまく呼応している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月13日
超常アクションの激しさから少し離れた今回は、作品に宿るそういう湿り気を、しっかり伝えても来る。
まりの人生散歩は、RGBトリオが”今”何をやっているか、かつてどんな仲間だったかを教えもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月13日
アスミが接着剤になることで、どんな夢だって叶えられる無敵のトリオは成立していた。
ヒーローを成り立たせる特別な媒体になれない自分を、思い知らされる一年でもあったろうな、と感じた。
アスミの死で友情も万能感も切開され、やっぱただの人間でしか無い現実を思い知らされて、ランちゃんはアート・アクティビティへ、コウキは治安維持活動へ、それぞれ進みだした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月13日
まりだって家業をどっしり背負って、現実的な夢へ歩を進める。
その象徴が、グルフェス二連覇なのだろう。
あまりにも大きな存在だったからこそ振りちぎれない死者の影に囚われながら、少年たちは大人になっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月13日
死人は蘇らが彫らないんだから、ならざるを得ない。
そのはずなんだが、死人からのメールは特別な力を呼び覚まし、辛い思い出を消すことも出来ない。
そんな宙ぶらりんな状況の中で、アスミの思い出を…いまだ死にきれていない彼女を、RGBと仲間たちはどう扱うのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月13日
やっぱそこに、話の力点があるんだろうなと思わされる第2話であった。
このフラツイた状況を、やっぱシュウタだけが理解してない感じよね。
幼馴染ラブコメ定番のベランダ距離が、シュウタとまりの間ではちょっと変奏されてて、壁と壁が密着した息苦しく暗い距離なのが、なかなか印象的だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月13日
それがぎこちなく危ない距離感だってことに、多分まりは気づいていて、シュウタ(だけ)は気にしていない。
一度ぶっ壊れた夢に囚われて、成熟の歩幅が噛み合わない幼馴染。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月13日
彼を捉えている美しい亡霊は、まりにとっても大きな傷であり、楔である。
これを振りちぎるためには、人が死んでも思い出が燃えても当たり前に続く日常と、そこに潜む不正義に向き合う必要があるのだろう。
ところどころ歪にギシギシ軋みつつも、どこか懐かしき24区商店街の日々。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月13日
まりのホームグラウンドに伸びる区外の商業主義、不正と暴力の香りが次回以降、どういう牙を剥き出してくるか。
そこら辺の足場を整えるエピソードでもあった。
超えるべきトラブルの作り、地味で地道だなー…そこが好きよ。
前回だけだとただのお騒がせ要因にも思えたまりにクローズアップして、主役以外もかなり複雑な感情、それを生み出す過去と現在の位相差を宿してると描いて、キャラとドラマに奥行きを出したのは良かったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月13日
そういう人間がそれぞれ、割り切れないものを抱えて生きる舞台、東京24区。
ここをキャンバスにどんな事件と青春が踊っていくか…次回以降、ちょっとBPMを上げてくる感じかな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月13日
シュウタだけでなく、ランちゃんにも兄貴にも、アスミの存在がぶっ刺さり続けてると見えるのも、まりを主役に第三者視点で一旦落ち着いたからこそだろう。
アスミのチャーミングな存在感と、それが反転した呪いの深さは、作品の大きな軸であろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月13日
アスミが死んでしまった…当事者的には、力足らず殺してしまった罪悪感に満ちた”今”を、どうやったら祝福に満ちた場所に変えうるのか。
RGBトリオに与えられた力は、そういう問いに挑む武器である…はずだ。
このナイーブで落ち着いた第2話から僕が読み取ったものが、ただの思いこみなのか、確かな預言なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月13日
それを確かめたくもなるエピソードで、とても良かったです。
『こういうしっとりした話もやるんだ…』っていう、気持ちのいい裏切りが第2話で来るのは、なかなかありがたい。
次回も楽しみです。
追記 ランちゃんが芸術活動家なので、アートに何がなしうるか、作品がアートの力をどう捉えているかが早い段階で輪郭見えるのは、大事だしありがたいわな。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月13日
サブタイトルにある”グラフティ”はランちゃん率いるDoRedの本領であるけど、まりはスプレー缶を握らない。
個人的で、内向きで、世界を変ええない白黒の思い出。
それは理想に燃え、活動的で、大衆に常に働きかけるアート・アクティビティと対照的…で、根っこが繋がってる。
共にアスミへの感情を処理しきれないから、二人共彼女の肖像画(Graffiti)を抱えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月13日
その現れはキャラそれぞれ変わるけど、同じものが魂の根っこにぶっ刺さってる。
それがよく判るサブタイトルで、なかなかいいな、と思った。
廃校を覆うアートは、アスミを要に一つにまとまり、確かな力を宿す
しかしそれは無力に燃え盛って、バラバラに解けてしまった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月13日
それでも、社会に何かを届けようとするもの。
思い出の中にとどめ、でも忘れないよう携帯端末にメモリーを残すもの。
アスミの肖像画をどんな色で描き、何に留めるかに、キャラの個性が出た回でもあったと思う。