東京24区を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
グルフェス当日、半グレ共の嫌がらせにもめげず、まりとRGBは町内会の期待を背負い、優勝に向けて突き進む。
カバ先生が正義を貫き、万事無事解決! …と思ったその時、死者からの声が届く。
迫りくる大嵐と、命の選択。
少年たちの前に、剥き出しの現実が突きつけられていく。
そんな感じの運命予報はノンビリ後地獄! 前半と後半の温度差で風邪ひきそうな、24区第3話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
三話にしてメインキャラに死人が出るスピード感にビビりつつ、『まぁそういう話なんだな…』という納得を、噛み砕いて咀嚼している最中である。
カバ先…マジでいい人だったのに…。
まぁヒーローの物語である以上、主役以上に”答え”出しちゃいそうな頼りがいある大人ほど、先手を打って退場してもらうもんだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
RGBが持つ超人的能力とガキの危うさが上手く描けていたので、そこを日常サイドから抑えてくれそうなカバ先が大事なキャラになりかけてたここで殺すの、上手いタイミングね
大惨事のトラウマで引きこもってしまった娘を抱えつつ、地域のため生徒のため必死に走り回っていたカバ先生は、子供たちが目指すべき”答え”だったのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
特別な力なんてなくても、降り掛かった不幸に、辛いことだらけの現実に等身大に向き合って、色んな人の幸せを助けれる存在。
”半グレ”を名乗りつつ程よくマヌケで人道的な悪党相手に、ローカルな危機を乗り越えていくご当地感覚。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
それに相応しい人が凄くサックリ死ぬことで、お話のレイヤーが一つ上がった感じもあった。
あからさまに超ろくでもない、”カルネアデス”を名乗る敵も出てきたしね。
お話は下町銭湯気合い入れからスタートする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
男子も女子も、結構容赦なく裸体を描かれる平等さは好きである。
エロスを強調するっていうか、『今そこにある”身体”を覆いなく描きたい!』って見せ方だったのは良かったな。
あの裸身のリアリティで、今後のお話は進んでいくのだろう。
前半は昭和テイスト満載のドタバタが転がって、グルフェスに勝ったの負けたの、嫌がらせがどうので展開していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
話が超常的領域に入るトリガーである『携帯電話の着信』が、この段階で一回フェイクを入れて、当たり前の生活の中差し出される当たり前の手助けを描くきっかけになるのは、面白い演出。
運命を切り拓いていく助けは、死者からだけ来るわけじゃない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
『大人に頼れよ』と言ってくれるカバ先の頼もしさは、超常的な力を手に入れてしまったRGBが足を落ち着けるべき日常の形を、上手く彫り込んでいく。
そしてそれは、無惨に砕かれもする。
日常パートの敵役である半グレ集団の悪事は、なんともノンキで可愛いものである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
”半グレ”と名のつく連中が、全く可愛くない極悪犯罪行為をシビアに積み重ねている現実と照らすと、ちと違和感すらあるヌルさだ。
商店街を中心に広がるホームコメディテイストは、”悪役”も悪にはしきらない。
大嵐がやってきて生きるか死ぬかの状況では、嫌がらせしてきたチンピラもコンテナに匿い、みんなで生きようとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
最後に顔だした”カルネアデス”は、善悪同居する日常的共同体をまるごと捻って、運命の選択を共用してくる存在…で良いんかなぁ?
グルフェスが一つの決着を迎えた所で、死者からの便りが届きヒーローの時間が始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
多数派を生かすか、少数派を守るか。
第1話でも示されていたランとコウキの違いは今回、致命的な形で衝突する。
惨劇の記憶と若さがあいまり、三人は”大人”な話し合い、感情を横において実務に勤しむ姿勢が作れない
お互い何が大事で、どんな行動を取るか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
それを包み隠さず共有できていれば、橋の上での衝突…避難の決定的遅延は無かったはずだ。
既に世界をどう見据えて、そこでどう動くか固定している”大人”な二人の間に、幼く見えるシュウタが入って、話し合いの大事さを説くのが面白い。
カバ先という犠牲を突きつけられたことで、ランとコウキは『選ばなかったことが、犠牲を生んだ』と思いつめていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
しかしバカでガキなシュウタがいうように、問題はコミュニケーションにこそあった…はずだ。
異なる価値観が衝突する前に、妥協点とより善き到達点を探して、共に目指す行為。
『アイツに話は通じない』と諦めてしまう前に、関わる人すべてが満足できる答えはないか、考え探り意見を述べる姿勢。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
凄い力と大人びた考えを持っているように見えるランもコウキも、まだまだ10代の子供である。
自分がすべきと思いこんでいる事が何を取りこぼし、それをどう補うか経験が足りない。
カバ先が『大人を、他人を頼れよ』と告げていたのは、特別な力なんてないただの先生、ただの父親、ただの大人である彼が、幾度も失敗して学んだ人生訓を、教え子に手渡そうとしたからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
そういうものに思い上がりや思い込みを削られて、色んな人を助け、世界をより良く出来る自分になっていく。
そんな当たり前の成長は、運命に選ばれてしまったRGBにも、死んでしまったカバ先生にももう、与えられない…かもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
僕はカバ先生のフツーさが凄く好きなので、当たり前の運命をひっくり返せる特別さが、彼の尊い遺志を遠ざける展開になるなら、少し寂しい。
暴走トラックを受け止め、巨大なトランクを地面に縫い止める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
なまじっか超人的な力がある分、RGBから見える『僕らに出来るはずのこと』は巨大だ。
でもそれは、残酷な世界の全てを覆えるわけではない。
人間だからこその限界点は、スーパーヒーローにも必ず付きまとう。
ここら辺シュウタを縛る鋼のワイヤーと、抱きしめた梢ちゃんの重たさでもって、上手く可視化していたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
シュウタがどんだけゴリラパワーを発揮しても、その手が届く範囲には必ず限りがある。
その上で何を選び、何を求めるのか。
なんにも考えない脳筋のままじゃ、哀しみが増えるだけだ。
でも一つの考えにとらわれて、他の価値観を排斥することも、よりよい未来を遠ざけていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
ランちゃんもコウキも、同じく『より大きな幸せ』を求めて、別の入口からアプローチした。
マイノリティとマジョリティ、一見相反する幸福追求権が、橋の上で衝突しない道はあったはずだ。
だが現状の彼らはお互いの想いを告げず、どんな道を走るかを教え合わない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
この断絶こそが幸福追求の意思を妨げ、望まぬ未来を生むと、死者21人の大惨事は描いている。
朝には紅顔ありて、夕べには白骨となる。
やや急にも見える悲劇の到来は、そんな現実の残酷さを告げてもいる。
アスミと”カルネアデス”、RGBに繋がる二つの存在は、共に超越的未来予知能力を備え、決断を迫る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
しかしアスミの到達は残酷な二択の先にあるもの…甘ちゃんでガキなシュウタが探す、非現実的な解決を三人に求めているように、現状思える。
それに正解したのが第1話で、失敗したのが第3話…
なのかは、RGBが介入しなかった場合の被害がわからないので、なんとも言えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
たとえ犠牲が出ても…それが人生の答えを体で証明してくれるヒーローだったとしても、三人が駆けずり回って誰かを助けようとしたこと、それが命を守った事実は揺るがない。
100点の回答なんてどこにもなくて、それでも…
そんな必死の現状肯定を飲み込むには、RPGは若すぎ、与えられた力は特別過ぎる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
今回の”失敗”が彼らと、彼らを取り巻く人達にどう響くかは、今後の物語の大事な軸になるだろう。
特に梢ちゃんな。
トラウマ抜け出して世界と指切りしようとしたら、親父が死んじゃうってホント可哀想だな…。
人が死んだり、それを止めれれなかったり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
絶対あって欲しくないのに、いくらでもゴロゴロ転がってる悲惨を前に、どんな言葉が紡げるのか。
コミュニケーションの不全が問題を生むと描くこの物語で、カバ先生の死…それを受け取る梢ちゃんに、RGBがどう接してくかはとても気になる。
”カルネアデス”の口ぶりは、何かを選び何かを切り捨てる”現実的”選択が不可避であり、その残酷さに目覚めよ…と言わんばかりだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
その”選別”は常に傲慢であり、人の身に許されるものではない。
誰が生きて誰が死ぬか、誰かが決めなきゃ生きていけない。
そんなことこそ、あっちゃいけないのだ。
しかし現実、そんな風にシビアに何かを選ぶことで政治も経済も、”現実”なるものも機能しているように思える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
何かを選ぶことは、何かを切り捨てる”選別”なのか、二択それ自体を越えていく”選択”なのか。
そこら辺を今後、”カルネアデス”と退治する中で描く話になる…かな?
ノンキなご町内主義とシビアな大惨事が同居する今回は、お話の全体像を一話に濃縮して教えるエピソードだった気もする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
特別な力と問を与えられた主役たちが、必ず勝つわけじゃないこと。
もし間違え負けた時、どんだけの痛みが襲うかも、しっかり突きつけてきた。
この”現実”の重さ苦さを噛み締めた上で、真にヒロイックな生き様をどう描いていくか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
今後、そんなタフな筆さばきが求められていくだろう。まぁヒーローの物語は、常にそれに挑むもんだがね…。
ずっしり重い”死”の存在感と、ノンキなご町内主義をどう結び合わすかも、個人的な注目ポイントだ。
『グルフェス勝つぞ!』と意気込んで、色んな助けを借りて見事に勝利したことは、カバ先の死と同じく確かな事実…のはずだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
そういう小さな闘いを大事にする人だからこそ、カバ先は娘を託して死んじゃった、とも言える。
でも”死”の重たさは、当たり前の日々を踏みにじって良いものに見せかける。
不条理で非日常に思える生死の選択が、当たり前に続いていく日々と実は地続きで、”選択”は平和の中にも、悲しみの果てにも満ちている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
そんな世界の在り方を、特別な運命に選ばれた少年たちが必死に見つけていくお話…かな?
そんな全体像を、個人的にスケッチできるエピソードでした。
物語を受け取る時、人は自分の中のアーカイブや期待から今描かれているものの先を想像し、期待するもんだと思うけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
それは個人的な思い込みに過ぎないので、実際出力されるものとズレたり、重なったりする。
それを手探りしていくタイミングが、僕は結構好きで。
今回は僕的に、そういう話数だった
ここまでの三話で僕なりに掴んだ”東京24区”の輪郭に、今後紡がれていく物語がどんな実相を満たしていくか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月20日
そんな作品との対話も楽しみつつ、傷ついたヒーローたちの今後を見守りたいと思います。
”大人”が思い詰める危うさが表に出ることで、何者でもないシュウタの強みが出てくるのは、面白い運びね