ワッチャプリマジ! を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
一年に一度のお祭、プリマジサンバカーニバル。
今年の女神に選ばれたひなは、去年同じ場所にいたジェニファーと壇上で対峙する。
今年こそ、本気のアタシと戦え。
燃え上がる炎に己を焦がすもの、その熱を眩しく遠く見つめるもの。
雨が、少女たちに冷たく降り注いでいた
そんな感じの激重感情地獄絵図! プリマジのプリは”プリティーシリーズ”のプリ!! な、プリマジ第33話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
いやー…凄かった。
弥生ひなというキャラクターの奥底まで掘り進むキャラエピソードとしても、プリマジの勝負論を根本から揺るがす物語としても、相当なパワーがあった。
ガチな勝ち負けでしかプリマジを捉えられないひなの限界点が、圧倒的勝者でありながら勝ち負けでプリマジを見れないジェニファーとすれ違い、プリズム歩道橋で雨に晒されながら、激しく燃え上がる今回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
前回己を見つけ直した、あまねの仕事が実はデカい。
ダイレクトなマインドダイブでキャラを掘り下げ、自分の弱さも夢も見つめ直した結果、あまねはもうここにはいない翠子に縛られるのを止め、初めて他人の顔を、自分だけのプリマジを見据えるようになった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
どれだけ揺るがされても譲れない、ステージへの渇き。
それを満たしてくれる、自分ではない誰か
前回かなりの剛腕でここに風穴をぶち開けた結果、”頼れる先輩”というペルソナを引っ剥がして、ジェニファーという太陽に焦がれ、真っ直ぐ見つめられていない(と思いこんでしまった)ひなの弱さを、抱きしめ追いすがる立ち位置をしっかり背負うことが出来た。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
翠子の人形として、借り物の情熱でプリマジに向き合っていた時のあまねでは、”頼れる先輩”が隠している苦しみに気づいたり、一度跳ね除けられてなおその腕を掴んだりするのは、難しかったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
自分がどうでもいいから、他人もどうでもいい。
そういう自暴自棄が、己を探る水の旅で枯れた。
自分は移ろいやすくて湿り気十分、クッソ面倒くさくてあやふやな存在なのだと、正しく見据えた結果、そんな自分に足りないものをひなが持っていて、唯一絶対のデュオとしてその苦しみを助けたいのだという、自分の願いにも素直になれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
泥臭く追いすがり、支え、求める。
与えられた答えに満足し、借り物の自分しか見えなかったからこそ、王子様というペルソナが剥がせなかったあまねが、けして選ばなかっただろう熱い執着。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
それをひなに押し付け、勝手にその辛さを背負いに行ったのは、あまねにとってのひなが、一つの太陽だからではないか。
水のように頼りないからこそ、中天に眩く輝き動かないひなの熱さに、惹かれていた自分に気づく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
前回ガリッゴリに”皇あまね”を掘り下げたからこそ、ひなに対して熱量高く絡み、助けようとする前のめりな姿勢を、上手く導けた。
そんな気がする。
そしてこの土台に、素顔の弥生ひなが乗っかっていく。
第1クールでは勝負の厳しさ、楽しさ、熱さをまつりに伝え、限界を超えて己を追い込むストイシズムで、高みを目指す姿勢を教えていたひな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
彼女の”マジ”は基本肯定的に描かれてきたわけだが、今回ジェニファーに追いつこうとして焼かれる姿を執拗に彫り込むことで、この価値観が反転する。
甘く垂れた眦を、派手目なメイクで強引に持ち上げているジェニファーの”マジ”は、勝敗にはない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
ただ歌うことが楽しく、リューメと一緒なら何処にでもいけると思えた。
飼った負けたはあくまで結果でしかなく、背中を追うべき相手も誰もいない。
大好きな人と本気で遊んでいたら、気づけば空にいた。
それがジェニファーの”マジ”であり、そういう柔らかな姿勢なまま、彗星のように全てを置き去りに駆け抜けてしまえる才能が、彼女にはあったわけだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
敗者の涙も、背中を追う熱い視線も、ジェニファーの世界にはなかなか届かない。
気づけば、そういう重さがまとわりつく場所に、一人で立ってはいるけど
橙真に『私も迷子』と正しく告げたように、頂点は彼女の望んだ場所でも、たどり着くべき答えでもない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
しかし、弥生ひなにとってはそこしか答えはないのだ。
勝つ、負ける、マジでやる。
この張り詰めた価値観で己を追い込んできた彼女に、”楽しさ”はない。
この危うさは第8話で、既に顔を出している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
まだプリマジスタとして甘さが残るまつりを鍛えつつ、頼もしさの中に楽しさがなかった生き様が、今回遂に壊れる…とも言える。
勝負の圧力で強く張ってきた糸が、本気だからこそ投げかけた問いを叩き落されて、プツンと切れる。
『ライバルじゃない』では終わらず『だって私には、プリマジは競争じゃないから』というジェニファーの言葉までちゃんと切り取っているのが、なかなかフェアである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
世界が白黒に染まるほどのショックを受けたひなは聞いていないが、それは断絶ではなく差異の表明だ。
目指す星が、そもそも違うのだ
しかしジェニファーに追い抜かれ、焦がれ、負けてなお置い続けてきたひなには、勝ち負け以外の価値観軸がない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
『ライバルではないけど、同じ夢を追う友達だと思っている』という、ジェニファー本来の柔らかな想いを、受け取る素地はない。
それくらい自分を追い込まないと、戦えなかったとも言える
”頼れる先輩”も当然一人の人間であり、完璧ではないからこそ完璧を目指して、色んなモノを置き去りに走ってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
そこには愚かさと尊さが同居していて、あまねがひなに惹かれるのも、ファンが魅力と見出しているものも、それが入り混じった弥生ひなの生き様、全部を求めてのことである。
しかしひな自身が勝敗以外の価値を見つけられないので、『ライバルではない=勝つ可能性がある存在として見られていない』と狭く断じてしまって、ジェニファーだけを追ってきた自分を無価値と感じてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
ここに、弥生ひなの”マジ”の(現状の)限界点がある。
既に己の探究を終えたあまねが、『本当に、ジェニファーに勝つことだけが望みですか?』と、正しく問うているように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
勝ち負けの果てにある何かを、ひなは求めていたはずだ。
しかし勝てる自分、完璧な自分を目指し己を追い込むほどに、真実の自分は見えなくなる。
この苦しさにあまねが一番深く、最初に、強く共鳴して手を伸ばすのは、お商売の都合でデュオに選ばれたから…では当然ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
あまね自身が、翠子に造られた人形として自分を持たず、価値観軸の破綻に既に苦しみ、その果てに自分を見つけ直した、”頼れる先輩”だからだ。
かつてあまねはひなに宿る、輝きの中の苦しさを自分に惹き寄せ、好感を抱いていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
それは身勝手な自己投影であったが、同時に普遍的な痛みに共感し、解ってもらうこと/解ろうとすることで己が救われようとする、不器用なもがきでもあったと思う。
そのエゴが、己の弱さと夢を見つめる旅を経て…
支えを失って倒れる誰かに手を伸ばす、靭やかな優しさに変わった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
それが今回、あまねとひなの間で起きていることであり、前回かなり強引な展開をねじ込んででも、あまねというキャラクターをスクラップ&リビルドした意味なんだと思う。
ピントのズレた信念、虚像でしかないまばゆさ。
それが正しくないと知りつつ、でもそこにしがみつくしかない不可思議な引力。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
年長者として、プリマジの光と影両方を知る二人は、全く違う人格と夢、生き方を持ちつつ、人間の根っこが通じ合っている。
だからこそ、二人はデュオなのだ。
一期では選ばれた者の証明だったはずの炎のエレメントは、その残酷な熱量をむき出しにして、太陽に焦がれるイカロスを地面に叩き落とした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
ちょうど前回、優しいウンディーネ先生が心の水底で、あまねが窒息死する危険性を承知で、自己探究の旅に叩き落としたのと同じである。
魔術という意味でも、本気という意味でも、マジはただ熱く正しいだけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
それは怖くて、危険で、容赦なく魂を苛みもする。
諸刃の刃としての”マジ”の怖さは、例えば第13話とかで既に描かれている。
本気で挑めばこそ、負ければ悲しい。
二度と立ち上がれないほど、打ちのめされる。
あそこで折れかけたまつりを引っ張り上げたのが何だったのかを思い出せば、次回以降ひなが土砂降りの雨から立ち上がり、天に虹をもたらすのに必要なものも見えてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
私と違う、大事な貴方。
そこに反射する新しい自分を見つめることが、いつでも道を示すのだ。
こういうところに”弥生ひな”(と、介添人としての皇あまね)を引っ張り上げるためには、その生き様の歪な部分を徹底的に暴いて切開し、魂の赤い血潮が吹き出るくらい追い込まないといけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
なので、今回の苛烈な展開は物語的必然といえるだろう。
追い込まなきゃ、化学変化は起きないんだよッ!
燃える熱血、頼れる先輩、いつでも全力弥生ひな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
そんなギャルと良い食い合わせの、王子様系女子。
前回・今回・次回の三部作は、そういう記号論で収まりかけていた”ひなあま”を、一回完全更地になるまでぶっ壊して、真実の絆を取り出しにかかる大仕掛け…とも言えるか。
そんだけ話数使ってぶっ叩かないと、キャラを覆った魅力的な記号は引っ剥がせないし、そうしなければ魂の地金は見えてこないという”読み”があって、こういう展開選んだのかなぁ…と思ったりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
コミカルな記号を大味に使いつつ、そこを越えた魅力を引き出すためには、泥臭い物語闘争に本気で挑む。
そういう気合と力を感じられる展開となって、大変に良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
ひなの苦悩と執着を鏡にすることで、ジェニファーの夢と弱さも見えてくるのが、また良い運びだなぁ、と感じる。
派手で大人びたメイクが、最早痛々しいんだよなぁジェニファーちゃん…。
歌いたい、好きな人に会いたい。
願ってるのはマジそんだけなのに、勝って勝って勝ち続けてしまった結果、その全てを失った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
ひなが勝てないこと、勝負の土俵にしか乗せてもらえないことで絶望するのと、綺麗に真逆の苦しみであり、二つの太陽がすれ違いつつお互いを燃やすのは、まぁ必然だよな~って感じ。
キてんなーひなジェニ…
こんな感じで話のメインシャフトは重たく強くぶっとい訳だが、枝葉の部分も超凄くて、全く見逃せない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
あうるちゃんの子育て奮戦記とか、絶対王者の苦しみに感じ入る新人プリマジスタ・伊吹橙真とか、その暑苦しいマジ論に本音を晒す祈瑠とか、王者たちの眩き闇から目をそらすみるきとか…
予測を超えてくる精霊ベイビーにぶつくさ言いつつ、満更でもなさそうなあうるちゃんは既に阿智彦越えてる感じ満載で、大変良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
精霊は気まぐれながら、強い魂を持つ存在に今必要なものを与える。
身を焦がすフェニックスの炎も、ひなが灰から蘇るために必要なのだろう。
ひなとジェニファーの”マジ”を真正面から受け止めて、その価値を正しく飲み込める橙真と、ひなより早く自分だけの”マジ”を打ち砕かれた経験故に、それを認めるわけに行かない祈瑠の交錯も、また良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
ようやく、眼鏡の奥が見えてきたじゃねぇかよ祈瑠くんよぉ…。
祈瑠くんの『僕はお前が嫌いだ』はつまり『好きだ』ってことで、こういう形でしか思いを形にできない御芽河のネジレは、悲しくも業に満ちて人間らしいなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
このまま放っておくと巨大化して大暴れしそうな”匂い”があるので、どっかで誰かが彼のマジを受け止め、マジで返す話が来なきゃ”嘘”よ
そしてひなきはなぜ、ジェニファーのステージも、ひなとの対話も見ようとしなかったのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
勝てる勝負を選んで挑む、凡人ゆえの勝ち方が何処から来るのか。
かわいいモンスターの仮面は分厚くて、なかなか本音が見えない。
見せないなけなしのプライドが、またチャーミングでもある。
王者たちの勝利も敗北も見たくはない、太陽の熱から目を背ける翼なき凡才。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
ここに踏み込むと、まーた今回クラスの激重爆弾をぶん回す必要が出てくるので、今回はそのための種まきであえて止めた…って感じかなぁ。
完全にメンタルが湘北戦後の藤真なんだよなぁ…(なんでもかんでもスラダンおじさん)
見たくないけど、無視はできない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
みるきの思わせぶりな態度の奥に踏み込むのは、そらーデュオ相手の仕事になるとは思うが、ひな&あまねに負けず劣らず溜め込んだカルマがデカそうな二人なので、決戦は少し先になるかな。
まぁ、全てが更地にはなるでしょうよ。
おお、炸裂よ(エクスプロード)!
そこら辺は先の話として、今の焦点はプリズム豪雨に差し出されたプリズム雨傘から逃げて、プリズム嫌倒れをキメた”弥生ひな”である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
散々無敵の体育会系として背筋伸ばしてきた彼女が、あの瞬間めっちゃ女の子座りでぶっ倒れるの、『あ、ヤバいんだな…』って説得力あって良かった。もう鎧がないッ!
それはつまり、魂を縛る鎖もまたない…ということだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
あるがままの己を見据え、弱さも未熟も不安も噛み締めた末に、掴める強さと優しさ。
その片鱗は、前回の旅を経て他人に興味を持ち出した、あまねの在り方からしっかり見えてきている。
負けを認めることから、始まる道もあるのだ。
それを己の存在と吠え声で、相棒に伝えられるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
己に焦がれる女の叫びに、燃え尽きた魂の灰から再び、飛び立つことが出来るのか。
見栄えの良い仮面も、受けの良い記号も素っ裸に剥かれた、”頼れる先輩”達の正念場である。
やっぱねぇ…こういう局面が来ると、最高にビリビリ震えるよ…。
まつりの師匠として、”強さ”を土台においてきたひなが、ベッコベコに魂叩かれて見せた”弱さ”。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
それに話数使って本腰で挑むってのは、キャラを特定の役割や記号に押し込めず、弱さも迷いも飲み込んで生きていく”人間”として扱う、一つの覚悟じゃないですか。
俺はね、そういうのが好きなんよ。
次回、自分を支えてきたすべてを失った”弥生ひな”が何を支えに立ち上がり、新たな己として何を見出すか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
相当な炸裂が待ち構える予感に、今から震えています。
あうるの物語をかなりの速度でぶん回したのは、なるほどこのためか。
そんな納得もありつつ、次回を心待ちにしている。
かかってこいッ!
追記 『様々な象徴がどんな事を意味し、それが交わり合う時に何が生まれるうるか』という、凄く魔術論の本道を行く描写が元気で、そういう側面からもめっちゃ興奮できる。
しかし前回あまねが”水”の女だと書いた上で、ズタボロにされたひながこらえる涙を豪雨と降らし、そこに差し出す優しさの傘…と運んでいくの、話数またいだ象徴の使い方が巧すぎてイカす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
ぶっ壊されて初めて、”弥生ひな”は”皇あまね”の領域…雨の世界を、自分の一部と踏み込むことが出来るわけよ。
そこはじっとりとした湿度と、答えのない揺らぎに満ちた面倒くさい場所で、サバサバした勝負師の表情の奥で、ひなもまた”水”を蓄えていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月6日
これに溺れようとしたところで、既に一度溺れかけ戻ってきた女が、跳ね除けられても諦めず手を伸ばす。
マジであまねが剥けてきて、今最高に良い。