リコリス・リコイルを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月9日
千束とたきなに持ち込まれた新たな仕事は、ハッカー”ウォールナット”の護衛。
硝煙が薫る日常の中で、不殺の誓いに縛られる超人が、短絡な殺傷傾向に待ったをかける。
怪物の牙を縛るのは、一体何か…というお話。
リコリコが引き受ける典型的なビズを、小気味よく魅せる回
服飾や小物、建築デザインなどから形成されていくスタイリッシュな雰囲気。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月9日
それを生かしたやや早口で小気味いい展開スピード。
銃撃戦だけでなく、格闘戦やカーアクションも含めた活劇の面白さと、殺気立った雰囲気を奇妙にヤスリがけしていく緩やかな可愛げ。
第1話で見せた魅力は、更に元気だ。
例えばリコリスがどう銃器を隠しているか、ギミックを描写するシーンに事件への導入を重ねて、会話で画面が止まらぬよう工夫している所とか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月9日
現場に向かう車中で、千束とたきなが何をどう食べているかで、それぞれのキャラクターを彫り込み届けようとしてる所とか。
青春と銃撃戦が入り混じった、リコリスの奇妙な日常をノンストップで流しつつ、情報の圧縮率と伝達精度がかなり良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月9日
前回は歩いて息する銃座であるたきなの欠落が主にフォーカスされていたが、今回は無敵に思える千束の実際無敵っぷりと、それが取りこぼすものがしっかり見えた。
至近距離でライフルの一斉射を受けても、その全てを見切って避けきる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月9日
千束は飄々とした態度と弾むような人間性に、規格外の実力を秘めた奇妙な獣だ。
何が根幹にあるかは軽薄な仮面に隠れて見えないが、とにかく殺すのも死ぬのも嫌いで、殺人を許可されているリコリスらしくは生きれない。
殺人というドラスティックな解決手段を、一切ためらわないDAを追い出されてなお、戸籍なき人殺しであるリコリスの生き方を帰れないたきな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月9日
一方”先生”に見守られて(おそらく)十年、平和と欺瞞に満ちた東京の当たり前に馴染んだ千束には、不殺ゆえに掴めるものと取りこぼすものがある。
銃を握って殺しを仕事にする連中が、そうそう簡単に爪を折らない現実の中で、千束は敵を手当し、味方に隙を作る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月9日
無敵の超人に思える彼女の鎧にも隙間があって、そこを埋めるのがたきなの機械敵非情であり、リコリコの大人たち…という書き方はとても良かった。
チームモノとして、グッと奥行きが出た
殺るの殺られるのドンパチ全体が実はフェイクで、その過程で”ウォールナット”の死を偽装し、くるみを活かすのが作戦。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月9日
こういう腹芸を自在にこなすほどには、千束も優秀ではない。
だからこそ先生やミズキが導き、守らなければいけない。
怪物的な戦闘センスを持ってても、守れないものがある。
その一つが”裏切り”であろう予感は、最後のゴム鉄砲で上手く示されていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月9日
たきなを身内と信頼し、ベタベタウザくまとわりつく千束の、超感覚の隙間に嘘と裏切りは、容易に滑り込んでくる。
公権も私悪も殺傷をためらわない東京で、それでも人を殺さない道を願う純粋は、○か✕か。
常連客の裏の顔、大人の冷徹なビジネスに気づけない子供たちを待ち構えている道は、ポップな見た目より遥かに重そうである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月9日
一見食べやすいライトさ、スタイリッシュな気持ちよさにまとめられているようで、随所に泥臭い不条理と、ロクでもない理不尽が匂う。
このバランス感覚は、制服美少女に鉄砲握らせて殺すの殺さないのさせるジャンルの中で、重要なれど稀有だと感じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月9日
『明るく楽しく超人無双だぜー!』って、誤ったイメージを抱かぬよう早い段階で、無敵の千束様が出来ないこと、作品のリアリティラインを示したのは良かった。
新たにリコリコに加わったくるみちゃんが、どんな価値観と能力で仕事と日常に食い込み、チームとして友人として疑似家族としての絆を作っていくか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月9日
そうしてキラキラ輝くものが、どんだけ残酷に地面に突き落とされるか。
そういう所も楽しみである。
色んなやつがいて、色んなことが起こるから面白い
まさに”The more the merrier”…多多ますます弁ず、である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月9日
そんな風に楽しさを積み上げていけるのも、お互い生きていればこそ。
しかしリコリスに許され求められるのは、殺して黙らせる最もシンプルで、先がない解決法である。
残酷な花畑から抜け落ちた少女たちは、今後どんな道を歩むのか?
どう転がっていくにしても、キャラの立ち方が大変いい感じなので、面白くなりそうなのは面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月9日
アップテンポに転がっていくダイアログ、そこから滲んでくる日常的な仕草と、非日常的な状況対処能力から、『この子はこういう子』つうのがガンガン見えるのは、優れた筆の証左だろう。
そもそもこの世界の東京がなーんでこんな終わりきった暴力主義社会になって、戸籍なき少女暗殺者が闊歩してんのかとか、ちゃんと世界観の根っこが気になるように、『はぐれリコリスのありふれた一日』を描きつつ、細かく擦ってるしね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月9日
そこはそのうち、ちゃんとした説明がある作品だと思うよ。
殺しは当たり前だわ、戸籍ないから外国行けないわ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月9日
銃撃戦もひっくるめ、明るく青春を謳歌しているようで、リコリスホントロクでもないからな、現状描かれてるだけでも。
そういう存在がなんで生まれてしまって、どうして存在できているか。
それが語られる時を、楽しく待っている。
OPやEDで見れる私服のバリエーションとクオリティ、なんてことない日常描写の気持ちよさ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月9日
年相応の人間として少女を描こうとする努力が形をなすほど、それが鉄砲握っている歪さも際立つ。
そんな歪みの中で、殺さず殺されない”当たり前”を貫こうとしてる、千束のシリアスな表情も。
自分の不殺主義が”ウォールナット”を殺した時、千束の軽薄な無敵っぷりがベリッと剥がれてたのが、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月9日
こういう早い段階で、ああいうキャラの地金を剥き出しに教えてくれるのは、主役と作品に体重を預けれてありがたい。
神様から与えられた特別な才能にあぐらをかいて、理不尽を踏み潰す
そういうキャラでもお話でもないと、教えてくれる第2話だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月9日
たきなの乾いた殺傷主義が、この東京だと一つのスタイルとして間違ってはいない(そして、正しくもない)ないと描いて、凸凹バディのバランスを取ったのも良い。
お互い生き様の隙間を補い、足りない部分を埋めあって、見えてくる未来。
それは少女二人だけでなく、リコリコという欺瞞に満ちた日常の器と、奇妙な縁でつながった仲間がいてくれるから、たどり着ける場所だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月9日
バディそれぞれの凸凹を噛み合わせるので終わらず、チームとしての在り方をしっかり描けたのが、今回とても良かった。
これが、このお話の基本形…か。
ロボ太や吉松など、敵対存在ながら憎めない魅力を持った連中がいい味出してたのも、再登場に期待できる要素。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月9日
色んな面白さ、奥深さを軽妙に奏でつつ、大変いい感じに次回、第三話である。
役者が顔見世し舞台が整い、エンジン本格始動の頃合い…来週がとても楽しみですね!
追記 俺は硬い殻(あるいは軽薄な仮面)の奥で震えてる魂が、その欠落故に自分と真逆な誰かを無心で求め、反発しつつも突き刺し突き刺されて変質していく様子を見守るのが、いっちゃん好きなの。
あ、腰だめで機関銃乱射して問答無用にぶっ殺してた前回に比べ、たきななり殺さない方法を考え、狙って撃ってる様子が見て取れたの、大変良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月9日
ゴツゴツ生き様をぶつけ合いつつも、どんどん千束様色に染まってきちゃってんじゃん、黒髪のサイボーグ…。
でもたきなの銃弾は、千束がケアしてなきゃ敵を出血死させてたわけで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月9日
生き方は、急には変わらない。
それでもなお変わらなければいけない理由は、この腐った東京の何処にあるのか。
女と女が互いの色に染まっていく様子に、そういう問がしっかりあるのが。俺は好きだよ。
ここで倫理的にも実力的にも優越してるように見える千束が、思いの外脆くて間違いもすると書いたことで、フェアにお互いの生き方を受け取り合う関係なんだと分かったのも、今回良かったな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月9日
裏稼業活劇の軽快な筆を止めないまま、しっとりした人間関係にも目配せできてる。
かなり強いな、このアニメ…