イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

うる星やつら:第4話『口づけと共に契らん!!』感想

 妖怪から宇宙人まで、異常設定のバーゲンセールを平然と殴り飛ばして生まれるハイテンション・ラブコメ、またまた新キャラ登場な第4話である。
 ここまで三話、2エピソードに分割しスピーディーに進めてきたわけだが、今回はクラマ姫との騒動にどっしり時間を使う形式。
 あたるより面堂にフォーカスして、彼のシャイで可愛く誠実な部分を濃く描こうとする筆が、なかなかに良かった。
 マモ声もいい仕事して、22面堂は凄く可愛く見える……。
 イケメン顔が程よく崩れる生真面目美青年をそう感じるのは……俺が年取ったんだろうな!

画像は”うる星やつら”第4話から引用

 キリッとしてても可愛いし、それを維持しきれない破天荒でギャグやってる時も可愛いし、話を転がすトラブルメーカーってだけでなく、単品で魅力的なキャラになっていると思う。
 そういう側面をしっかり彫り込むべく、あたるより面堂に体重預けた話にまとめたのかな?

 

画像は”うる星やつら”第4話から引用

 ていうかなかなか凸凹が噛み合わない(そのことでラブコメの”追いかけっこ”が成立してる)異性相手より、時にいがみ合いしかし波長はぴったしな男衆二人のほうが、イチャイチャ感強いまである。
 避暑地でダブルスに勤しみ、”契り”を賭けた奇妙なレースで肩を並べ、バチバチしつつも憎しみはない距離感は、前回初登場とは思えぬほどまとまりが良い。
 まぁこの感想は、既に原作に馴染みがあって二人が好きだっていう、僕の個人的なフィルターも大きく影響していると思うけど。
 現状あたる-らむ間でしみじみ感じ入るような”イイハナシ”が薄いので、ワイワイ騒がしく対立しつつも楽しそうな男二人の腐れ縁が、余計魅力的に見えるのはあるかも。
 曲りなりとも自分を慕ってる男が、他の女と公衆の面前で契るのに抵抗ない……どころか、保護面つけて即席ラブホ建造するあたり、やっぱ宇宙人の倫理は地球人類の想像超えてるよ……。
 こうして二人目の宇宙人が来襲してみると、ぶっ飛んだ価値観の異文化と体当たりで交流していく、異文化コミュニケーションコメディとしての側面が強いのも判るね。


 お話としては散々因習に振り回された挙げ句、暴かれた下らなさをでけー石でぶっ壊して少女が未来に進んでいく……という展開。
 物語を賑わすお騒がせライバル! って顔で登場したのに、一話と持たず異常宇宙人の被害者になってる面堂の可愛さも際立つ。
 ダイレクトに”契り”を扱うので、各キャラクターの性意識がどこらへんにあるのか明瞭になるのは、なかなか面白い。
 つーか後のラブコメに比べて、恋からセックスへの直通高速道路がガバっと開いてるの、今見るとかなり特異だな……。
 この明け透けでパワフルな感じは、セックスを一つのゴールとして特別視することで成り立ってるシャイな歪さより好みの味付けである。
 こういう規格外の倫理をスルッと飲み込ませるべく、宇宙人という異物を活用してる感じもするか。

 あたるは後腐れのない一夜の関係を求め、愛と性を切り離して考えられる……というか、性愛が自分を縛る鎖にはなってほしくないタイプ。
 LOVEを育めるチャンスには迷わずダイブをキメ、壁にぶち当たろうが電撃くらおうがめげないしょげない諦めない。
 何かと束縛したがるラムとは、そらー相性良くない。

 一方面堂は全女性に”礼儀”としてアプローチはかけるけど、”契り”にはムードが必要で、理性を手放せないタイプ。
 あたるの野獣めいた積極性も、とにかくダイレクトに触れ合いを求めるがっつきもないので女子ウケは良いが、彼のアプローチって『自分を求めてくれる相手を、無下にしない貴種としての礼節』なんだよな……。
 急に超兵器出したり空中豪邸に住んでたり、そういう漫画っぽい金持ち力とは別のところで、妙に毛並みが良いのが面白い。
 あたるのダイブが何があろうが譲れないパッションから湧き上がるのに対し、面堂はあくまで理性的に恋と性相手にダンスするので、粘りと勢いが足りないというか……。
 『どスケベしたい根っこは同じ』と描かれた回なのに、思いの外二人の違いが結構しっかり描かれていたのは、ちょっと面白いな。

 

 あと天狗って霊的超常存在を、宇宙人っていう科学的超常存在と混ぜ合わせ、鞍馬山の天狗伝説と絡めてオリジナルな味わいを出してくる伝奇の味付けも、結構好きだ。
 第2話で示されたオカルト要素が、第1話で日常をぶっ壊したコズミックな味わいと混じって、うる星独特のフレイバーを生み出した……とも言えるか。
 面堂の度を越した金持ちっぷりも含めて、色んな次元のトンチキが友引町っていう特異点に集まってきて、カオスに入り混じりながら一つの形をなしていくのは、見てて面白いダイナミズムだ。
 ぶっちゃけ、メチャクチャBBTっぽい(TRPG野郎特有の当てはめ行動)

 どんな出自だろうと、メチャクチャな力を持っていようと、特異点たる友引町に引き寄せられればそれはギャグの種となり、ワイワイ賑やかな日常の一コマに収まってしまう。
 何でもありだからこそ何も区別せず、対等にパワフルな(パワフル過ぎる)ツッコミを物理的に行使しあって、不思議な手触りで作られていく腐れ縁。
 そこには独自の活力があって、風通し良く面白いものだというのを、これまでよりややBPMとテンションを落として魅せる回となりました。
 ……そういう対等にツッコみ合う関係の中で、ラムだけが文字通り空中浮遊して一方的に電撃打ってるの、結構面白い立ち位置だな。
 ダーリンの浮気性が既に彼女に対するアタックと言えるのか、新キャラ投入で立ち位置が変わるのか、そこら辺は今後どう描くか楽しみな部分でもある。

 なにしろ紐解くべき物語が莫大なので、駆け足になる場面は多々あるし、その勢いがお話の持ち味でもあるのだが、こうして腰を落ち着けて(と形容するには、やり放題の血管ブチギレテンションだけどさ)展開するお話も、キャラの魅力をどっしり味わえて良い感じです。
 2×2クールの長きにわたって付き合っていくわけで、色んな語り口で楽しさを生み出してくれるとわかるのは、作り手と物語への信頼に繋がるしね。

 そういう意味では、名作エピソード”君まてども…”をどういう筆で描くかは、凄く大事だと思う。
 ここまで超絶テンションで走ってきた物語が、ペースを落とししっとりした語り口を選んで、どれだけやれるものか……。
 次回も楽しみですね。