イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

宇崎ちゃんは遊びたいω:第13話『来年も一緒に遊びたい!』感想

 ウザい後輩と心地よいぬるま湯の中モラトリアムを堪能するお話もついに最終回、告白成るや成らざるや……成りませんでしたッ! という、宇崎二期最終回。

 いやー……すげーぶっちゃけた話をすると、しっかりケリ付けてアニメを終えて欲しかった。三度目の奇跡があると、決まった話でもないし。
 二期は色んなキャラを追加して宇崎と先輩の世界を広げたり、友達以上恋人未満、決断も責任も考えなくて良い心地よい足踏みを永遠には続けられない実態に眼を向けさせたり、より持続可能で前向きな関係性に二人が進み出せるよう、色んなおせっかいをお話が積んでいく話だったと思う。
 なのでその気働きに分かりやすい結実が欲しくて、”告白”という一区切りがアニメの範囲内でしっかりくると収まりいいな、と思っていた。
 しかし結末は持ち越し、来年も宇崎と先輩の煮え切らない、心地よい時間は続いていく……というエンディングになった。
 それはそれで良い。あの二人の間合いと人品、結構好きだしね。

 どうしてこういう結末を選んだかは、企画が動き出しシリーズ構成を固めたタイミングで原作がどこまで進んでいたかとか、どういうお話を視聴者に提示してどういう体験をしてもらいたいかの、製作者サイドの判断とか、お出汁されたアニメ見てるだけの立場からはなかなか見えにくいものが複雑に絡んで、シンプルに断言できるものでもないと思う。
 だから”なぜ”を問うのはこんぐらいで止めて、出てきたものへの感覚を書いているわけだが……まー、アニメで見届けたかったよね、先輩の決断と周囲の尽力の結末を。
 おれは一期の宇崎と先輩(それを遠巻きに観察する周辺)で完結している展開も好きだったけど、二期で色々後押しして何らかの結論へ、煮え切らない二人を押し出していくお話も風通し良くて好きで。
 榊や桜井父が指摘する耳の痛い話は、一個一個ご尤もで、当人の納得を横に置いて時間的リミットとか、社会的責任とか、実際引き受けるべき”大学生”の恋愛として、そこに主役の目が向いていく展開は好きだった。
 そんなふうに指摘されたことに先輩が背筋を正して、ままならない自分を縛ってる厄介な思い出を引きちぎって、宇崎と二人新しくて善い場所へと進みだしてくれると嬉しいなと、ずっと思っていた。
 そこに行けそうな足場がしっかり組まれていた分、言い出せないまま終わるのも、言い出さないことを選ぶ先輩を最後に描いたのも、自分勝手な感覚だとどうにもスッキリしない感じがあって、なんとはなしに残念であった。

 原作では恋人関係になって、それ以降もニヤニヤ可愛らしい関係を維持していると話に聴いたが、一つの大きな区切りをつけると作品の風向きも大きく変わってるだろうし、なかなか難しい話なんだと思う。
 踏み出そうと思っては引き返し、しかしずっと続くはずもない心地よさに溺れるのも嫌で、また前に出ていく。
 そんな身悶えには独自の面白さと生っぽさ、それを愛しく見守る優しさがあって、やっぱり好きだ。
 同時に作品自身が『それは永遠に続かない』と二期で語りかけてきた以上、続かないものを続けていくために何らか、必要な対処を作中で描いて欲しかったつうのは、何度も言ってることではある。

 まー色んな人の忠告を真摯に受け取って、あとは自分の心が整いさえすれば……ていう状況ではあるので、そのうちいいタイミングでスパッと切り出して、新しくて善い関係に踏み出していくのだろう。
 そう信じられる展開を二期で積み上げてきてこう終わるのは、結構良いなと思う。
 『余白と余韻のある終わり方』とも言えるし、『決着から逃げた』とも言える終わり方ではあるけど、見終わった自分としては前者よりかな。
 そう思わせてくれる、楽しいアニメでした。
 お疲れ様、ありがとう!