イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

D4DJ All Mix:第6話『ハクチュウム』感想

 様々なユニットが個性を弾けさせる、一年かけてのHappy Music!
 六月の担当は一期主役のHappy Around! ……なんだけども、相当にぶっ飛ばした”トワイライトゾーン”な味わいのお話で、真っ直ぐなDJ青春物語を良い速度でかっ飛ばしたユニットだからこそ、魔球をストライクゾーンに入れるエピソードだった。
 英語版音声も担当されていた各務華梨さんだからこそ可能な、ハチャメチャ不思議な事件を、いつでも仲良しみんなで頑張るハピアラ物語と絡め、イイハナシで終わる……と思わせておいて、狂気と現実の境目をあやふやにして終わっていく。
 ある意味投げっぱなしの夢オチなんだけども、『まーハピアラならアリ……か!?』と納得できるぎりぎりのラインに突っ込んでて、個人的にはかなり好きな歯ざわりだった。
 俺はハピアラがなんかトンチキなことしてるのが好きなんだ……臭いものしりとりとか。

 

 

 

画像は”D4DJ All Mix”第6話より引用

 というわけで陰鬱で不気味なスタートから、謎めいて理不尽な言語障害が青春をかき回し、一体全体どうなっちゃうの!
 繰り返される天気雨が、白昼夢の描写と上手く噛み合って、何が本当なのかさっぱり分かんなくなる心地よい酩酊を生んでいた。
 ハピアラの気質からしてガッツリ超常ホラーてのも難しい中で、彼女たちらしいポップでラブリーな放課後をスケッチしつつ、どこか腰の落ち着けどころがない浮遊感、梅雨らしい湿った異質性が上手く切り取られていく。

 何しろ一期12話楽しく付き合ってきたメンバーなので、ハピアラが顔を出すと無条件に嬉しい気分になるし、ハッピーでスタンダードな青春を見せてほしくもなる。
 極めて奇妙な現象に巻き込まれつつも、ここら辺のニーズを切り捨てることなく適度にほんわかおバカ、ハピアラらしいテンポとリズムで話が転がっていく。
 相当トンチキなことやってるんだけども、『ハピアラらしいなぁ……』と微笑めるやり取りが多めで、ちゃんと個別回として良い手触りだったのはありがたい。
 どんな奇妙な状況になっても、四人は頑是無くただただ仲良しで、一緒にいると底抜けに楽しくてお互いが大事。
 このピュアな律動がしっかりあってくれることが、かなり強い力でぐらんぐらん”現実”なるものを揺らしてくる酩酊感を、楽しく食わせてもくれる。

 

 

画像は”D4DJ All Mix”第6話より引用

 でも全力で格ゲーしろとは俺も言ってないよ!
 意味わかんねーな、ここの無茶苦茶気合の入ったドット絵……アニメパートだと道着だったのに、格闘入ったとたんデフォ衣装になる所とかも……。
 このナンセンスな力こぶは大変好物で、こういう奇っ怪な暴投がスポッと良い所に収まっちゃうのも、1クール描写を積んだハピアラの強み……なのか?
 単純に俺がこういうやりたい放題を、好むタイプのアニメ視聴者だって感じもあるが……まぁ面白いから良いかッ!!

 トンチキぶん回しつつも、真秀に実務を頼み過ぎなハピアラの現状をちょっと切り崩して、みんなで楽曲を作り上げていく彼女たちなりのクリエイティブをしっかり描いたり、あらゆる瞬間キャッキャウフフ狙ってくる”密度”見せたり、青春DJユニットの素描としても精度がいい。
 前回外国語によるコミニュケーションにさおりさんが苦しんでいた流れを組んで、仲間たちが真秀の異言をなんとか飲み込もうと苦労してる姿から絆を照らしたり、Merm4idほどカラッと独立していない、いつでもギュギュッと密着した距離感で生きてる高校生の空気感が描かれたり、連作としての面白さもあった。
 こういうテクニカルで俯瞰的な巧さを随所に活かすからこそ、とんでもトンチキな夢幻譚ニまとまりが出る……気がする。
 単純に俺がこういう何が本当なのかわからない、価値判断軸がグラグラ揺さぶられるタイプのお話が好きな輩だって感じもあるが……まぁ面白いから良いかッ!!

 

 

画像は”D4DJ All Mix”第6話より引用

 かくして白昼夢は覚め、謎の英語オンリー現象も解除されて友情ソングが唸りを上げる! ……と思いきや、虹色に発光するホラーな夏先取り、全編英語のゾンビーソングは現か夢か!!
 怖くてカワイイゾンビーが踊り狂うステージには不気味な魅力があり、現実に戻ったと思えばまた夢に喰われる揺り戻しの楽しさもあり、個人的には好きなたたみ方である。
 『ハチャメチャな夢の檻に閉じ込められても、ゾンビになっても、ハピアラはずっとカワイイな……』と思える描き方になってたのが、個人的にこの話を飲み込む大きな助けだった。
 美少女コンテンツなんだから、やっぱそこは大事だろッ!

 これは作品やコンテンツの問題ではなく自分個人の話なんだが、各ユニットが変化球で新たな境地を見せ散る”招き猫プロジェクト”の真価を、各ユニットのスタンダードが身にしみるほど浴びていないからしっかり食えてない惜しさ、みたいのがある。
 僕はアニメでしかD4DJに触れない視聴者なので、アプリやリアルイベントでたっぷり積み重ねた”らしさ”を食べておらず、あんまD4DJのハラが作れてないんだよな。
 なので各楽曲やパフォーマンスが各ユニットのデフォルトからどんくらいはみ出していて、どんくらい攻めていて、どんくらい新しいかを比較計測するセンスに乏しいんだよな。
 単品のパフォーマンスとしても楽しいんだけど、D4Djにしっかり付き合って”らしさ”を知ってる人たちが、今回ぐらいぶっ壊した試みによって揺らされてる震度を共有できないのは、なんかもったいないな、と思う。
 まーそれは長年コンテンツに時間と情熱(あと多分お金)をぶっこみ、思い入れや愛着や歴史という真珠を自分の中に作ってきた人のための、大事な宝だろうしね……ポッと出のポッと野郎が、横から窃盗して良いもんでもない。
 ただまーエミュレートは一応できる衝撃力を、ステージから真実体感できていないのは(しょうがないのは当然として)もったいないかもな、と感じたわけ。

 しかしま、そこを揺らされない立場だとしてもハピアラの物語に1クール付き合い、彼女たちが好きになれたアニメオタクとしての自分はそこにいるわけで。
 それを楽しく揺さぶってくれる、トンチキで彼女たちらしいエピソードだったと思います。
 色んな意味でハピアラにしか出来ない話に、臆せず切り込んでくれた勝負っぷりは、やっぱ好きだな。
 来週はユニット個別回大トリ、カワイイカワイイPhoton Maidenの7月。
 第一期ではおすまし文学少女で通した福島ノアが、TL越しの受動喫煙でもビリビリ震えるヤバい本性を暴れさせてくれるのか、大変楽しみです。