イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

D4DJ All Mix:第9話『ホシトカミ 』感想

 楽しくも刺激的な合同合宿を終えて、行くぞ勝負のハロウィーンステージ! 
 All Mixな魅力が力強く炸裂する、D4DJアニメ二期第9話である。
 2エピソードを連結して2ユニットを描いていく形になったが、たっぷりと時間が使える強みを最大限活かして、合宿の成果をステージに繋げていく試みが丁寧に切り取られていた。
 皆が新鮮な驚きを楽しんでもらうよう、日々”イタズラ”に勤しむ胡桃ちゃんのクリエイティビティが、VJ陣を巻き込んで裏方仕事の手応えまで積まれていくのは、横幅の広い満足感ですごく良かった。
 観客席を舞台装置に変え、Photon MaidenとLyrical Lilyが掴み取った世界を大きく広げていける。
 合宿やった意味がヴィジュアルに体験できるステージングだったし、ユニットの垣根もむにちゃん達を巻き込むことでさらにスケールデカく飛び越えて、すごくAll Mixな話だった。
 キャラクター個別の可愛さ、混ざり合うことで生まれる瑞々しさだけで終わらず、アーティストとして何を作り上げ、楽しい舞台から何を学び取るかという、手堅い達成感もしっかりあった。
 前回感じたチャーミングと堅牢の心地よい同居が、最後まで続いてくれた感じで見応えあったな。

 

 

 

画像は”D4DJ All Mix”第9話より引用

 かくして合宿後半戦、すっかり仲良くなった2ユニットはここで手に入れた喜びを共にステージに結実させるべく、新たな日々へと進みだしていく。
 とにかく衣舞紀姉貴が咲姫ちゃんをずーっっと見てて、プロジェクト全体の方向性をしっかりハンドルもし、頼もしさが半端ない。
 この合同合宿、キャラのチャーミングな表情(SDの仕上がりが相変わらず良くて、最高可愛いに脳髄ビタビタなれてありがたい)だけでなく、その人物がどういう人間なのか、芯の部分がしっかり見えるのは良い。
 第7話でそういう地金の部分すでに見せてるノアがコミック・リリーフに回って、衣舞紀や咲姫ちゃんの素顔が視聴者にわかるようスペースを開けているのは、各話数が良く連動した構成だなと感じる。
 見終わった後、みんなが好きになれるアニメはいいアニメよ、やっぱ。

 合同ステージという具体的な目標が出来上がって、イメージを共有する段階からギアが一つシフトしていく。
 ここら辺の空気感の変化、実際に作業を積み上げていく感じもすごく良くて、この手触りが逆算でもって、前回ただただ仲良く時間を共有してた意味を分厚くもする。
 共にはしゃぎ騒ぎ、お互いの良さを間近に感じ、同じ空を見上げるような体験があったからこそ、コラボパートナーとしてお互いを前に進めていくような、観客を自分たちの宇宙に飲み込むような、良い舞台を作り上げられる。
 この連作はクリエイティビティなるものがどこから来るのか、大上段に構えたところが一切ないまましっかり描き続けていて、そういう硬質な感触が心地良い。
 あとノアに押し潰された胡桃ちゃんのほっぺの、むにむにな質感ね……素晴らしい、天国はここにあるのだ……。

 

 

 

画像は”D4DJ All Mix”第9話より引用

 合宿終わって企画が動き出し、楽曲制作に担当割り振り、ステージ演出にスタッフワークまで、演者自らがガンガン動いて舞台を作っていく。
 一回光を見つけると、形になるまでがとにかく早い咲姫の才能が鮮烈なのも良かったし、曲作りからちょっと外れた舞台演出の方に尺を割り振って、裏側からステージ作りに切り込んでいく視点も好きだ。
 仲間の頑張り、楽しかった合宿の思い出に刺激を受けてスイッチが入った胡桃ちゃんは、持ち前の行動力をフルに発揮して、色んな人を巻き込んでいく。
 僕はブーブー文句たれつつバリバリ働いてしまう大鳴門むにさんが大変好きなので、今回は頑張るむにちゃん山ほど見れてありがたかったな……。
 胡桃ちゃんのいたずら好きな気質が、豊富なアイデアを形にするのに必要なら一切物怖じせず動きまくる、彼女なりのクリエイティブとして描かれているのも良い。

 二次元美少女が暗闇の中でシコシコシコシコPCに向き合って、音作っていく描写が多いのが、このアニメの好きな所で。
 色んなトラックメイカーが地道な苦労を重ねつつ、手に入れた着想や感情を指先に乗せて生まれていく音の現場感みたいのが、しっかり盛り込まれているのは凄く良いと思う。
 カラフルな作曲画面と似通った色合いで、眩しく輝く朝焼けの色がそのまま、咲姫ちゃんの共感覚を可視化し共有している感じなのも、趣のある表現で好きなんよね。
 この子はこういう視界で世界を見てて、それが歌として形になっていく瞬間を、ダイレクトに光を描く以外の見せ方してくれるのは、すごく良かった。
 こういう、画面の中の仮想がググっと体温持って迫ってくるような表現があってくれると、そのアニメをより好きになれて俺は嬉しいのよね。

 

 

 

画像は”D4DJ All Mix”第9話より引用

 かくしてお披露目なった”妙なる星へと”は、リリリリの透明な清潔感を冒頭のコーラスで醸し出しつつ、VJ班渾身の舞台演出が一気に見るものを宇宙に誘う、力強いステージとなった。
 音楽だけでなく視覚からも、特別な瞬間を観客に突き刺せるDJパフォーマンスの強さが、この楽曲を作り上げるために少女たちが過ごした時間に後押しされて、とても感慨深い。
 視聴者は神の視点で合宿でのアレソレを知ってるわけだけど、そういうの関係ない観客も一気に飲み込む説得力があるのだと、ハピアラのリアクションでしっかり伝えてくるのが良いな、と思う。
 あとガッツポーズ大鳴門氏ね……本当に頑張った。
 ステージに立つもののアイデアとはず無感情、ステージに立たない人の尽力がMixされることで、目に見える夢が形になっていくのだと示す形になっていて、舞台が形になるまでのガッツストーリーとしても、凄く良い回だと思う。

 

 

 

 

画像は”D4DJ All Mix”第9話より引用

 というわけで関わったみんなが大満足(約一名最高可愛いふくれっ面)なステージを終えて、新たな未来へレッツゴー! という所で、お話はおしまい。
 今回は胡桃ちゃんの悪戯で力強い表情がたくさん見れて、このアニメの強みを再確認する感じでもあった。
 やっぱ顔の芝居つえーよなこのアニメ……。
 自分が感じた楽しさを形にして、嬉しいサプライズをみんなに届けるために全力を傾ける胡桃イズムが後半を牽引したことで、彼女の存在感がググっと立ち上がったのも良かった。
 オルターエゴが舞台に選ばれることで、第4話で門戸を拓く決断をした”後”の賑わいと実りが確認できる話になってたのも、1年を通じた変化とその先を描くアニメとして、凄く良いと思いました。

 みんなで作り上げた豊かな輝きを抱きしめて、少女たちは未来へ進んでいく。
 そろそろ終わりも見えてきましたが、All Mixな冬の物語をどんな色彩で描ききってくれるのか。
 来週も楽しみです。