イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

うる星やつら:第21話『惑星教師CAO-2/あな恐ろしや、ワラ人形』感想

 洒落になるのもならないのも、過ぎ去った思い出も現在進行系の衝突も、まるごと飲み込むカオスラブコメ、令和うる星第21話である。
 人を呪わば穴二つ、幼き武勇伝で片付けるにはあんまりな蛮勇に宇宙の果てから制裁がすっ飛んでくる第1エピソードと、無敵の妹様が引き起こした呪術ハザードに面堂くんとダーリンが巻き込まれる第2エピソード。
 清くも正しくもないが、もしかしたら美しくはあるかもしれないドタバタ楽しく極めてはた迷惑な大騒ぎが、色んなメンバーで書かれるエピソードでした。
 エイリアン四人娘の過去話から、男二人現在進行系な腐れ縁に続いていくの、人数だいたい出揃ったからこその引き継ぎだと感じられて、連作として結構好きだな……。

 

 

 

画像は”うる星やつら”第21話から引用

 というわけで三頭身のちびっ子が、街で噂の美少女集団に化ける時間を飛び越えて、フルメタティーチャーが銀河規模のお礼参りにやってくる第1エピソード。
 最初は仲良しお転婆微笑ましいわね~ですんでいたが、主に弁天とラムの蛮族っぷりが凄い勢いで加速していって、最終的には辺境惑星に死体を置き去りにした逸話がボロンと飛び出した。
 そらー男の子たちも言葉ないわ……ヤンチャで済ますにはタチ悪すぎる。
 『こんな悪事に巻き込まれ、毎回NOを告げつつ離れられない生活続けてりゃ、ランちゃんの性格も歪むわな……』という意味でも、エイリアン娘たちの力関係と距離感が良く分かる過去回想回である。

 なんでもありのるーみっくわーるどとは言え、流石に知性体一つハメ殺して10年単位で放置決め込んだのは洒落にならず、最後は怒涛の勢いで巨大黒板消しがぶっ飛んできて、的確にリベンジ決めて帰っていった。
 オチの勢いとスピード感が、段々とシャレにならなくなっていく回想のジワジワ感といい対比で、緩急の付いたいいエピソードだったと思う。
 『この怒涛の終幕を可能にするべく、どんだけ宇宙空間に放置しても死ぬことだけはない機械先生だったのね……』つう、ヘンテコな納得もあるわな。
 偶然居合わせてメタメタにされる男の子たちもいれば、涼しい顔で被害を避けてるお雪もいて、集団内部に奇妙なグラデーションがあるのも、また良い味わいだった。
 この無法極まる幼年期があって、今地球で繰り広げられる青春があり、さてその”今”はどこに繋がっていくのか。
 宇宙を舞台にした空間的広がりと同時に、時間的広がりにも思いを馳せれるお話でした。

 

 

 

画像は”うる星やつら”第21話から引用

 女の子たちだけに友情地獄絵図は描かせませんよ! ってんで、第2エピソードは面堂くんとダーリンが揃って酷い目に合うお話。
 なんとなくのノリで最悪の呪物生み出し、身内巻き込んで一切恥じない了子の無敵力が際立つが、お話の力点は男二人の腐れ縁にある。
 令和うる星で再発見したものは色々あるが、面堂くんとあたるの距離感が大変いい感じだという”事実”もその一つで、無自覚な災難にブンブンぶん回されてる時も、”力”を自覚し笑いながら五寸釘打ち付ける時も、恨み骨髄に達して自分と同じ地獄に引きずり込む時も、憎悪と癒着した名状しがたい感情が、二人の間に強い引力を生んでいた。

 こんだけドッタンバッタン大騒ぎ、過失と故意の入り交じるロクでなし体験を濃厚に経た上で、明日からはごくごく普通にクラスメイトしたり、一緒にバカンスしたり出来るのが、この二人……を包むうる星時空の楽しい所、か。
 毎回毎回リセットボタンが押されているようで、ジリジリと積み重なるものが確かにあってキャラは変わっていき、もはや面堂くんにクールなライバルキャラの面影はほぼない。
 しかしまー、大ボケ小市民と同レベルで楽しくやっている姿は、スカしてた登場時よりも生き生きしてて、大変いい感じです。
 つーかコメディアンとしての宮野真守がその実力をいかんなく発揮し、悲惨ながら笑えてしまうギリギリのラインをキッチリ形にして届けていたのが、とてもありがたかった。
 醒めてしまえば、シャレにならない笑えない。
 そんなホットな笑いを、笑えるように届けるのは色々大変だろうけども、やりきってくれるとこうも面白いのだな……と、しみじみ思えるエピソードでした。

 

 つうわけで宇宙の果てと友引町、過去と現在、女と男……対称的ながらどこか似通ったもののある、超刺激的スクールライフでした。
 いやー……見てる時は楽しくノセられてるが、ちょっと落ち着いて思い返すと相当ヤバいなッ!
 しかしそのヤバさがスカッと一話で終わるよう、読後感に気をつけた作りだからこそ成立してるアニメでもあって。
 そうして終わっていく時の中で、確かに積み上がるものが何なのか。
 時折やってくるシリアスで確認するのもまた楽しい、色んな面白さが多彩に押し寄せる物語。
 次回も楽しみですね!