Dr.STONE NEW WORLDを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月14日
スーパー執事フランソワの大復活と、南記者待望の銀塩写真を通じて描く”欲しい”の魔力。
知識と技術が合わさり何かが生まれていく面白さが力強くブン回って、クラフト系異世界無双の本領発揮という塩梅だった。
やっぱモノ作る手応えが、心を満たす回はええな。
気球から小麦畑、パンから写真と生まれるモノは変わるが、それらは全て科学によってつながっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月14日
千空が報酬に写真機を約束したのは、南記者が可哀想だからではなく、人類復興という大目的のために必要な遠洋船…その駆動力となる石油発見のためだ。
ロードマップが良く出るこの作品、一見関連性がないと思える社会の諸要素が実は根深く関わっていて、技術と文明は相互に関連しあってより大きなものを成し遂げていくという、ネットワーク的世界観が土台にある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月14日
それは人間関係も同じで、誰かの夢と幸せは、誰かのそれに繋がるべきだと、幾度も描く。
そういう繋がりからはみ出した、あるいはそれを断ち切り独占する”欲”も技術発展にはつきもので、これを制御するにはどうしたら良いか、実は作品は明瞭な答えを打ち出さない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月14日
あるいは非常に不確かで純粋な、人間個人の性質(あるいは本性)に繋がりの制御を任せていく。
”欲しい”を原動力にしてガンガン状況を前に進める龍水は、卓越した客観性で肥大化するエゴを切り落として、新世界最初の写真に誰が映るべきかを、適切に判断できる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月14日
彼の”欲しい”は常にネットワークを適正に機能させ、離れて繋がった誰かの幸福を、たしかに形にする。
それはあくまで、龍水の資質だ。
”欲しい”が制御を失って肥大化し、独占と抑圧につながらないためにはどうすれば良いのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月14日
文明を制御し、暴走する獣に手綱を付ける賢さを、科学は用意してくれるのか。
現実にも答えがないこの難問は、冒険譚の手応えに、あるいは次々モノを創り出す説得力に巧妙に隠されていく。
ここをツッコむと話が社会工学の領分に突っ込んでいって、面倒くさいワリに少年漫画っぽい爽快さに欠ける領域に踏み込むので、なかなか難しいポイントではある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月14日
千空の周囲に、技術発展を善用できる義人が集えたのは偶然か運命か、科学王国の理念が招いた必然か。
『欲望を形にする科学は、善である(べき)』という信念をいかにシステム化するべきかは、痛快な科学無双とはまた別の領分であって、この物語にとってのアンタッチャブルレイヤー…という話か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月14日
科学を悪用する敵との対峙も、目の前の一個人を越えて大きな理念にまで踏み込む手応え、やや弱いからな。
盛大に話がずれたが、さておき。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月14日
今回描かれた欲望-科学-幸福のネットワークは、面白超人フランソワの超絶有能っぷりにも支えられ、十全に機能を果たす。
よく制御された”欲しい”は様々なものを生み出し、幸福と可能性を広げる。
諦めていた夢を取り戻させ、より広い未来へ可能性を拓く。
気球から観測する山々の景色が、かなり細密に美しく描かれていたのが、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月14日
科学が生み出した観測/記録装置が切り取れる、世界の解像度がどれだけ特別なのか。
写真があることで、今まで見えなかった何が見えてくるのか。
絵の説得力で分からせてくるのは大変良い。
空を飛べない人間が、叶わぬ大望を手繰り寄せたからこそ掴める、新たな可能性。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月14日
それはとても危うい方向にも開けていて、希望のネットワークが大きな船を生み出した後、猛烈に襲いかかってきたりもするわけだが。
そんな邪悪に立ち向かえる人間唯一の武器は、今回既に描かれている。
千空が真っ黒な炭にしてしまったパンを、フランソワは遠方航海用のオーダーを果たしつつ、ゲストを満足させる食事として完璧に仕上げる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月14日
カセキは千空の知らぬ場所で、スチームゴリラを改良し自力で悪路を越えてくる。
様々な可能性を持った人たちが、それぞれの強みを結び合わして、生み出す変化。
科学チートの体現者を主役に据えつつ、彼一人だけが運命と戦っているわけでも、一人で勝てるわけでもない事実。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月14日
それをちゃんと書きつつ、傲慢に思える千空がその実、そんな多様性を凄く喜んでる様子、才気あふれる仲間に負けない己の強みを、バチッと叩き込む気持ちよさ。
そういうのが分厚い回でもあったな、と思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月14日
俺は千空が科学無双キメる回も好きだけど、優秀な他ユニットがそれぞれの得意分野で、思う存分暴れまわるのも好きなんだなぁ…。
各キャラの長所がハッキリしてて、それを組み合わせて難局を超えていくの、戦略SLGっぽさあるよね。好きだ。
”欲しい”に突き動かされた科学が、正しく人を結び合わせて生まれる、桁違いの推進力。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月14日
それを背に受けて新たに進み出す場所は、一体どんな景色なのか。
どんな面白いものを、この先に見せてくれるのか。
そういうワクワクこそが、作品の根本にあると思える回でした。
次回も楽しみですね。