かくして超次元ゴルフは新たな領域に……。
強キャラぶってた最強高校生チームを生贄に、ショット打つ度MRIのお世話になる神経系に高負荷競技へと進化していくバディゴル、覚醒の第15話である。
『一打一打に生き死にが乗っかってる、異常なグルーヴ感』という意味では賭けゴルフ編に先祖返りした感じもあるが、なんでみんな頭抑えてんのか理屈が一切開示されていないので、かなり珍妙なリズムが生まれつつあるこのお話。
親世代の意味深な過去を掘り下げつつ、今を生きる現役世代が伝説を超えていく感じに、今後なっていくのか。
イヴの過去が判明し、師匠が海外でこさえた褐色ライバルも顔を見せて、全体的な舵取りが大きく動いた感じがあります。
さんざんタメた挙げ句の灘南の鎧袖一触っぷりは……いやマジなんなんだろうな。
香蘭が相当いい書き方をされたので同じくらいの待遇を望みたくなるが、ヴィペールさんくらいの化けっぷりが、今後あるのだろうか……。
つーわけで大方の予想を裏切って、亜室監督の魔法によって記憶の扉を開け覚醒を果たした葵が、別次元のゴルフで全てを飲み込んでいった。
ここで強引にブースターを吹かせて、主役の強さを一段回上げるってことは、世界編はさらなるトンチキ異能力者とのバトルに突っ込んでいく……ということだろうか。
力の代償にフラッフラに精神えぐられているが、シンプルな才能無双を許さないための弱点設定……と思ってたら、監督も三発打っただけでフラついてて、多分そういう呪いなんだと思う。
断片的な回想シーンが随時カットインされる形で、一本筋が入った説明が過去の事件にも超次元のゴルフにも現状ないので、見ている側は振り回されてる感じあるな。
といいつつ、強引さも説明不足も『まぁ、そういうもんか……』である程度飲めてしまう素地はこのお話作ってきたし、渦中にいる葵は可愛いしで、そこまで拒絶反応は出ていない。
何しろ既に地下コースが大変形を果たし、ゴルフサイボーグの腕がぶっ壊れとるからな！
リアリティラインの引き直しへの予防接種は、既に果たしているぜ！
続行が望めないほどヘロヘロなのに、イヴのキスだけは貪欲に求めている葵、マジで異国で出会った天才少女にズブズブ過ぎてウケるわ……。
硬い信念ゆえに脆いゴルフを記憶を取り戻したイヴが背負うとすれば、亜室監督直伝の全てを楽しむゴルフを葵が背負い、比翼連理で高みに飛んでいく形に今後なっていくと思う。
そういうテーマ性を、ナチュラルかつ過剰にねじ込まれるド天然萌えムーブで納得させていく作りは、結構好きだ。
『葵ならしょうがねぇな、可愛いし』と、色んなモンを腹に収める準備はすっかり整えられちゃってるからなぁ……可愛げってのは強いよね。
どんだけデカい運命や過酷な試練が大げさに暴れても、等身大の少女らしい喜びや可愛さが常時描かれているから、話に振り回されつつどこでこのアニメ楽しめば良いのか、あんま迷わずにすんでるのかもしれない。
イヴは必勝のオレンジで再度記憶の扉を開き、今度は完全に己の過去を取り戻した感じ。
とにかく力任せに前のめりだったスタイルが、爽やかな虹をまとってギャリギャリバックスピンで決める形になって、イヴもまた覚醒を果たしたとプレイで解るのはとても良かった。
つーか異母姉妹でキャッキャしてたのかよ！ 予測はできてたけども！
細かい所のネタ出しが良いんで、こういう展開に程よい納得と衝撃があるのが、このアニメの良いところね。
こうなってみると葵からの過剰な思いに別の味がついてきて、不在なる”姉”を無意識に求めていた所に今後、ガッツリ関係に骨肉がついていく感じかね。
激ヤバショットを乱打した挙げ句ガタガタになった（一名死亡済み）っぽいオヤジ世代が、一体どんなドラマ繰り広げていたかは気になるところだけども、それが暴かれたことでイヴと葵の関係性にどういう波紋が広がるかが、一番大事かな。
白紙の記憶に勝利だけを刻み、貪欲に駆け抜けてる今のイヴはめちゃくちゃ魅力的なので、お嬢様でゴルフサラブレッドだった過去を思い出すことで、”名無しのイヴ”を捨て去るような展開は寂しい。
葵との関係構築と合わせて、今回暴かれた衝撃の真実をどう着地させるか。
次回は結構大事な回になりそうだ。
そこの起爆剤となった亜室監督、なんかするごとに粘ついた感情引きずった教え子が引きずり出されるので、立ち回りに異様な迫力が出てきた。
香蘭の監督いわく葵にかけた魔法は”パンドラの箱”らしいが、まーオヤジ世代全員ガッタガッタにされてるし、そらなんかあるんだろう。
ここは葵ママンが企業グループ全部巻き込んで実現しようとしてる、トンチキな計画とも繋がるネタだと思うので、早めの種明かしが見たい。
その真実と監督の無自覚プレイボーイっぷりは多分関係なくて、あの人がシンプルにダメなんだと思うけど。
そして見事に主役の覚醒に轢き潰された灘南ペア……ご愁傷さまでした。
ド地下賭けゴルフから青春ゴルフストーリーへ、大胆な転身を遂げた物語が新たに方向転換するタイミングで、香蘭で既に描いた真っ直ぐなスポ根やってる暇はない……って話なのかもしんねぇが、それにしたって超ザックリ殺されたな……。
みずほ先輩も虹”を目の当たりにし、その呪いで強くなった穂高チルドレンの一人だったわけだが、直系の血を前にしてただの憧れは儚い……という形に落ち着くのか。
ただ綺麗だから憧れた、孤高の女帝に見えて本物の野良犬だった落差はかなり美味しいと思うので、さんざん積んだ前フリを活かし切るような見せ場を一つ、用意してあげて欲しい気持ちがある。
声も田村ゆかりだしさ……（思い入れの七割、ここが足場）
つーわけで『ハイハイ学園ゴルフストーリーはおしまい！ こっからは血統と因縁渦巻く超次元ゴルフ新章だよ！！』と、作品から殴りつけられるようなエピソードでした。
正直第9話以降のテイストかなり好きなので、舵取りが切り替わってしまうのは残念であるけども、思い返せば学園編始まった時も『闇ゴルフが懐かしいな……』みたいなこと言ってたわけで、こっから先のお話にも慣れ、楽しみ、期待していくと思う。
とりあえず葵を苦しめてるゴルフ頭痛の原因と、意味深にチラチラさせつつぜーんぜん肝心な所を彫り込まない親世代の因縁は、パパパッと明かして欲しい感じね。
俺は葵が好きだから、あの子が苦しんでるのあんま見たくねぇんだよなぁ……次回予告で、土砂降りの雨の中号泣してたけども。
記憶の扉を拓いたことで超高校級の実力に目覚め、心を削る重たい因縁にも縛られていくイヴと葵の、未来はどっちだ。
次回も大変楽しみです。
