イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

Dr.STONE NEW WORLD:第5話『科学船ペルセウス』感想

 かくして船は、海に漕ぎ出す。
 TVSPから数えれば大体半クール、どっしり時間を使って描かれたペルセウス建造編、遂にフィナーレのNEW WORLD第5話である。
 思い返してみると色んな発見や変化が相互に結びつき、新しい可能性を切り開いていく科学王国のスタイルを、色濃く描いてくれる時間だった。
 みんなで額に汗してクラフトしている時間がこのお話の特色であり強みだと思うので、そこをたっぷり食べれたのはありがたい時間だった。

 最後の一年間も、写真機を手に入れジャーナリストとしての本分を蘇らせた南ちゃんがいい仕事をして、情感のある描き方が出来ていたと思う。
 時間的成約を前に、千空がヨットに計画を書き換えようとする所を、良き欲望者である龍水が持つ専門技能でもって本道に戻すのは、超天才と言えども苦手分野があり、それを補うスペシャリストがいて、『みんなで科学王国なのだ』という根本を再確認できる。
 あと一瞬の描写なんだけども、学校出来てるのがやっぱ良いよな……形に残る発明品以上に、文化文明がどこから生まれどこに宿るか大事にしてるから、教育が石神村に復活を果たすわけよ。

 遠洋航海可能な大型船建造という、あまりにもハードで地道な仕事に勤しみつつ、科学王国の皆はとても楽しそうに日々を過ごす。
 コハクちゃんがとにかく楽しそうで、可愛くて良かったね……。
 キツい仕事が何のためにあるのか、自分の頑張りが何に結びつくのか。
 他人に興味ないクールな態度を取りつつも、千空ちゃんは自分が導く人たちが疎まず飽きぬよう、壮大なヴィジョンと実務的な見取り図を常時しっかり示す。
 自分が圧倒的に優秀である事実に驕らず、どんな天才だろうと取りこぼす限界を認識して他人に頼る、大事にする謙虚さ含め、ペルセウスは千空ちゃんだからこそ作れた船だと思う。

 

 つーわけでメンバー読み上げ感動の船出、行くぞ新世代のアルゴノーツ!
 OPを堂々背負って一人ひとり乗船は、ここまで結構長く準備をしていただけに視聴者としてもビリビリ魂が震える、とても良いシーンだった。
 さーすがに年単位で付き合ってきたので、利で動いてることにするゲンちゃんのツンデレが矜持なのだと周りにも知れてきて、それを尊重する空気が大事にされているのも、出航前の気持ちいい描写だった。
 どんだけ道理に合わない情熱一本気の無茶苦茶を繰り返しても、ゲンちゃんは食えない詐欺師のペルソナを崩さず、情ではなく利で動いているのだとミエミエの嘘を張る。
 その強がりこそが結構ビビりな自分が、大事な人のために命を張れる足場なのだと知っているのだろう。
 そういう所がカッコよくてかわいくて、僕はあさぎりゲンがやっぱり好きだ。

 こういう強がりで踏ん張ってる男に対して、本物の俗物である銀狼はナランチャめいた決死の遠泳を演じて逃げ帰ろうとして、計算ハズレのバカに巻き込まれて船に乗る。
 ここで一本、熱血漢道路線からハズしたネタを投げてくる所が、このお話独特の味……であり、生真面目になれ過ぎると照れてしまう少年たちに向けた、優しい一笑だなと思ったりもする。
 銀狼のコスい計算を狂わせた最初の一手が、普段クールぶってる千空ちゃんの一言だってのが、我らが主役の人情味である。
 自主性を重んじた上でなんだかんだ、本気のバカが残ってるって信じてるし信じたいんだよなぁ……。

 

 つーわけで、長い下準備の最後にふさわしい感慨を、しっかり届けてくれるエピソードでした。
 日常カットが多めで、科学王国のかわいい姿がたくさん見れたの、こっから激化していく物語への燃料補給させてもらった感じで、なかなかありがたい。
 宝島を目指す旅路に、何が待ち受けるのか。
 次回からの新章をアニメがどう描いてくれるか、大変楽しみです。