イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

プレイレポート 23/09/12 TNX『Sunny Side Dry Up』

 昨日は千本松さんがかみおふboost( https://unmeinotobira2020.wixsite.com/godoff-boost ) B日程でRLなさるシナリオの、テストプレイに参加させていただきました。
 往年の名作”Raining Clome”へのリスペクトに満ちた、ド濃厚二人シナリオ!

 

 シナリオタイトル:Sunny Side Dry Up システム:N◎VA-X RL:千本松さん

 Jactaさん:”銀の錠前(シルバーキー)”遊馬仁:31才男性:フェイト=フェイト◎●チャクラ 寡黙で誠実な姿勢で事件に挑む、生粋のフェイト。シルバー一枚を受け取り、”依頼”という形で残酷な現実に切り込んでいくことを己に課し続ける、優しきタフガイ。

 コバヤシ:”悪霊憑き”ガダラ:16才男性:クロマク◎カタナ●シキガミ キッズギャング”レギオン”の頭目を務める、軽薄で危険な優男。戦闘用サイコアプリの実験体として、幼年期から殺意を溜め込んだ軋みで、何もかもをぶち壊してストリートに流れ着いた過去を持つ。深層心理を具体化した異形”我が母なる暗黒(アトム・ハート・マザー)”を操る。

 

 こんな感じの二人が、無情の街に秘密を抱えて飛び込みました。
 大変面白かったです。
 プレアクト段階で重たく救いのない話だというサジェストがあり、ハラ固めてアクトに飛び込んだら出るわ出るわ、災厄の街のイヤーな現実がてんこ盛りで……。
 しかし露悪趣味で終わらず、そういう街で生きてしまっている私たちの現在とこれからをどこに持っていくのか、その時どういうスタイルを支えに抱きしめていくかを、重たい質感でしっかりと問われるシナリオでした。
 こういうヘヴィな一撃はともすれば疲れて終わってしまうわけですが、シナリオライターがどんな思いでそういう描写と展開をいれていて、何を描きたくて話を組み上げていくかがアクトに満ちていたので、『んじゃあ、俺も殴り返さないとな……』とファイティングポーズを取り直し、気合い入れてアクトと真っ向勝負しました。
 そうさせてくれるだけの芳香があり、そうしただけの咆哮をアクトに浴びせられて、大変満足のセッションでした。

 珍しい自キャラ語りをすると、三度目のセッションとなるガダラにとって”カタナであること”がどんな意味合いなのか、暴力と残虐の真っ只中に飛び込み、カタナにしか解決できない地獄を目の当たりにして、ようやく定まった感じがあります。
 こういう形でスタイルの在り方を問われ、セッションの現場で生成される空気を噛み締めながら自分なりの決断を絞り出す時、僕はTRPGやっててよかったなと思います。
 キャラクターが今いる現在地に流れ着くしかなかった運命や思考、選択を自分の中で醸造させた後、絞り出した扱いやすさをキャラシートに書き写してゲームで扱うようにしているわけですが、そういうエッセンスが出てくる前の原液に手を突っ込んで、自分なりこのアクトだけの答えを探し、叩きつけれた感じがあった。
 やっぱそういう感触があるセッションは、特別だし大変に面白い。

 PLニ名&激重キーハンドアウト付きってことで、シナリオの構造が超濃厚になるように組まれているわけですが、差し向かいで一緒に走ってくれたJactaさんの最高PLっぷり、仁さんの無敵キャストっぷりがそこに火薬を継ぎ足して、深夜に魔法のようなセッションが生まれました。
 TRPGは人間を相手に、リアルタイムで濃厚な物語体験を共有していく遊びなので、そもそも太めな共通体験を生みやすいんですが、今回のセッションを一緒に遊べたことは、同卓メンツをつなぐ名状しがたいなにかを確かに強めてくれた、ありがたい手応えがありました。
 良いセッションはそういう、得難くて大事なものを僕らに手渡してくれるものなので、大変良いもんだなと思います。
 ボーッと突っ立てて自然に生まれたわけではなく、良いシナリオになるよう唸って書き上げて、自分の分身になるキャラに真摯に向き合って、目の前にいる人間の心にどういう角度で触れたら良いのか、考えながら遊んだ結果、そういう宝石みたいな時間が生まれるわけでね。
 そうなれるよう、皆が気持ちを配って遊べたのがとても良かったと思うし、そうさせるだけのポテンシャルをこのシナリオが持っているのは間違いなく、大変素晴らしかったです。
 ある意味原典たる”Raining Clome”との類似性を気にされていたけども、やにおさんだけが持っていた乾いたスタイリッシュが抜けた部分に千本松さんだけの郷愁と残酷がしっかり染み込んでいて、唯一絶対の魅力を持った物語空間が生み出されていたと思います。
 その一端を今回僕が共有できたのは、とても嬉しい経験でした。

 

 というわけで、めちゃくちゃ楽しいセッションでした。
 同卓していただいた方、ありがとうございました。