イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

君のことが大大大大大好きな100人の彼女:第1話『君のことが大大大大大好きな2人の彼女(あと98人) 』感想

 ラブコメの都合の悪いところに全身全霊でぶち当たり、全力全開のポリアモリーをぶん回す狂気のハイテンションコメディ、遂に遂にのアニメ化である。
 原作が持っている速度と強度をどんだけアニメに出来るか、正直かなり構えて第一話を見たが、声優陣のテンション、過剰な書き文字、ハイスピードに詰め込まれるボケとツッコミ……持てる武器全部動員して”100カノ”しにいってくれて、大変良かったです。
 狂ってる部分ばかりが目立つお話なのですが、ラブコメの”ラブ”の部分にも常時力入れてくれてるのが強みなわけで、恋太郎と彼女たちを凄く可愛く描き続けてくれたのも良かった。
 『爆モテ疑似体験はしたいが最低野郎にはなりたくない』というラブコメ読者のジレンマを、真正面からの百股宣言でベコベコにぶっ飛ばし、過剰に力んだ誠意と愛で何もかもなぎ倒すスーパーラブコメが、秋クールに堂々降臨を果たしました。
 見たかったもんちゃんと見れて、それ以上のありがたみもあって、マジ良かったな……。

 

 色々いい所あるんですが、やっぱ常時血管ブチギレテンションで画面も音声もやかましいのが、見てて面白かった。
 『運命の人100人と、出会った瞬間から恋が始まる』というイカれた初期設定に当惑する暇もなく、普通のラブコメならグダグダ時間かける『惚れるまでの過程』を大胆にショートカットした上で、彼女百人斬り(百人斬られ)という狂気に真正面から飛び込んでいく。
 明らかに正気ではないテンションとテンポを受け止めるべく、主役である恋太郎が一番狂っているのですが、それはやりすぎな誠実さと愛のたまもの。
 過程も勢いもメチャクチャなんだけども、素敵な女の子たちが大好きになるだけの魅力が恋太郎にはちゃんとあって、好きになれる主人公なのがありがたいわけです。
 パンッパンにギャグ筋膨らませて大爆走カマす勢いの良さを、主役の根っこにある怪物的誠実さ(あるいは、誠実さの怪物)がガッチリ受け止めて、イカれているけど筋が通った話になっているところが、見てて安心できるんだと思います。
 コメディは笑いのために大事な何かを蹴っ飛ばしてしまうと、笑ってるどころじゃなくなってしまうわけで。
 このお話はとにもかくにも、『恋太郎と彼女たちの、イカれて本気な百の恋』だけは踏まないように、それ以外の何もかもを全力で蹴っ飛ばす価値判断がガッチリしていて、ここに身を預けていれば安心……てのが、作中の倫理基準として明確です。
 そらー常識から考えればスーパークレイジー以外の何物でもないんだが、そういう話として始まって、そういう話としてぶっちぎり駆け抜けていくと初手から宣言してんだから、それを飲み込む腹さえキメれば、僕はグイッとイケるわけです。
 アニメはそういう、作品の基本ルールを異様な勢いと情報量でもって、第一話からしっかり叩きつけてくれました。
 振り落とされる寸前まで加速したスピード感で持って、高速のボケとツッコミが乱打され、セリフで足りないなら書き文字と仕草で情報量を上げて脳髄をオーバーフローさせてくる物量勝負、大変気持ちよかったです。

 あと作画全体的にピカピカキレイで可愛くて、狂気のアクセルを一切緩めることなく、萌えでも殴りつけて二局面勝利を狙ってくる、欲張りな作りでした。
 主にお尻方面に気合を入れたコケティッシュな作画は、フツーのテンションで流していると『あーエロい、脂っこい』となってしまう濃さなんですけども、そういう要素にいちいち足を止めてるほどヌルい速度でネタが流れていかないので、その濃さがあんまり気にならない。
 しかしそれは脳の表層での処理であって、脳髄の深いところでは可愛い可愛い彼女たちの豊かなボディライン、可愛さあふれる仕草をガッチリ受信しており、色気と可愛げを過剰摂取して頭がおかしくなっちまう素地が、しっかり整えられています。
 僕はこのお話、女の子たちが(イカレ)可愛いところが好きなので、『恋太郎の彼女になる子たちは、メチャクチャ可愛いぞ!』と常時吠え続ける絵仕上げてくれたの、大変ありがたかったです。
 肉感的なアピール、外見的な可愛さだけでなく、脳みそピンクに染まったら一切ノーブレーキな羽香里の卑しい可愛さとか、安いツンデレも極めると人を殺せると全身で示している唐音のツンデレ・ブラックベルトっぷりとか、キャラ性から滲む可愛さも初手から全力だったの、大変良かったです。
 こういう細かいクスグリが効くのは、作品全体の情報量を極限まで上げて、盛り込めるもの全部叩き込んで飽和化学反応を狙う作風ゆえだと思うので、自分たちが選んだ描き方に良くあってると想います。

 

 笑いの作り方にも色々あって、今期で言えば”ミギとダリ”みたいに真顔でボケっぱしてツッコミを視聴者に任せるやり方もあれば、本作のように高速で乱打される頭おかしいポイントに作中で全部カウンターを当てて、過剰にツッコミ叫びながら駆け抜けていく方法もある。
 色んなコメディの魅せ方、それぞれの強みを感じられるお話が同時に来て嬉しい限りですが、常時本気で戯れが出来ない百カノスタイルはラブコメの”コメ”でも元気でした。
  ぶっちゃけエンジンかかるまでは本気が出てない作品だとは思ってて、彼女たちと狂気の恋愛ぶつかり稽古を開始するまで、神様とイカれた設定コネてる場面はややおとなしい……んだけども、メタネタ折り込みつつそこもテンポよく駆け抜けてくれて、全然杞憂でした。
 彼女とビビーンしてからはガッツリエンジンかかって、恋太郎に負けず劣らず頭がおかしい狂人美少女が、お互いの本気をむき出しで叩きつけ合うオモシロコロッセウムが画面に着弾、たいへんいい感じに笑ってました。
 つーかビビーン場面が異様に力はいってて、俺らが期待したけど想像していなかった”正解”を叩きつけられた感じだったの、アニメ化の醍醐味で大変良かったですね。
 恋太郎だけがクレイジーなわけではなく、彼女たちも負けず劣らず濃い口でイカレてるところが、異常な方向でバランス取れてるのが良いよね。
 フルスロットルのイカレを全力で叩きつけ、イカレバットでホームランに返すことで、お話のテンションは緩みなく上り続けていくし。

 こういう血圧高い部分だけでなく、まったり落ち着いた日常ファミリーコメディとしての味まであるのが、このお話の良いところで。
 まだ狂人の駒が足らず、”家族”となるには関係性がグツグツいっていないわけですが、恋太郎ファミリーが生み出すまったり可愛い雰囲気を、児童向けコンテンツの雄いもむし先生が完璧にアニメにしてくれたEDが、完璧に拾い上げてくれました。
 『100人を平等に、本気で愛し切る』というイカれた夢は、どっか子供じみた無謀さがあって、余計な事実突きつけてくる外界から隔絶された幼い楽園っぽさを宿す。
 そういう赤ん坊返りの気持ちよさも作品の魅力だと思うんですが、最高可愛いEDはそんなチャイルディッシュな善さを、このイカれた恋物語が行き着く先を、しっかり形にしてくれていて素晴らしかったです。
 まーじでめちゃくちゃ可愛いからな……本編のカロリー高めセクシー強めな可愛さと、ちょっと味が違うのがEDに配置されているのが、よく計算されたコース設計で偉い。
 バキバキに力んだ高速ギャグ&ラブにぶん回されて、『楽しいけど疲れた……疲れるのが楽しい……』となったところに差し出される、チル&ハッピーな楽曲と映像……まことありがたい。

 

 というわけで、原作の善さを損なわず、アニメだけに可能な勢いをたっぷりと付けて俺らの顔面を殴りつけてくれる、大変良い第一話でした。
 みんな可愛かったなぁ……イカれてたなぁ……。
 初手から暴れまくっているお話ですが、こっから容赦なくイカれ人間が増えていって、そいつらがそれぞれ個性と優しさを抱えた”人間”であると描き、彼氏一人彼女百人で本気で愛し合う人類未踏領域へと踏み込んでいきます。
 ラブコメジャンルのお約束が極限まで加速したバロックな手応えと、そこに宿る本気のヒューマニズムを限界まで絞り出そうとする力みに、アニメがどう向き合っていくのか。
 今後も大変に楽しみです。
 いやー、面白かったな!