イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

Dr.STONE NEW WORLD:第13話『メデューサの素顔』感想

 凄腕エンジニア復活ミッションを果たし、空中戦を制するドローン完成まで後わずか!
 順風満帆に思えた科学王国の行く末に、潜入先から血なまぐさい暗雲が立ち込める。
 宝島の真実が暴かれ、闘争が新たな局面に至るドクストアニメ三期、第13話である。

 

 カセキが戻ってきてメドゥーサ殺しの秘密兵器開発も、一気に進展。
 科学王国有意で状況が進んだと思ったら、潜入組の偽装が限界に達して銀狼とコハクが行動不能! という、なかなか煮えた局面である。
 アマリリス一人に敵地での工作がどうなるか、石化された二人の遺志も合わせてなかなか重たいが……見せ場と思ってじっくり待とう。
 こういう態度を取れるのも、『石化≠死』というこのお話独自のルールがあればこそだろう。
 タメとヒキとインパクトが重要な週刊漫画の物語力学を思うと、生き死にのヒリツキを話に持ち込みつつ、決定的に不可逆な”死”とは違うルールで話を回せる石化は、作品運用上かなり便利なツール……なんだろうなぁ。

 先にカセキ復活の復調でもって『石化は再生の可能性も秘めてる』と見せておいて、一か八かのワンチャン狙い、敵の一撃を究極の時間稼ぎに使う、コハク最後の地頭を見せる回でもあった。
 このお話、戦闘でも戦争でも勝敗は情報を的確に入手・活用した側が勝つルールで動いてるんだが、『頭首は既に石像』って銀狼から託された情報を暴露しようとすれば、せっかく握った実権が崩壊するイバラが石化光線で口封じしてくる。
 つまりはワンチャン二人で生存の手筋が残る、とまで読んで、着実な死が迫る中最善手打つあたり、コハクもゴリラに見えて智将よね……。

 

 人類文明を壊滅させた石化光線は、解析すれば医療・物流に革命を起こす超技術でもあり、いいも悪いも使い方次第、科学技術がもっている白紙性を、そのまま委任されたメタファーだと言える。
 ヘタレで逃げてばかりの銀狼が、土手っ腹ぶち抜かれたこの土壇場で戦士としての気概を見せ、どうにか生き延びるすべはないかと視聴者もハラハラした所で、さんざん苦労させられた”石化”こそが最後の希望と描かれるのは面白い。
 これは作品を俯瞰で見れる視聴者の立場だからの見方で、妖術と欺瞞で島を好きにしてきたイバラにとっては、邪魔者を排除可能な絶対的暴力でしかない。
 石化状態から元に戻ると考えもしない、文明崩壊後の世界を生きる宝島の悪党にとって、科学はあくまで支配のための力でしかなく、狭苦しい島でどう権勢を誇るかが、彼らの主眼だ。

 しかし科学者ではないコハクにとってすら、間近に触れ合ってきた石化現象は『取り戻せるかもしれない死』であり、それを希望に変えてくれる仲間がいると、信じていればこそ身も投げ出せる。
 侵入者の口を封じたと安堵するイバラが想像もつかない、強い信頼と科学の夢が志半ばに倒れた戦士たちにはあり、それが科学王国一番の武器なのだろう。
 ……結局志と魂の強さに軸があるあたり、やっぱり少年漫画の正統を突き進んでる作品だと感じるね。

 

 銀狼とコハクが託したものを無駄にせず、科学王国勝利で宝島編を終えるためには、決戦兵器メドゥーサを絡め取れるドローンが必須。
 加えて復活液が限られる中、誰を陣営に加えて戦況を有利に作るか……人材選択の難しさもある。
 ずーっと情報戦を主軸に話を回してきた以上、潜入工作がバレて戦況が激化する中、頭のキレで相手の裏をかく場面も増えてくるだろう。
 銀狼とコハクが最後にぶち上げた緑の光は、地道に身を隠し汗かいてクラフトする時間が終わり、ヒリつく頭脳と肉体の激突が始まる狼煙でもあったか……という感じ。
 さて『斥候半ばにして倒れる』の方を受けた千空は、どんな手を打つのか。
 次回も楽しみですね!