イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ブルバスター:第6話『期待の新人は問題児!?効率最優先の冷徹インテリに、沖野がキレる!』感想

 巨獣の秘密に迫る波止工業に、鉄面皮の効率ロボ人間が嵐を巻き起こす!
 正論 VS 感情論、誰も彼もが最高に感じ悪いリアル系お仕事ロボアニメ、ブルバスター第6話である。
 いやー凄い……沖野くんが欠片も良いところのない最悪人間になっとる……。
 こんだけ生っぽく間違えまくり、体験に学んだことが蒸発して別の方向に突っ走る主役も今やなかなか珍しいと思うが、対する鉛くんも大概なのでトントン……かなぁ?
 揉め事の火種を物語の起爆剤として活用するタイプの作劇なので、ギスギスも最悪も話の燃料になるわけだが、それにしたって波止の生っぽい限界中小企業感はなかなかに凄まじく、次回以降どうカタルシス作っていくか楽しみである。
 ……武藤さんが会社にいると、人間力でどうにか丸めちまうので入院させたまであるな、この展開。

 

 話の方は露骨なタメというか、巨獣関係の調査がジリジリ進み、クリーチャーホラーな味わいが随所ににじみつつ、新入り鉛くんのヤバさと正論が沖野くんの若さと発火する感じ。
 鉛くんの木で鼻をくくったような対応も当然問題なのだが、沖野くんが彼に食って掛かるのは学歴コンプレックスと嫉妬の合せ技で、つまりは”我”である。
 ここら辺のアクを取りきらないからこそ、巨獣災害復興という絵空事に生っぽい手形がくっつきもするのだが、それにしたって今の沖野くん、褒めるところないでしょマジッ!
 鉛くんのロボ思考をぶっ叩く彼が、んじゃあどこに出しても恥ずかしくない正しい行いしてるかというと、全くそんなことはない。
 ファミレスで新入りの悪口雑言がなり立てて、当人に聞かれてて謝罪もなしで指突きつけるってのは、いかさま若いにもほどがあるだろう。
 ここら辺の上っついた対応が超ヤバいってのは、アルミちゃん絡みで既に痛い目見ているのに、相手が変わった途端人間すごろく振り出しに戻して歩き直しなのは、見てて正直結構キツい。

 まー沖野くん的にはそこで身にしみたのは波止という箱の中の話であって、外からそこに割り込んできて自分の地位を脅かしかねない新入りには、怯え混じりの過剰警戒を突きつけてしまう……つう話なんだろうけど。
 シオタバイオのクズカスの、現状しか見てない狭い視野をうぜーと思うのと、せっかく見つけた居場所にしがみつきすぎてヤなヤツになってる沖野くんをヤバく感じるのは、結構近いと思うんだよな。
 凡人が人間性の浅い奈落に落ちる道は、悪役にも主役にも開けていて、んじゃあどうやってヤバ人間になるのを回避していくかっていう、生っぽい人生訓の主役が沖野くん……なのかもしれない。
 ここらへんは、次回以降同僚たちの助けを借りていい感じの逆転ホームランを打って欲しいところ。

 

 んで。
 期待のスーパールーキーかと思いきや、規定に四角四面に縛られたロボ人間が島流しされてきたとわかった、鉛くんのお話。
 彼がぶん回す正論はまさに正論であり、『規定外の勤務を考慮しなきゃいけない職場なら、それ相応の書面作っておけ』とか、『狭い視界でエゴブン回して俺殴るの、最低すぎるからやめてくれ』とか、イチイチ最もだった。
 島流しされた先での仕事は、唐突な災害と地縁と人情、生々しい銭と暮らしの事情が複雑に絡み合った上で地滑りし、適切な状況整理がなされていない。
 俯瞰で見ていると巨獣災害は明らか激ヤバなので、とっとと国が介入してキッチリ型はめた方が良いと思うのだけど、大事にしたくない地元の論理と無駄金払いたくない企業の考えが悪魔合体して、ナァナァなまま事情が流れている。
 この流動的でアナログな現状と、超がつくほどロジカルな天才児の相性はおそらく最悪で、起こるべくして起きてる摩擦……って感じ。

 このガチャガチャな状況が何引き起こしているのか、イラつきながら見守ってる立場からすると、鉛くんの何でもかんでもキッチリ切り分ける気質には、上手く使うと突破口開いてくれそうな期待を寄せてしまう。
 なまじっか関わる人達の情も事情も解る連中が集まってるからこそ、ドラスティックな手立てを講じられない状況になってもいるわけで、空気なんぞ一切読まない正論マシーンが、為すべきことをドカンと叩きつけてほしい感じもある。
 しかしナァナァになってるのには理由もあり、それは災害復興において最も大事にするべきことと密接に繋がってもいるので、今のまんまのロボ人間では、望ましい結果も得れないのだろう。
 研究所のサンプルが大暴れしそうな次回、ピンチを通じて若造二人がもうちょい視野を広げて、自分を改めるキッカケを掴んで欲しい感じ。
 変化の前フリとして未熟なん段階を描くのは定番の筆運びだと思うんだが、最近の深夜アニメだと一話で一応の解決まで進むことが多くて、ざらついた感触のまま余裕で持ち越してくるこのお話の手応えは、自分には異質で面白い。
 こういうところも、やや連続ドラマっぽい味わいか。

 

 んで巨獣関係の調査は思いの外スムーズに進み、人間関係の足踏みを上手く補っていた。
 前回放った調査用ラットは巨獣因子に感染し、真相完全救命とはいかぬまでも水中洞窟が怪しいという目星はついた。
 シロの生と死を通じてアルミちゃんと渚ちゃんが絆を深める中、腐れハラスメント上司と銭ゲバ企業に挟み込まれつつ、さてどこに話が転がっていくか。
 ブルバスターと巨獣がぶつかるサイズのデカいアクションは既にやったので、ネズミサイズの脅威と生身の人間が向き合う、クリーチャーホラーの味を出してきたのはなかなか良い。
 生っぽい職業ドラマが目立つこの作品、実は巨獣を色んな角度から活かすアクションの切れ味は、見ててワクワクする大事な強みだと思うね。

 シオタバイオにとって巨獣研究は金にならない他人事だが、ラボで暴れられちゃあそうも言ってられないだろう。
 責任の所在でまた一騒動でありそうではあるが、誰も彼もヤバい現状に本腰入れないどん詰まりに風穴開けるためには、強めの爆発を起こす必要もあるのだろう。
 同時に大事になれば住民帰島は遠のき、ただでさえ汐止と摩擦起こしている住民感情が一体どこに行くか、これも頭が痛い話しである。
 しかしまー、そういう生々しい一個一個をどうにか乗り越え、巨獣災害に適切に対応できる組織・人員・装備を整えていく、手作りの社会整備の実感が、このアニメ独特の面白さだとも感じる。

 そのためにはせっかく見つけた居場所にしがみつき、過剰防衛で他人傷つけてる腐れ若造と、言ってることは正しいが鋭すぎるそのエッジで同じく他人を傷つけているロボ人間が、より善い自分ってのを見つけなきゃいけない。
 ここの新社会人成長物語を、今回溜め込んだストレス以上の気持ちよさで、しっかりぶっ放せるのか。
 研究所で暴れまわる巨獣の描写に、クリーチャーホラーとしての切れ味を期待しつつ、やっぱ土臭い人間ドラマの仕上がりにこそ期待大である。
 アクもクセも強い独特の作風だが、だからこその面白さがやっぱりあるので、何が描かれるかはしっかり見届けたいね。
 次回も楽しみです!