イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

Dr.STONE NEW WORLD:第20話『FIRST DREAM』感想

 戦いすんで日が暮れて、全てが元に戻っていく。
 致命傷すら超越する石化復活のインチキ力を活かし、宝島決戦の後始末をガンガン進めていく……だけでは終わらない、ドクストアニメ三期第20話である。

 やっぱこのお話は停滞感のなさがウリで、イバラぶっ倒して一息入れたいタイミングであえて、ホワイマンからの通信で一気に新章開幕させる勢いが気持ちいい。
 尺が長く展開が熱かったのでうっかり忘れ気味だが、本命はホワイマンとの対峙であって宝島はあくまで寄り道、イバラという脅威を打破して本道に戻った……とも言えるか。
 しかし激戦だったのには間違いなく、石化復活液でもって戦いに身を投じた仲間に報い、石器世界のグルメなんかも楽しめる余裕、何かが取り戻されていく手応えがあったのも、また良かった。
 喰らえば行動不能になる”死”でありながら、フツーなら死んじゃう傷を癒やしもする”生”でもある石化という現象、メドゥーサを巡る戦いの中で科学王国に更に身近になって、現代の生命倫理からちょっとズレた生き方へ導かれていくのも、また面白い。
 『どうせ石になってから蘇るんだから、命なんざぁどうでもいい!』ってやけっぱちな方向には、千空ちゃんが主役張っている以上突っ込んでは行かないわけだが、少年漫画特有の熱気を求める展開と、王国構成員の極まった覚悟が混ざり合うと、生き死にの感覚がややズレる……というか。
 そこら辺、人類史が激震した後を描いているポストアポカリプスSFでありながら、科学の母体となっている近代西洋倫理を徹底して称揚し続けている作品の中で、結構貴重な逸脱と言えるかもしれない。

 

 戦いを終えみんな戻ってきて、力合わせてジワジワ直して再出発だ! ……つう地道さを予感させつつ、月面から降り注いだ言葉が向かうべき先を教える、速度のある展開。
 『石化現象は常識外れの大破壊なんだから、ゴールもド派手にぶち上げるぜ!』って景気の良さが、遠い月面を目指す大プロジェクトにはある。
 ここら辺のスケールのデカさが、シコシコ機材直して状況を観測し、タイプの異なる知性と能力を繋ぎ合わせて出た合理的結論なのが、このお話らしいなと思ったりする。
 僕は観測手としての右京が好きなので、彼の現実的な知性が死の声が合成音声だと見抜いたり、ホワイマンの居場所を冷静に見抜いたりする描写が多いの、大変良かったな。
 やっぱ戦争やってる時には見えない、元気に仲良く日常生きてるからこその”善さ”みたいのがこのお話には確かにあって、今回の宝島エピローグではそれを久々、再確認できた気がする。

 現代人代表のゲンちゃんが、大騒ぎすることで千空のぶち上げた夢想の凄みが良く伝わる。
 毎度おなじみのパターンと言えるが、さーすがに石器時代から月面到達はぶち上げ過ぎであり、しかしゲンちゃんが『無理っ!』て驚いたことは大概実現されてきたわけで、さてどうやって宿敵の元へ向かうのか、今後のロードマップが楽しみにもなってくる。
 ゲンちゃんの驚きは現代を生きてる僕ら視聴者の目線を反映もしてて、『無理っ!』を知恵と勇気と友情でもって乗り越えていく作品の、面白みの根本にも繋がっている。
 不可能と思えることを現実に成し遂げ、地道な努力で奇跡のような飛躍を成し遂げる科学の面白さは、やっぱりハチャメチャにデカいことぶち上げる千空と、それに律儀に驚くゲンちゃんのナイスコンビで、上手く可視化されてる感じ。

 往くぜ月面、救うぜ人類。
 盛大に広げた大風呂敷にどういう計画を包み込み、どんな大冒険へと漕ぎ出していくのか。
 どこらへんで三期に区切りをつけるか含め、戦争終わってもまだまだワクワクな、石器時代の科学無双譚。
 次回も楽しみですね!