イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

うる星やつら:第27話『恋人泥棒/水乃小路の娘』感想

 地上で宇宙で、男にも女にも恋の嵐が吹き荒れる!
 婿取りだお見合いだ、いつにも増してドッタンバッタン大騒ぎな令和うる星、第27話である。

 1テーマにエピソードを結びつけて、連続性を持たせて話を編んでいくのは令和うる星の得意技だが、今回はサブキャラクターのドタバタ恋愛劇。
 Aパートではラムに関わり深い宇宙人達が、Bパートでは面堂家にまつわる人たちが、それぞれドタバタ騒がしい恋模様……というには破壊的に過ぎうるさすぎるコメディを、賑やかに展開してくれた。
 前回が一本繋ぎでメイン二人の恋模様を描く形だったので、しっとりした部分を芯に残しつつ色恋が書けたが、今回はコメディ全ぶり大騒ぎ、凄い勢いで暴力が飛び交ううる星らしいテンションで、大変楽しかった。
 誰も足を止めないまま矢継ぎ早に、色んなことが起こって嵐のように通り過ぎていくこのテンポはやっぱり面白く、しょーもなくもスカッと楽しい、極上の炭酸飲料のようなうる星味を堪能させてもらった。
 やっぱこの狂騒的な感じはいいなぁ……どんなBPMでも、作品特有の味わいを残したままノリきれるのは、名作の強さだ。

 

 

 というわけでAパートは、クラマの婿取りに色んな人が振り回され、乱入して引っ掻き回し、大変うる星感じになっていくお話。
 食欲怪獣であるレイとの、はっきりしない恋路に飲み込まれているランちゃんがちょっと報われるオチが気持ちよくて、騒がしいのに不思議と染みる、大変いいエピソードだった。
 こうしてアニメで続けてみると、マージでラムのいい性格してる部分に翻弄されているので、荒い言葉で無茶言っているようでいて、ランちゃんが振り回す側になると『よう言った! もっとやれ!』つう気持ちになる。
 セカンドシーズンでは初登場なランちゃんだったけど、ピンクでふわふわで乙女でバイオレンスで、最高に可愛いのも良かったね。
 ラムと飯にしか興味がない、顔だけ良い愚鈍獣に延々餌を与え続けたのが、遂に報われる……のか、まだまだ受難は続くのか。
 描ききらないのが騒がしい祝祭を続けるコツなのだろうけど、レイのキャラにいい加減いい芯が入る意味合いでも、おにぎりよりランちゃん大事にした描写は良かったと思う。
 なんだかんだラムちゃんとの絆が分厚い所も見えて、しかし友情というには色々擦り切れてもいて、二人の関係性があぶり出されるエピソードは見てて楽しい。

 そんなお騒がせカップルを引っ掻き回す、婿取り魔人クラマとそのお付天狗。
 トボケたモブが騒動を加速させるのはうる星宇宙のどこでも同じだが、豪華男性声優陣を取り揃えた苦労性のボケナスどもがなかなかいい塩梅に、カオスを加速させてくれた。
 主人を持ち上げ振り回されつつも、極めてテキトーな対応で混乱を助長しているあたり、不思議と風通しの良い主従関係になっていて、こういう歯ざわりが無用なモヤモヤ生まない勘所なんだろうなぁ……と思ったり。
 前回自分の純情は描いた気楽さが、第2エピソードと合わせてあたるが徹頭徹尾テキトーな引っ掻き回し役を担当して、あらゆる状況が暴力的にイカれて立ち止まらない、うる星テンポを生んでくれていた。
 あたるが中心になって話が湿ってくると話のペースが落ち、賑やかしになって軽やかに踊ると上がるあたり、主役と同時にペースメイカー的仕事が結構大きいんだな、諸星あたるは。

 クラマの婿取りは結局空振りふて寝に終わるわけだが、ムフフな雰囲気を漂わせつつもあくまで少年誌連載、願いが叶うところまで行ってしまうと色々難しいキャラでもあろう。
 逆に言うと性のあけすけを上手く回避しつつ、ちょうどいい塩梅でピンク色に塗ってあるのもこのお話の魅力であり、何かと婿と寝たがるクラマはそういう魅力を、上手く背負ってくれてるキャラだと言える。
 パンチラ満載のわかりやすいサービスではないのだが、恋や色ごとに結構な体重を預けておきながら、嫌な汁気が薄いってのは、大人になって見返してみて気づいた、”うる星”の特色であり魅力なのかも知れない。
 過剰に本気になりすぎない、なんでもかんでも洒落で収まる小気味よさが、セックス扱うにあたっても効いてる感じだねー。

 

 そういうピンク色の恋愛宇宙戦争もあれば、トンチキ金持ちのドタバタお見合い劇もあり。
 Bパートは面堂くんを中心に据えた、回をまたいでのこれまた大騒ぎである。
 第1エピソードがラム中心の関係性を描いたのに対し、こっちはあたるの悪友が彼とどんな付き合いしているのかあぶり出される感じで、あたると面堂くんがキャッキャしてるの大好きな視聴者としては、大変嬉しかった。
 トンちゃんも交えて純情ボーイ達がブンブン振り回されており、そればっかで終わらずガンガン振り回してもいて、元気が良くて面白いエピソードだったな。
 面堂家の面々もそれぞれボケボケであり暴力的でもあって、容赦なくど付き合って話が転がっていくクレイジーな味が、大変良かった。

 本格的なお見合いバトルは次回に続く! ってわけで、飛鳥お嬢様の人となりはまだまだ見えないが……『乙女』と墨書された西洋甲冑着込んでで、超音速でアラレちゃん走している時点で、尋常じゃないキャラ立ちとは言える。
 この年になるまで存在を知らなかったこと含め、水乃小路家周辺はうる星でも特に『そんなワケないやろ!』力が高いわけだが、そのやり過ぎ感が話に勢いを生んで、ドカドカ過剰な暴力と笑いを生んでもいる。
 どう考えても曲者相手にトマホーク投擲はやり過ぎなんだが、そんくらい濃くに付けないとお嬢様のキャラとこっから展開するドタバタに追いつかないというか、ヤバいテンションのままバランス取れているというか。

 

 いろんなタガが外れているお見合いバトル、どんどん狂っていく勢いに普段の顔じゃ追いつけないわけで、面堂くん筆頭にどんだけぶっ壊れてくれるのか、次回が楽しみである。
 まー早いことメチャクチャになろうや! そういうのも楽しいでッ!
 ……前回とんでもラブコメの中にある湿って硬い芯に感じ入っていたのに、このぶっ壊れ加減でワクワク出来るの、今更ながら振り幅広いな……。
 どんな角度から飛んできた球でも、”うる星”らしいと楽しめる豊かさを味あわせてもらいつつ、来週のお見合い本番を待ちたいと思います。