イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

うる星やつら:第28話『続・水乃小路家の娘』感想

 遂に甲冑娘とのお見舞い本番!
 唸る暴力勘違い、ズレたときめき笑いも完備……頭から尻尾までうる星テイストたっぷり、なんか作画も気合入ってるぞ! な、令和うる星第28話である。

 前回Bパートをまるまる使って前フリした飛鳥ちゃん、本格的に大暴れな回となった。
 第26話でもそうだったのだが、このアニメの超絶金持ちは浮世離れってレベルを超えて、常識を書き換え捻じ曲げるぶっ飛び方をしているもんで、箱入り娘の世間知らずも尋常ではない。
 それに引っ張られる形で暴力のブレーキも派手にぶっ壊れていて、ギャグ補正がなかったら大惨事になってるレベルで巻き起こる爆発、暴れる怪力、やりたい放題し放題! で、大変面白かった。
 アクション作画が要所でキビキビ動いてて、”動く絵”のシンプルな気持ちよさがあったのも、全力でタガを外しに行った展開とマッチしていて、見ていて楽しい回だった。
 どう考えても普通じゃない、何から何まで間違っている。
 だけど確かに生き生きそこにキャラが生きていて、元気に可愛く刹那的に駆け抜けてくれる”うる星”らしい嬉しさを、たっぷり味わえる回でした。
 ん~む……やっぱ、このテイストは食べてて楽しいわ。

 

 つうわけで、箱入り属性も怪力属性も全てが過剰な、水乃小路飛鳥お嬢様本格始動の回となったが、ド派手に何もかもぶっ壊す暴力女なのに可憐で可愛いの、スゲーバランスだなと見てて感心した。
 明らかにお付きの女コマンドー軍団、それを牛耳るしいたけ目の母が悪いんだが、極限まで行った男性恐怖症と世間知らずの合わせ技で、24分間一切状況が落ち着くことなく、ゴロゴロ転がっていく。
 常時パニックになり暴れまくる元気さは、ありきたりなサイズで面白さを留めない破天荒をしっかり駆動させていて、話のエンジンとして優秀なんだなぁ、と思ったりもした。
 ともすればやり過ぎ感出過ぎて笑うどころじゃなくなりそうなんだが、『まぁうる星だし……』で収まる何でもありワールドを既に構築しているし、可憐さと暴れっぷりのバランスが絶妙で、いい感じに楽しむことが出来た。

 とにかくワイワイ騒がしいお話なので、あたると面堂くんはスケベな賑やかしに徹して、飛鳥のパニックを助長させ続ける。
 彼らが騒動の発生源をやってくれることで、トンちゃんは妹思いの良いお兄様として、禁断のロマンスを浴びせられるラブコメ要因として、キリッとカッコいい所も見せられた。
 何しろ常時騒がしいお話だったので、唯一正気でマトモなことするトンちゃんの株は、唯一落ち着ける安らぎの源としてもグイグイ上がっていく回だった。
 飛鳥のお目見え回であると同時に、今一キャラが弱かったトンちゃんの良い所をあぶり出して、しっかり立たせる回でもあったなぁ……。

 

 面堂くんは極めて騒がしくぶっ飛んだ状況に振り回される、可哀想な犠牲者……で収まらず、鎧の奥に可愛い顔があると分かれば図太くアプローチもしてくる。
 このちゃっかりタフな顔があればこそ、常時画面のどっかがぶっ壊れてる暴力展開も深刻になりすぎず、洒落で済んでスカッと終われるのだろう。
 洒落になんない重たさを漂わせたい時は、そういう方向に話をコントロールもしているわけで、視聴者に受け取ってもらいたいムードをノイズなく飲み込ませる能力が、高いお話だとも言える。
 物語ってのはみんなそれが重要なのだが、コメディにおいては特に死活問題だろうから、やっぱ巧いわな。
 冒頭の悪夢で花嫁姿のうる星ガールズがワラワラ出てきたの、うる星ソシャゲのウェディングガチャ10連みたいで面白かったけど、40数年前に原作でやってた描写だってのを考えると、つくづく古典ってのは先進的よね……。

 暴力が飛び交いカオスが加速するお話を、どうにか収めていい雰囲気を醸し出すべく、男たちがバカやってる裏でラムとしのぶが飛鳥に親切だったのも好き。
 水野小路家のイカれた風習で15年間熟成された、歪んだ男女意識は是正されるわけではないが、『男/女/お兄様』というぶっ飛んだ分類ながら、異性を受け入れる足場が飛鳥に出来たのは良いことだろう。
 いやまぁドッタンバッタン騒ぎ散らかして、常識から外れた部分はなーんも治ってないわけだが、なんかこー……生身の人間が騒動の中でなんらか、彼らなりの生きる手がかりみたいのを確かに見つけてる描写があるのが、俺がこのお話好きなところでね。
 超絶箱入り娘に友だちが出来て、お兄様とも仲良く顔合わせ、色々シッチャカメッチャカながら良いこともあった。
 やり過ぎ感満載な狂騒にガハハと大笑いした後、そういう決着を口ん中で転がして味わえるのが、良いなと思う。

 

 というわけで、ぶっ飛びお嬢様大暴れのお見合い回でした。
 久々に徹底して破天荒で何もかもがやりすぎな、うる星テイストを頭から尻尾まで味わうことが出来て、『俺……やっぱこの味好きだ!』と思えた。
 宇宙人から妖怪まで、何でもありの世界観だからこその楽しいハチャメチャが、テンポよく踊る楽しさは、力強くもありがたい。
 このみっしりした充実感は、前回Bパートまで含めての長尺で飛鳥登場をやりきったおかげだと思うので、たまにはこういう形式も良いもんだ。
 無論短編連作の切れ味も面白く、アンソロジーとして多彩な見せ方を工夫してくれているありがたみを感じつつ、次回を待つ。
 しみじみと、令和のうる星好きだなぁ……良いアニメだ。