イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

外科医エリーゼ:第11話『願い』感想

 医師試験を目前にして、突如発生した重大事件……皇帝危篤!
 広がった動揺は対立に火を付け、エリーゼの未来に暗雲が立ち込める。
 急展開のクライマックス、一体どうなってしまうのか! ……という感じの、外科医エリーゼ第11話である。

 散々規格外の医療知識で無双ブッこいて『試験とかヨユーでしょヨユー』とかナメてたら、急に皇帝陛下は血を吐いてぶっ倒れるわ、調子こいた貴族派がダイレクトな暴力に訴えかかるわ、比較的抑えられていた治安が一気に発火して、俺好みのキナ臭い展開になってきた。
 『今まで喉越し爽やかに話し飲めていたのは、エリーゼの周りに集う人が人格者だっただけなんだなぁ……』などと、異世界に流れ着いても変わらぬ人間世界の業に思いを馳せつつ、最期の医療無双に向けてハードルが上がりまくる回である。
 貴族派の人たちが軒並み『皇帝陛下の病因、常人に見抜けるわけねーだろ! 出来るやつなんて人生三周目の超絶ヒロインだけだぜ!!』みたいな、露骨な神輿の担ぎ方をしてくれて、来週どんだけブッこまれるのかワクワクしてきたぜ……。
 やっぱ最後の花火はデカいほうが良いわけで、こんくらい状況がヤバくなってくれたほうが盛り上がるわな。

 

 つーか帝国史上類を見ない、女性初の薔薇勲章受勲者とかになってる時点で世俗の栄達はただの飾り、医学生の立場があまりにも不釣り合いな超絶チート野郎なわけで、この帝国の危機を聴診器でぶった切り、実力に相応しい名声で周囲を黙らせる流れは、待ってましたでしっくり来る。
 ”一周目”でやらかした悪行が響いて、エリーゼの自己評価は地に落ちているわけだが、医療超人としての実力と行いはそこを飛び超えて高みに登っているわけで、こんぐらいハードな事件ぶっ飛ばして終わってくれたほうが、収まりが良いわな。
 いやまぁ、医療方面以外はごくごく普通のお姫様なので、抜身の白刃ぶら下げて直接的政治解決を図られると、ビビってブルブルもしちゃうわけだが。

 こういうダイレクトな行動主義に蓋をして、なんとか平和な日常を保っていたのが宮廷の内幕だと考えると、リンデン陛下もなかなかお辛い立場で生き延びてきたんだなぁ……と、最終話一個前に理解が深まる。
 風聞は垂れ流す、いざとなったらヤッパは抜く。
 まさに毒蛇の巣と言うしかない陰謀の渦中、匂わされてきた貴族派と皇室派の対立が、国の大黒柱が揺らいだことで吹き出したわけだが、逆に言えば陛下の命脈を保ちその病院を解明しさえすれば、膿を出すいい機会とも取れる。
 皇太子の身柄が牢に繋がれ、逆転の足がかりが主人公にしかない状況もなかなかヒロイックで、スカッと終われる足場づくりを、一気に成し遂げてくれた感じがある。

 元々宮廷絡みの火種は気にかかっているネタであり、こういう形で医療と絡めながら発火させてくれるのは、自分的には嬉しい流れだ。
 こんだけ冷え込み腐りきってるのは予想外ではあったが、まーユリエン様が例外だったということなのだろう。
 エリーゼには甘く情けない顔ばっか見せていたお父様が、皇帝派筆頭としてギリギリのせめぎあいに身を投じ、かなり頑張っていたのも良かった。
 急に話の方向性が180度変わったようにも思えるけど、むしろこの重たさ暗さこそが宮廷のリアルって感じはあるし、降って湧いたお后ポジションに痛みと重みを足す上でも、政治のややこしさとヤバさに首突っ込んでくれるのは、個人的には嬉しい味付けだ。

 

 掘り返すとなかなか根が深そうな問題だが、幸い皇帝陛下危篤の謎を解くと情勢が良くなりそうにまとまっていて、最後の医療無双が唸りを上げる準備は万端。
 取り敢えず目の前に迫った危機をどうにか脱し、生命と国を救って過去最大のワッショイを受け取って話をまとめる最終回、いったいどう描くのか。
 次回も楽しみです!