イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

わんだふるぷりきゅあ!:第11話『山に潜む、巨大生物!?』感想

 変身戦士の使命を背負い、往くぞ山奥探すぞガルガル!
 いろはちゃんと悟くんの甘酸っぱいピクニック・デート味も交えつつ、皆で仲良く事件解決な、わんぷり第11話である。

 コンテ・演出篠原花奈、作監板岡錦というスペシャルな座組で展開するお話であるが、あんま力んだ感じはなく、むしろとてもわんぷりらしい穏やかなエピソードとなった。
 しかし『避ける凄み』を攻めたカメラワークで見せるアクションシーンや、弾むように楽しい日常をヴィヴィッドに伝える可愛い場面など、圧倒的な実力が愉しさをバリバリ膨らませてくれる回でもあり、大変良かった。
 特に犬モードこむぎの可愛さが凄いことになっていて、お水をペロペロしたり悟くん謹製犬クッキーを食べたり、たくさん抱っこしてもらったり、見ながら思わず”声”出ちまったな……。
 何しろスーパーアニメーターなので、”動き”を語られることが多いけども、板岡錦は『とにかく可愛い存在を可愛く描ける』ことが強いんだということを、改めて確認させてもらう回でもあった。
 ほんと可愛かったなぁ……いろはちゃんが好きすぎるので、無意識に腕組みに行ってるヒトこむぎとかも最高。

 

 お話の方は大変ゆったりした塩梅で、仲良し三人組が自然豊かな裏山へ向かい、パトロールとピクニックが合わさった幸せ時間を楽しむ感じ。
 感情表現が素直でパワフルなこむぎがいることで、『この時間がとにかく楽しくて嬉しくて最高ッ!』という事が真っ直ぐ伝わって、見ているコッチも幸せな気分になれた。
 この頑是ないダイレクトな描き方は、やや対象年齢を下げた語り口、話運びを選んだわんぷりだからこその良さだと思うので、たっぷり食べられてとても嬉しい。
 プリキュアだけが立ち向かえる危機への対策ではあるんだけど、あんま力んだ所なく自然体、気楽に気安く楽しみながらパトロールしている様子も、わんぷりらしくて良かった。

 でもグダグダに気が抜けているというわけでもなく、オトボケ交えて生態を推理しながら怪生物の正体に迫っていくという、ちょっとしたミステリ味もあって良かった。
 料理まで出来ることが判明したスーパー中学生、兎山悟くんがやっぱいい仕事をしてて、感情のまま突っ走りがちな犬飼姉妹の手綱を握って、ちょっとした動物豆知識も交えて作品全体を引き締める、ナイスポジションに収まっている。
 便利な参謀役で終わらず、チャーミングな恋心もしっかり覗かせてくれて、話数が重なる事に悟くんのことを好きになっていく話作りは、やっぱり見ていて気持ちがいい。
 言動が幼いこむぎを間に挟んで、凄くいいバランスで三人が楽しく過ごし、力強く戦っている様子は、そろそろ1クールが終わるこのアニメが見ているものに何を手渡したか、静かに確認できる感じがした。
 こういうしみじみした”善さ”があるのは、わんぷりのとても良いところだ。

 

 別にガルガルにならんでも強い熊を相手取り、コッチからは一発も殴らない専守防衛ドッジアクションが展開されたわけだが、プリキュアの超人的身体能力を活かしてメリハリを作りつつ、とてもわんぷりらしい”戦い”で良かった。
 バトル要素を遠くに退けて話を作るのは、おそらく見た目より遥かに大変だと思うのだけど、力んだ拳を話の真ん中に置かないことで生まれるゆったり優しい雰囲気、空いたスペースで展開される落ち着いた物語と、実りも多く感じる。
 僕はここまで三ヶ月、わんぷりが描いてきたバトル要素少なめ、日常の幸せや悩みにどっしり向き合った話運びに、他でもない”プリキュア”が刷新した魔法少女像を新たに原点回帰させるような、心地よいノスタルジーを感じている。
 先週ユキとの思い出に一話使ったり、今週最高ピクニックを心から楽しんだり、こういう力みのない平和で身近な手応えは、大胆に”プリキュアらしさ(と思われているもの)”を抜き取ったからこそ生まれる、新しくて懐かしい手触りだ。

 そんな善さを残しつつ、激しいアクションが生み出す爽快感と、キュアワンダフル達がただ行楽に来ているのではなく、日常に潜む脅威をどうにかする戦いに馳せ参じている緊張感を、思い出すことも出来る回だった。
 あんまシリアスには描かれないけども、なんだかんだプリキュアだけが解決できる秘密のミッションは相当な一大事で、色々苦労し頑張りながら変身戦士やっている二人の汗を見ると、そういう事実をちゃんと思い出せる。
 要求されるハードさは話数ごとに変わりながら、望まぬ暴走を強いられてるガルガルを助ける戦いが毎回あることの意味も、しっかり物語の中に刻み込めていると思った。
 やっぱガルガルが傷ついていることに、戦いの中プリキュアが気付く描写が多いの好きなんだよな……握らぬ拳に宿るのは、仁愛の心意気なわけよヤッパリ。

 

 そして話の端っこで展開される、猫屋敷姉妹の日常的イチャイチャ……。
 『先週”起源”が示されたから、このやり取りもより染みるなぁ……』とか思っていたら、謎のまつげバチバチ金髪美少女がミステリアスに忠言ぶっこみ、第三の戦士キュアニャミーの存在が示唆されたッ!!
 猫の形でも人の姿でも、猫屋敷まゆはその瞳をユキに奪われてしまう宿命であると解る描き方で、めちゃくちゃ良かったです。
 お前は本当にユキが好きだね……そういうの、本当に素敵だよ……。

 ニャミーが画面に写ってないだけで既に人化の法を身に着け、人知れず夜を守る戦士として駆けずり回っていたつう展開は、猫屋敷姉妹本格参戦に焦れていた心にズバッと刺さる、なかなか良い手だと思います。
 謎めいた第三勢力という立ち位置は、ここまで描かれたユキの自由気ままでクールな気質とも合ってるし、かといって薄情な感じも全然ないしね……街とまゆを守るために、バリバリ闘ってくれてるし。
 つーか猫屋敷ユキ、美少女形態でバッチバッチにキメつつどっか心地良くボケてる感じがあって、既に美味しいのズルいよな……。
 『先週メチャクチャ尺貰ってたし、今回は犬飼姉妹のハッピーピクニック一本だよなぁ……』と思っていたところに、怒涛の新展開ぶっ刺してくる展開も、気持ちの良い不意打ちで良かったです。

 

 というわけで、とてもかわいくてパワフルな、わんぷりらしい回でした。
 『わんぷりって、だいたいこういうプリキュア、こういう話だな!』というイメージが、ある程度固まったこのタイミングで、こういうクオリティと温度のお話が来てくれるの、凄く良かった。
 放送された映像から自分が受け取った思い込みが、その提供者のイメージとズレていない……あるいはもっと暖かく力強いものだと教えてくれるエピソードを見れるのは、とても幸せなことだ。
 ピクニック&パトロールを楽しみ頑張った三人、皆が可愛く輝いていて、本当に素晴らしかったです。

 強敵クマガルガルを浄化し、顕になった謎の戦士の存在。
 果たしてキュアニャミーは僕らの期待通り、スーパー素敵な自由ネコチャンなのか!?
 颯爽登場新戦士をどう描いてくるのか、次回も楽しみッ!