イマワノキワ

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鬼滅の刃 柱稽古編:第4話『笑顔になれる』感想ツイートまとめ

 鬼滅の刃 柱稽古編 第4話を見る。

 一本ぎっしり時透無一郎ッ! ていうことで、記憶を取り戻した霞柱の現在地をみっしり描く回だった。
 『好感度120個別True到達後の、ファンディスクシナリオみてーだな…』という、エロゲ脳剥き出しの感想を得たりしたが、まー今のアニメ鬼滅のポジションだと、こんぐらい太らせたほうが視聴者の満足度高いよなぁ…。
 合間合間に平穏の裏にある鬼の気配、大迫力の柱バトルを入れて、味が単調にならないように工夫もして、どうにか最終決戦まで間をもたせる努力が涙ぐましい。
 アニメ鬼滅の刃という”産業”は、本当に色々大変だなぁ…と思う柱稽古編である。

 

 というわけで霞柱が実力を認めたスーパー主人公を仲立ちに、モブ隊士とも心を通じ合わせられるようになった無一郎くんが描かれる回である。
 里での殺伐トゲトゲに比べると人が変わったよう…というより、こっちが本来の時透無一郎で、有一郎エミュして心を保っていた頃が無理をしていた…というか。
 他者に対する攻撃性、払った犠牲を正当化するような怜悧な物言いが、真実愛され守られていた思い出を取り戻したことで角が取れ、柔らかくなっているのを感じた。
 一般隊士への冷たさも、上弦クラスと殺りあう厳しさを思えばむしろ当然というか、あのまんまだと秒で死ぬしなマジ…。

 兄の犠牲で自分が生き残ってしまった辛さを、無意識に閉じ込め正当化するために、無能な多数を殺して有能な一人を活かす選別を肯定してた、かつての無一郎。
 彼が苛烈ながら必要な厳しさでもって、凡人共を見捨てず研ぎ澄ましている姿には、里での戦いが何を取り戻したのか改めて感じられた。
 戦う機械であることを否応なく求められる、鬼殺隊の任務を思えば一概に『良かったね』とも言いづらいが、しかし誰も切り捨てず守る強さを背負えるようになったことで、霞の太刀筋はより冴えている印象も受ける。
 自分が厳しくあることで、一人でも生き延びる未来がつかめるなら、モブにどんだけ憎まれても良い…くらいな気持ちなのかも。

 柱連中や炭治郎など、実力を認めた連中には態度が甘い裏表…ていうより、未熟な生徒相手と鍛える必要のない仲間に、それぞれ適した態度を選んでる感じだしね。
 色々奪われつつ、戦いの中自分を取り戻した14歳の少年が、今自分がするべきことを見つけて頑張っている…と思うと、鬼教官の顔に情がほころぶ稽古は、見た目の厳しさに比べてなんとも穏やかに思えた。
 アニオリで挟まれた紙飛行機の逸話も、炭治郎が間に立つことでそんな霞柱の性根を色んな人が解ってくれた感じがあって、良い挿話だったね。
 まぁ形も色も様々な紙飛行機が、いつか必ず落ちるように、待ち受ける決戦にあそこにいた連中、相当数が死ぬんだがな…。

 

 この非情な現実を無一郎くんは結構シビアに見抜いてて、それ故真剣用意させての覚悟稽古を求めたわけだが、その領域についていけるのは、炭治郎のようなごく一握り。
 そういう連中でも剣を置けば対等な人間同士であるし、非常な剣として己を磨き上げつつも、そういう情を残しているのが鬼殺隊の良いところ…であり、異常な部分でもあるのだろう。
 狂った相手との狂った戦いの中で、”人間”であることを大事にできてしまえる狂気…というか。
 そこを投げ捨てたら殺すべき相手と同じなので、人間性を担保するのは大事なんだけども。
 非公然暴力組織なので、”名誉”でそこを支えられないの、思うと結構歪だな…。

 鬼と戦わない暴力装置も、簡単に色々投げ捨てて狂ってしまえるってのは、宇髄さんの過去から見える。
 人が鬼になり、鬼になったら戻ってこれない危うさは鬼滅の基本設定に組み込まれていて、人が人であり続ける眩しさもまた、”継ぐ”というメインテーマの中で幾度か眩しい。
 今回無一郎くんがかなりバランス良く、教官である自分、柱である自分、少年である自分を自然に生きれているのは、有一郎がトゲトゲ尖りつつそれでも弟の魂を、必死に守って未来に託した結果だ。
 己を投げ捨て”人間”を守る、英雄的行為がなかなか出来るもんじゃないからこそ、そんな戦いがドラマティックにもなるんだけどさ。

 決戦の火蓋が切って落とされれば、数多の血を吸って否応なく、鬼殺隊が守るべき”人間”は試されていく。
 柱稽古はその前の最後の日常であり、死んでいく者たちがどう生きたのか、闘争の外側にあるべき穏やかな日常を遺していく、一種の遺言状でもあろう。
 ここら辺の寂寥は、色々太らせないとダメなアニメの事情でいい感じに加速してて、一話一柱でずっしりやる形になったことで、結構味が変わったポイントだなとも思う。
 ここら辺は既に俺が原作読み切って、この先に待ち受ける修羅界と更にその先…生きるものと斃れるものの全てを賭してたどり着いた結末を、もう知っているから感じてしまうのかもしれない。

 

 

 

 

画像は”鬼滅の刃 柱稽古編”第4話より引用

 さておき、金森さんの出張鍛冶場の美術がマジで良くて、鬼滅特有の匂いがある背景をたっぷりと堪能できた。
 『柱ではなく土壁で支える形の古い日本建築で、ガラスとサッシを使わない状況だとこんぐらい暗い』てのが、入口から入り込む光と屋内の闇の対比で、大変良く解って興奮する。
 あんまりにもメジャーになってそこまで気にされなくなってるけど、やっぱあり得んほどマニアックに細部に拘るアニメで、そういう部分が好きになった自分としては、なかなか嬉しい場面であった。
 火の色に出る温度変化を微細に見たいから、あえて暗くしてるってのもあるんかなーコレ。

 

 というわけで、24分みっちりと、時透無一郎ファンディスクでした。
 鬼に食いちぎられた思い出を取り戻した14歳の霞柱が、どういう顔で笑い、仲間を鍛えるのかが良く見えて、大変良かったと思います。
 理解されにくい彼の温もりを、普通人にも伝えられる炭治郎の特殊性も良く解って、キャラエピとしてなかなか良い仕上がりだったと思います。
 最終決戦に先んじて、風柱の荒っぽい戦い方も見れたしね…。

 残り話数もこんな風に贅沢に使っていくのか、シリーズ構成の配分なども楽しみつつ。
 次回の柱稽古をアニメがどう書くかも、大変楽しみです。