ブルーアーカイブ The Animation 第9話を見る。
探ってみたら、疾うの昔に”詰めろ”だった学校の状況をひっくり返すべく、砂漠の奥深くに踏み込んだらイヤ大人に追い返され、ホシノがまたもや寂しく笑う回。
ショートカットに鋭い目つき、今とはぜんぜん違う”後輩”ホシノが何に出会い、なぜアビドスを守りたいのかが視聴者に可視化され、今の後輩には共有されないまま、今日もお話すごろくの出目はスローモーに進んだ。
あそこでラスボスと顔合わせしておきながら、すんなり凹まされて戻っていくの、自分的にはかなり凄い手つきだったな…。
銭で縛って土地を切り取り、何を欲しがってるのかまだ解んねぇし。
ピヨピヨ純粋な後輩たちを守るべく、ヘラヘラ笑いの奥で揺るがぬ警戒心を抱えてきたホシノも、救うべきヒロインとしての顔をこの終盤戦、ようやく顕にしてきた。
今ホシノがまとっているユルユルおじさんの仮面が、奇跡だの夢だの気楽に信じていたユメ先輩の引き写しであることが、過去の日常と涙に滲んでいて、想像はしていたが寂しい。
消えてしまった愛しさが未だ不滅であると、証明するように本来の己を滅して去りし者の屍衣をまとう女(ひと)にめっちゃ弱いので、ユメ先輩しぐさを頑張っているホシノのピエロっぷりと、それが侮辱された瞬間の殺意は切なくて哀しく、とても大事なものだと思えた。
マージ愛の戦士、偉い。
ホシノもユメ先輩から引き継いだものを嘘にしたくないから、在りし日の彼女に似た自分を背負ったのだろう。
それだけがシロコとノノミつう”後輩”が出来た時、彼女たちに優しくするための唯一のお手本だったのかな、と思うと、砂にまみれたアビドスの再生を祈った無邪気を、必死に守ってきたホシノの奮闘に切なさが香る。
バトルマシーンみたいな目をした過去のホシノが、ここが居場所だと思える日々が二人きりの生徒会にはあって、それをユメ先輩が自分にしてくれたように、”後輩”に手渡してあげたくて自分なり、必死に頑張ってきた。
そんなホシノの本質を、シロコがちゃんと解ってて言葉にもしているのは、大変良かった。
大好きな海洋生物に全力ではしゃぐ、頑是ない幼子がホシノの中にもいて、ユメ先輩の前で幾度か、それを出せる時が確かにあったんだと思う。
その思い出の残響が、彼女に滅びを認めさせない。
遠い夢の名残を追いかけ、消えかけた温もりを両手で守るようにして、『ユメ先輩のような人』を頑張ることで、後輩には重荷を背負わせないよう、少しでも楽しい時間を過ごせるよう、必死に抗ってきた。
そんな頑なな気楽さが、血が滲むような切ない祈りと同居しているのは、最年長で”副会長”な立ち位置からも解る。
そこは思い出の聖域であり、愛する人のための墓所だから、ユメ先輩を押しのけて座るわけにはいかないのだろう。
この健気な切なさを、稲田声もシブいPMC理事が土足で踏みにじるわけだが…子どもが立ち向かうにはエグい切り取り方してて、突破口が相変わらず見えない。
生徒会といいつつ担当領域が広大で、実質的に国家運営を要求されるわりに、必要な実務能力から遠ざけられているシビアな状況。
おまけに苦境ははるか昔から周到に用意されたもので、ひっくり返すには幾つかの奇跡が必要になってる。
たった五人の子どもじゃどうにもならない状況で、”先生”に何が出来るのか。
何をするのか。
カッコいいキメどころは今回もお預けで、困ったもんである。
もういい加減によォ、俺に実力見せてくれよォォッ(ブルアカ勇次郎)
とはいえ作中のキャラで唯一、ホシノが貼り付けた笑顔の仮面の奥に踏み込めているのは彼であり、露骨遺言テイストただよう”お願い”も受け取ってた。
泣きゲー育ちのジジイとしては、もうイヤな想像しかできないシチュエーションと雰囲気での交流だったけども、ホシノは一体何を先生に託したのだろうか?
わざわざ空白にしてあるってことは、この後の騒動を乗り越える中でズバンと機能する、重要なエモ爆弾なのだと推測(期待)もしてるが…。
奇跡を期待できないリアリストが性根のホシノが、それでも何かを預けるってのはまぁまぁ一大事なわけで、やっぱ後輩絡みかなぁ…。
んーむ、空気がひたすらに重い…。
というわけで砂漠に谺する悪の笑いを背中に受けて、しょぼしょぼお家に帰る回でした。
大人びて無敵オーラだしてたホシノおじさんが、決死の覚悟で思い出を守ってた”事実”が顕になってくると、いよいよ逆転の目がなくなってきた感じがあって、なかなかにどんよりしてくる。
こっから一発逆転ホームランの手筋があるのなら、とっととブチかまして愛の戦士とその後輩を楽にしてやって欲しいもんだが、はたして大人との経済戦争をひっくり返す妙手はあるのか。
銃弾バラ撒いてもどうにもならない情勢を、ガツンと殴りつける後半戦を期待したい。
次回も楽しみです。